愛媛大学法文学部 創立50周年記念誌
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第3部 法文学部の現在と未来 3大学法文学部長座談会128高津(鹿) 鹿児島大学では高校生に対して学部の説明を行う場合に、まず名称の説明から入り、総合学部という特色を説明することになっています。現職の高校教員、高校生からは名称が分かりにくいという意見を聞くことが多いです。また経済系のコースを含んでいながら、名称に反映されていないという問題点も、3学科(法学科・経済学科・人文学科/法政策学科・経済情報学科・人文学科)時代にはありました。2017年度の改組においても、学部、学科の名称について種々の議論がありましたが、学部名はそのままになりました。加藤(愛) 国立の「人文学部」がほとんど「人文社会科学部」と名称変更したように、「人文社会学部」を選択することもできましたが、学生を含めた学部内からも、学部外からも、卒業生や一般の関係者からも、「法文学部」という名称を残したほうがよいという意見が多く聞かれました。法文学部のアイデンティティとは松本(司) 今回特にお伺いしたかったのは、2018(平成30)年を迎えるという今の段階で、各大学が法文学部というものをどのように自己認識されているかということです。ただ、高津先生がご指摘なさっているように、3大学とも設置された時点では取り立てて積極的に理念を持っていない。実際、愛媛大学の場合も設置当時の資料を調べてみると、理念は全く書かれていません。「法文学部」と「理学部」と「教養部」に分かれるということだけです。積極的な理念を持たない、過渡的な寄合所帯、その意味での「複合学部」という性格が、設置時点では強かったのではないかと思われます。そのため、それぞれの分野の分離独立を目指すという将来構想が長年抱かれてきました。正直に申し上げますと、現在でも本学では分離独立を目指したいという教員が大多数だと思います。 法文学部のアイデンティティを「複合学部」とするのか「総合学部」とするのかを、現時点で、あるいは10年後を見据えた時に、どう自己認識し、どのような活動をしていくべきだとお考えなのかを、お伺いしたいと思います。田坂(島) 地方の最高学府として設立された旧制高校を出発点として、新制大学の〈Profile〉田坂 郁夫(たさか・いくお)島根大学法文学部教授(当時)。専門は自然地理学。2006(平成18)年以降、法文学部長(2006〜2009年度、2016〜2017年度)、学長特別補佐(広報担当)、教育研究評議会評議員、生涯学習教育研究センター長などを歴任。2018(平成30)年現在、島根大学名誉教授。

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