松本 長彦教授

まつもと おさひこ / MATSUMOTO Osahiko

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専門分野:哲学
教員からのメッセージ
 「私」とは何でしようか。なぜ私は生きているのでしょうか。なぜ目の前にあるこの小冊子が「ある」と言えるのでしょうか。なぜ私たちは善いことをすべきであって,悪いことをしてはいけないのでしょうか。私たちにとって「世界」とは何でしょうか。どのようにして私たちは世界について知識を獲得し,それを正しいものとして認めることができるのでしょう。そもそも私たちが何事かを知るとはどういうことでしょうか。このような問いは,私たちが生きている以上必ず一度は心に浮かぶ問いでしょう。「哲学」とは,このような問いをごまかすことなく真正面から問いとして立て,それに対して論理的に筋の通った答えを与えようとする学的な試みです。
 授業では主にヨーロッパ近代の哲学思想を取り上げています。それは,現代に生きる私たちが個人や社会や国家さらには世界全体の在り方を理解しまた構想して行く上で,近代ヨーロッパという,時代的地域的には特殊性を免れない哲学思想が,同時に,人間が存在する以上必ず直面する諸問題に一つの解答を与えており,その意味で普遍的な性格をもつと考えるからです。このような見通しの下に,現在のところ私は,デカルトやロックといった哲学者達の認識論及び意識論を検討しながら,これを18世紀後半のドイツの哲学者カントの哲学に収斂させ,カントの超越論的哲学を手引として,知の普遍的基礎づけ(同時に存在の基礎づけ)を試みることを主な研究テーマにしています。しかし,概論授業では,このテーマだけにとらわれることなく,できるだけ哲学の一般的諸問題を紹介し考察するようにしていますので,ご安心下さい。
 ところで,諸君は私の仕事は諸君に哲学という学問を「教える」ことだと期待してくれるかも知れませんが,私にはそんな大それたことはできません。カントも「哲学を学ぶことはできない,学びうるのは哲学すること(philosophieren)だけである」と言っています。これは哲学に限らず,大学に於ける学問一般について言えることでしょうが,私たち教員の仕事は,学生諸君が自主的に行う学問の手助けをすることだと私は考えています。私の場合は,諸君より少し長く哲学を勉強してきた先輩として,諸君が「哲学する」ことに意義と楽しさとを見つけ出すためのお手伝いをしたいと思っています。