愛媛大学法文学部 創立50周年記念誌
76/192

76第2部 法文学部の思い出 卒業生の声記念誌発刊に寄せて2001(平成13)年 総合政策学科卒 井上 隆弘1.はじめに このたびは、愛媛大学法文学部創立50周年記念誌の発刊おめでとうございます。この記念すべき節目の記念誌に参加することができ、大変光栄に思います。 すでに大学を離れ、15年が経過していますが、2004(平成16)年の国立大学法人化や学部の新設、2016(平成28)年の学科の改組等社会の変化とともに大学も時代の要請に応じて変化してきたと思っており、今後も時代の要請に合わせた研究や人材の輩出を期待しているところです。 今回、職場を通じて、法文学部の卒業生として本稿を執筆する機会を頂きました。大学入学から現在に至るまでを振り返るとともに、現在銀行員という立場に身を置いておりますので、銀行という職場を紹介し、少しでも銀行を身近な場所にとらえていただくとともに、就職活動中の学生の皆様には少しでも活動の参考にしていただければと考えています。2.入学から現在まで 私は、大洲高校を卒業後、1997(平成9)年から2003(平成15)年まで大学院を含めて愛媛大学に在学しました。在学中は、論文の指導をいただいた川口先生をはじめとした先生方や友人たちにも恵まれ、素晴らしい学生時代を過ごすことができたと思います。 正直、勉強熱心ではありませんでしたが、大学で得た知識はもちろんのこと、サークル活動における小さいながらも組織運営や人間関係を良好に保つ経験をし、アルバイトでは、労働の対価として賃金を得るという経験をすることで、社会人としての基本がつくられた重要な時間であったと思います。 大学院修了後、愛媛県内の地方銀行である愛媛銀行に入行し現在に至っています。銀行では最初は大洲支店に配属され、預金・貸付等の銀行業務の基礎を一通り経験しました。その後、証券国際部(現在は、資金証券部に組織改編)へ異動となり、有価証券の運用や管理業務に従事しました。ここでは、大学時代に学んだ経済数学や統計学を業務に使用する機会が多かったのですが、大学で学んだことは役に立つと気づくと同時に、もう少し真面目に勉強しておけば良かったと切実に思いました。また、有価証券の運用業務に従事していた頃は、日々の株や国債の売買執行だけでなく、日本時間の夜間に取引が行われるニューヨーク市場やロンドン市場での動きをチェックし、当日の運用方針を考えるとともに、長期的な株価や金利等の動きを考える業務を行っていました。銀行をグローバル化した金融の一つであるという大きな視点で見ることができたことは、今でも大きな財産となっています。 また、在籍中にリーマン・ショックが起こりましたが、毎日日経平均株価が1,000円ずつ下落し、保有株式の含み損が拡大していく様子を見るという経験はなかなかできるものではありません。多くの銀行が赤字決算となり、それま

元のページ  ../index.html#76

このブックを見る