愛媛大学法文学部 国際交流報告書2015
7/28

5まず「疑問や問題と思ったこと」と「発見や驚き」をチームごとに出し合った。各人が出した意見をもとにチームとしてのテーマを決める。 異なる言語・習慣・経験・背景をもつ者どうしで議論するのはむずかしい。しかし学生たちは果敢に挑戦していた。現代の若者らしく、スマートフォンについている翻訳機能やLINEなども活用し、コミュニケーションを図っていた。プレゼンテーションはパワーポイントを使用することにしたが、考えがまとまらないことにはプレゼンテーションも作成できない。もっとも時間がかかったのはやはり議論であった。 苦労しながらも、なんとか完成させた後は、予定より1時間以上遅れて発表に移った。ここまでは飲物づくりの実習もできる教室での作業であったが、発表は広い階段教室に移動して行った。発表会には可学科長も出席していただいた。発表は郭先生の通訳・進行で進められたが、発表に際しては各チーム、開南大生は日本語、愛媛大生は中国語で自己紹介をした。寸劇あり、動画ありと、チームによって個性的な内容になった。 その晩は最近流行しているという台湾風鍋のレストランで大いに盛り上がり、また翌朝は空港まで大勢の学生が見送りにきてくれた。毎回のことであるが、最後は涙の別れとなる。1週間にも満たない短期間の交流でここまで別れを惜しみ合う関係が構築できるのかと感心するほどである。学生たちの変化 交流を重ねるごとに「継続」と「蓄積」という言葉の重みを感じている。3年前に交流がスタートしたときに2年生だった学生が卒業を迎えようとしている一方で、新しいメンバーも加わっている。今回の交流のメインは双方とも2年生だったが、開南大生は去年交流した3年生がサポートにまわり、盛り上げてくれた。また卒業を間近にした4年生も忙しいなか顔を見せてくれ、発表会で積極的に質問したり、差し入れやお土産を持ってきてくれたり、また帰り間際まで見送ってくれたりした。愛媛大学側も1名だけだが昨年度病気で参加できなかった3回生も同行しており、懐かしい再会を遂げた。 開南大学の学生たちはふだん飲食業やホテル、旅行会社への就職をめざし、ホスピタリティについての勉強をしている。かたや愛媛大学側は、地域づくりや観光まちづくりを学んでいる学生たちである。当初は交流といってもどこかぎこちないところがあったが、徐々に各領域への理解が深まるとともに、それぞれの得意を活かし、刺激しあい、お互いから学び合う、実質のある教育的交流が可能になってきた。 特に感じたのは、開南大学生たちが積極的に質問し、自分の意見を率先して発言していたことである。フィールドワーク先でも、また発表会の場でも、以前はどちらかというと地域調査や議論に慣れている愛媛大生のほうが元気があったものが、今回はお株を取られそうな勢いであった。こうした変化は私たちにとってもうれしく、また発破をかけられる思いである。また3年前はどの時期に交流を設定するべきか互いに手探り状態で、学生たちも参加にやや消極的なところが見られた。しかし今回は、愛媛大側のみならず、開南大学生もたくさんの人数がかかわり、現地フィールドワークは人数制限をしたほどだった。夕食を含め学生たちだけでの行動も、安心して任せておける。そして教員間もあうんの呼吸で、信頼関係もできてきた。次はホストとして 来年度は愛媛大学に開南大学の学生たちを迎えて調査交流を行う計画である。テーマは今年度と同じく「お茶」だ。四国のお茶をどのような角度からとらえ、どんな調査をするか、いまから思いをめぐらしている。開南大生たちの「来年は愛媛大学に必ず行きたいです」という声をたくさん聞いた。彼らの期待を裏切らないよう、しっかり準備をしていきたい。また学生たちには次は受け入れ側を務めてもらわねばならない。ホストとしてどう準備し、ふるまい、もてなすか。よい勉強の機会になるであろう。製茶のプロセスについて熱心にメモをとるプレゼンテーション作成に四苦八苦発表会ではたくさんの質問が出た

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る