愛媛大学法文学部 創立50周年記念誌
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77Ehime University Faculty of Law and Letters 50thでとは異なった金融政策や財政政策がとられるなど金融史に残る出来事を肌で感じることが出来ました。また、その後の低金利政策から日本はまだ脱却できていないことを考えても、非常に意義深い時期であったと思います。 証券国際部で、3年半を過ごし、今治市の波止浜支店、お客様サービス部を経て、現在は、企画広報部に在籍し、7年が経過しようとしています。企画広報部は、銀行全体の予算策定や管理、行外広報やIRなどの業務を担う部署です。現在私は、主計業務を担当し、銀行の決算事務を行っています。現在、上場企業の一つである当行が作成する決算書は、収益や財産状況を把握するだけでなく、企業の通知表のようなものであり、投資家、預金者や債権者に正確な情報を伝えるツールでもあります。銀行を数値として把握するという業務であり、正確性が求めているため、日々責任を感じながら業務を行っています。ここでも大学時代に学んだ簿記や会計といったことが多いに生かされています。 就職後、大学で学んだことを仕事に活かせていないということを聞くことがあり、また、やりたい仕事と実際の仕事がマッチングしないことが早期離職の原因となっていると聞くことがあります。しかし、銀行業務では、大学で学んだことが無駄になることはないと考えています。銀行業務を進めていくうえで、お客様への理解を深めなければならないことはいうまでもありません。お客様の業種は様々であり、不要な知識や分野というものはありません。銀行に就職しようとする学生は、経済学や経営学を学んだ方が多ように思いますが、銀行では、文系・理系問わず多様な人材を必要としており、例えば農業等の一次産業への理解が深い方等も必要としています。3.今後法文学部に期待すること 地方銀行で働いていると銀行も大学も同じ課題を抱えていることに気づきます。少子高齢化に加え、首都圏に人口が集中し、地方の活力が落ちているということです。これは、若い方の地元に対する理解の不足やPR不足によるところが要因の一つであると考えています。 愛媛県は造船・海運や紙パルプ等の製造業に加え、一次産業やサービス業がバランスよく配置された恵まれた地域であり、スキルアップや成長という意味では、中途半端に都市部に行くよりも適した地域であると思います。 もちろん自治体中心に企業誘致を引き続き進めていき、雇用を確保していくことも必要ですが、今後、愛媛大学には、地元産業のニーズにマッチした人材を輩出し続けることが求められ、また地元企業は、それらの人材を活かしていくという好循環をつくることが求められていると思います。また、愛媛大学には、恵まれた環境であることを発信することも役割の一つであり、研究機関という大学の枠を超えた役割を期待したいと思っています。我々地元企業も、地元に残りたい、地元に帰りたいと思える職場環境の提供や情報発信を行っていきたいと思います。 末筆となりましたが、50周年を一つの節目として、愛媛大学法文学部が引き続き益々発展されることを祈念しております。

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