吉田 正広教授

よしだ まさひろ / YOSHIDA Masahiro

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専門分野:西洋史
教員からのメッセージ
 ロンドンの西部地区で,毎年8月の最終月曜日(バンク・ホリデーの休日)にノッティングヒル・カーニヴァルが開催されます。これはカリブ海出身の黒人たちを中心とするカーニヴァルで,狭い通りを,トラクターに牽かれたスティール・バンド(ドラム缶を再利用した楽器)の山車や,巨大スピーカーを積んだ大型トラックが次々にやって来ます。その後ろには仮装行列の一団が続きます。一見華やかなカーニヴァルですが,ゴミや排泄物の処理,騒音,暴力など,様々な問題が見え隠れします。
 カーニヴァルの歴史を調べていくと,第二次大戦後にカリブ海諸島からイギリスに渡った黒人移民,1958年のノッティングヒル暴動,イギリスのファシズム,人種関係法(人種差別を違法とする法),連邦移民法(移民制限のための法)など,イギリス現代史の研究テーマが浮上してきます。ロンドンの黒人コミュニティー形成の問題や,カリプソとレゲエという音楽の持つ政治的・宗教的意味にも興味が惹かれます。
 このように,ロンドンのカーニヴァルというミクロの事例からイギリス現代史の多様なテーマに接近できます。西洋史を学ぶ,あるいは研究するとは,単に欧米の歴史の流れを理解して覚えるのではなく,みなさん一人一人が研究に値するテーマを見つけて,文献や史料,画像,あるいはインターネットで得た多様な情報を使って,深く研究することです。みなさん一人一人が,幅広い研究課題につながるようなミクロのテーマを見つけて,西洋史研究の面白さを実感して欲しいと願っています。