愛媛大学法文学部 創立50周年記念誌
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121Ehime University Faculty of Law and Letters 50th改善に動き出しているところです。新しい学習指導要領では、生徒たちに育む「生きる力」を資質・能力として具体化し、各教科等の目標及び内容を、①知識及び技能、②思考力、判断力、表現力等、③学びに向かう力、人間性等の三つの柱を学力の三要素として整理しています。 この学力の三要素が偏りなく身に付くよう、これまでの知識伝達型の授業から、生徒の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を図ることが示されています。いわゆる「アクティブラーニング」の視点からの授業改善が進みつつあります。 今回の教育改革が、明治以来の大改革と言われる所以は、高大接続改革、つまり高等学校における改革だけでなく、大学教育の改革と、それをつなぐ大学入試とが一体となっているからです。現在の大学入試センター試験に代わる新しい大学入試は、現在の高校1年生から導入されます。 新しい大学入試では、国語と数学に記述式、英語に民間業者の試験が導入されますが、高校現場にとってはまだまだ未知数であり、課題が山積しております。 また、大学教育改革においては、「ディプロマポリシー」、「カリキュラムポリシー」、「アドミッションポリシー」の三つのポリシーを策定することが求められていますが、法文学部が受け入れる学生に、高等学校学習指導要領が掲げる学力の三要素について、具体的にどのような能力を求めているのか、また、入学した生徒がどういう教育課程で教育され、どのような能力を身に付けて卒業していくのか高い関心を持っております。 人工知能(AI)の発達により、文系の仕事が奪われるという話を耳にしますが、仕事について専門的な知識も持っていない文系学生を雇い企業が育てていく時代は終わろうとしています。これからは、文系・理系というくくりを超えた能力を身に付けた人材が求められます。文系の人間も基本的な科学の知識も持ち、広い視野で論理的思考力や問題解決能力を持たないと通用しない時代になっていると思います。 現代日本において、社会で求められる能力が高度化・多様化するなか、大学は教育内容をますます充実させ、学生に徹底して学ばせる環境を整え、社会の期待に応える必要があります。学内だけの教育活動でなく、目的意識の高い生徒を入学させるために高大連携に積極的に取り組む必要がありますし、論理的思考力・問題解決能力・コミュニケーション能力を身に付けた人材を社会に送り出すためには、企業等でのインターンシップをさらに充実させ、より多く実践の場を踏ませ、学生の学びのモチベーションを高めていく必要があると思います。 愛媛大学法文学部は創立以来、時代のニーズを的確に捉え、1979年(昭和54年)に全国で初めて法学科に昼間主コース・夜間主コースを設置し、総合政策学科・人文学科への改組(1996年)、人文社会学科に改組(2016年)など、進化発展を続けております。 法文学部の教育方針が、人文社会諸科学の知識を基盤とした幅広い教養と実践的能力を有する、汎用的能力の高いグローバル人材の育成を目的とされていることは、まさに現代の地域や日本社会、国際社会を生き抜き、将来を背負う若者に求められる資質能力に適合したものであります。 創立50周年を契機に、これまで培ってこられた実績を生かし、地元愛媛や日本・世界の信頼・期待に応えながら、グローバル化した現代社会において、国際的な視野を持ったうえで新しいものを創造し、ふるさと愛媛や日本、さらに世界で活躍し貢献できる人材の育成にこれからも力を注いでいただければと思います。 終わりに、愛媛大学法文学部の今後ますますの御発展を心からお祈り申し上げます。

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