愛媛大学法文学部 国際交流報告書2015
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17今回のようにビジネスモデルや新しいサービスを考える際には、自分の意見だけでなく、アイデアも必ず必要である。今後は自分なりのアイデアを持つことができるようになりたい。また、この機会にマーケティングや経営用語を習得するという目標に関しては、あまり到達できていないように思う。ゼミの間に分からない単語が出てきて調べることはあったが、それを覚えるというところまではできなかった。しかし、この研修を通して、自分の英語はまだまだであり、知らない単語もたくさんあるということを再認識することができたので、自分が言いたいことを明確に伝えるためにも、自分の中のボキャブラリーを今後もっと増やしていきたいと思った。 交流面では、自分から話しかけることもあったが、どちらかというと積極的に話しかけることはできていなかったと思う。また、話しかけてもその会話を弾ませ、展開していくことはできなかった。外国人と話すとなると、どうしても考えながら話してしまい、自分から話を広げていくことができない。今後は聞かれたことに答えるだけでなく、自分からも話をふることができるようになりたい。そのためにも、もっと英語を使って英語に慣れていくことが必要であると思う。 スペインの学生との交流を通して、日本との文化や生活習慣の違いに気付くことができた。ゼミでは、スペインと日本の違いについて話す機会があった。私のグループでは、週末の旅行について話した。そこで最も驚いたことは、スペインの学生は、年に数回ではあるが週末に海外旅行するということである。日本では、週末に海外旅行というのはほとんど聞いたことがない。そして、土曜日と日曜日だけでなく、金曜日の午後からが週末であり、金曜日の午後からは授業がないということにも驚いた。また、ゼミ以外の時間にスペインの学生と交流することで、スペインに行かなければ気付くことができなかったような新たな発見もあったように思う。生活習慣という面では、日本と比べて夕食の時間が遅かった。はじめは驚いたが、スペインにいると自然に身体がその習慣に合わせられていたように思う。また、スペイン人に限らず外国人と関わる度に感じることであるが、スペインの学生も非常に積極的な姿勢であった。グループでの話し合いやプレゼンでの発表などでは、私たち日本の学生よりも積極的に発言しており、自分も見習わなければいけないということを気付かされた。今回の発見を今後何らかの形で活かしていきたい。」  (6)担当教員による総括 本研修では、グループごとでのビジネスモデルの提案とそのプレゼンテーションを行うために、これまでの経営やビジネスモデルに関する知識を応用し、自分の考えを英語で表現しながら、グループ全体でのアイディアをまとめるという課題にチャレンジすることが求められた。しかし、ビジネスや経営学の知識が不足していれば、当然良いアイディアを出すことは難しく、またビジネス用語がわからなければ、いかに良いアイディアでもうまく伝えることはできず、グループ全体に貢献することはできない。この「難しさ」を実感できたことが、本研修の一つの貴重な経験である。大学での講義や文献の読込みのみではそこで得た知識の応用力が身についているかを自らが思い知らされることは少なく、また、試験やレポートの結果をフィードバックされる機会も豊富とは言い難い。これに対して、今回の研修は、自らの経営学やビジネス戦略に関する知識がグローバルな場で試される機会であり、同時に、自らの専門知識の不足部分を知り、相手の知識を吸収していくプロセスにもなりえ、多面的な学びが促進されたものと考えられる。 他方、英語力・コミュニケーションという面においては、まずボキャブラリーや文法に関する知識不足を実感すること、そしてそれを乗り越えるための努力がある程度報われた感覚を得ることが重要な経験である。基礎的な英語力があっても、相手の言葉が理解できないこと、そして自分も英語の言葉として発話できえないこと、文の構成を迅速に組み立てられないこと、これらを体感する中で自らの実質的な能力を把握し、その課題を超えていくための工夫や努力ができるか否かが問われることとなる。しかし、その中であっても、外国人とのコミュニケーションに対して臆することなく、その意思を伝え続けていくことで信頼感や親しみが生まれ、相互理解の度合を向上させていくことができる。そのためには、語学力の限界を超えて、相手がどのような態度で言葉の不自由な自分と接しようとしているのかを理解し、それに応えようとする対人的な能力を発揮することも重要な要素であり、それらに関して参加学生全員が優れた能力を発揮した。 そして、そのような姿勢が受けいれられたことへの実感は、単に語学検定試験のスコアを伸ばすこととは異なり、時にはそれ以上に、多言語や異文化を学ぶことの意義を自覚させ、セルフエフィカシー(自己効力感)の向上をもたらしたものと思われる。地道な勉強や継続的な努力が必要であることは言うまでもないものの、その感触を宿せたことが今後の修学上およびキャリア形成上の財産である。将来にわたって、その種が育ち、より豊かでかつ国際的な視野から人生設計をとらえる力を得られたのならば、本研修の意義は十分に高いと考える。しかしながら、昨年度に比べて、安全管理や事前準備に関して意識の低さや甘さがみられ、提出物の提出納期の厳守、また団体行動での時間の厳守等が不十分であった。指導の徹底や参加学生の適性評価等が今後の課題であり、リアルおよびバーチャルゼミナールの実施についても見直しを図る予定である。

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