愛媛大学法文学部 創立50周年記念誌
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75Ehime University Faculty of Law and Letters 50thシャーで楽しさではなく苦痛を感じていたように思います。そうやって苦労して書き上げたレポートを、研究室のパソコンをお借りして5インチや3.5インチのフロッピーディスクに保存していました。私の記憶では、立派なレポートを書いていたはずですが、今ではもうデータを読み取る機械がありませんので、確認のしようがありません(もしディスクが見つかっても、データを復旧させる事はいたしません)。 少し脱線してしまいましたが、清水先生に指導教官を引き受けていただき、設備の整った清水研究室の末席に名を連ねることができたことに今でも感謝しています。清水先生の薫陶を受け、日本語学はもちろん、それまで興味があるとは言えなかった『万葉集』や八代集の和歌の面白さを知ることができました。入試問題としての古典ではなく、私と同じ「人間」が記した「言葉」だと考えると、その「言葉」の裏側にまで思いを馳せることができました。それまで古典文学を楽しいと思ったことがなかった私ですが、どういった時代に、どのような立場の人が書いたものか、そこまで調べて始めて「学んだ」ことになると教えて頂き、ようやく楽しいと思えるようになりました。 私の本業は高等学校の国語教師です。しかし、教員になってからも清水先生には機会あるごとにお声をかけていただき、大学院にも誘っていただきました。その縁があって、2004(平成16)年から愛媛大学法文学部で非常勤講師をさせて頂いております。また、愛媛県の文学講座なども担当しております。そういった場では、自分が「学んだ」内容を、少しでも楽しく理解して頂けるようお話ししています。高校までの学びは、私にとって任務のような辛さを伴うものでしたが、清水先生のご指導を受け「学び」は発見であり、楽しいものに変わりました。これからも、その楽しさを少しでも広めていきたいと思っています。 この『愛媛大学法文学部創立50周年記念誌』に寄稿するチャンスをいただき、指導教官として、また人生の先輩として私を導いてくださった清水史先生への感謝の気持ちを書き残したいと思いました。今の私が、一人の社会人として何とかやっていられるのは、清水史先生のご指導のおかげです。そして、その清水研究室の歴史に名前を刻む先輩方にご指導いただいたおかげです。中でも、現在は讃岐で教壇に立っておられる先輩と、母校である愛媛大学に戻って研究を続けておられる先輩には、公私にわたり本当にお世話になりました。心より御礼申し上げます。 こういった記念誌に載せることが憚られる内容ですので、詳細は伏せておきますが、1997(平成9)年に愛媛大学で開催された日本語学会の時にはご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。愛媛大学法文学部国語国文学愛好会会長の自覚のなかった当時の私を恥ずかしく思います。20年以上前の不祥事ですが、今でも偶に話題にされることがございます。ここでの懺悔を機に、すっきり水に流して頂けると幸いです。 では、長々と思い出を書き綴って参りましたが、清水先生をはじめ法文学部文学科の諸先輩方と、愛媛大学に感謝の気持ちをお伝えして筆を置かせていただきます。清水史先生の研究室にて教育実習

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