愛媛大学法文学部 創立50周年記念誌
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114第3部 法文学部の現在と未来 社会からの声 このたび、愛媛大学法文学部が創立50周年を迎えられたことに、心からお慶びを申しあげます。長年にわたって、学術研究や人材育成に大きな実績を残され、地域の発展に貢献されてきたことに改めて敬意を表します。1.法文学部50周年 1968年4月に当時の文理学部から、文科系の法学・文学の分野が法文学部として独立しました。その後、経済学科や夜間主コースの設置、総合政策学科と人文学科への改組など、地方の国立大学としての拡充に取り組んできました。 2016年4月には、人文社会学科の1学科として、履修コースを法学・政策学、グローバル・スタディーズ、人文学の3つに整備し、新しい学部として再スタートを切りました。人文社会科学の幅広い知識と実践力を持った、グローバルな人材を育成することが、国立大学法人としての愛媛大学に求められた大きな使命であり、時代のニーズに適した積極的な改革が高く評価されています。2.幅広い社会的テーマ 大学は専門的な情報の宝庫であり、特に地方の国立大学の学術的な、幅広い情報は地域の社会、経済、文化などの発展に不可欠な情報でもあります。 特に、法文学部には独特のユニークな研究があります。 なぜ戦争が起きるのか、なぜ起きたのか、戦争体験者にヒヤリングしながら平和について研究している平和学、九州・湯布院の町おこしの実践的な経験を生かした観光学、ジャズの歌詞を翻訳する言語研究、四国遍路の歴史から地域を考える四国遍路・世界の巡礼研究センター、など、生活に密着した、興味深いテーマが数多くあります。 また、地方のテーマを世界共通のテーマとして研究する愛媛大学のグローカル地域研究ユニットでは、「シアトル宇和島屋」「福岡正信と自然農法」「松山俘虜収容所」「越境する海のNomad(漁業)」などが挙げられており、その間口が広いのも大きな特徴です。 それぞれのテーマごとに、それぞれの研究チームや担当の先生方が長年にわたって地道に研究に取り組んでいることも周知の通りです。3.グローバルなDNA このうち、「松山俘虜収容所」は日清、日露戦争、第一次大戦(日独)の捕虜を収容するために、松山市内の寺院や施設を利用して開設されました。明治維新間もない時代に、外国人捕虜と市民の国際交流を芽ばえさせ、新しいグローバルな文化を育んだとされる社会的なテーマでもあります。 特に日露戦争でのロシア人捕虜については、国策としてロシア人捕虜を優遇し、捕虜が自由に市内に出歩ける環境だったこともあって、いろいろな人間ドラマが生まれました。こうした収容所の歴史は、本や舞台、映像などで親しみをもって語り告がれ、松山のその後の文化にグローバルなDNAを付加した出来事の一つにあげられています。学術的情報を地域の活性化に~法文学部の更なる発展を~南海放送株式会社 顧問 河田 正道

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