さ行

関口 和徳准教授

せきぐち かずのり / SEKIGUCHI Kazunori

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専門分野:刑事訴訟法

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教員からのメッセージ
 刑事訴訟法は,日本の最高法規である日本国憲法,刑事訴訟法や刑事訴訟規則をはじめとする様々な法律・規則および判例の解釈などを通じて,刑事手続(刑事裁判)の実際を客観的に明らかにし,そこに存在する問題点を洗い出し,その上で,(時には,外国の法制度や判例なども参考にしつつ)刑事裁判のあるべき姿を考える学問領域です。
 刑事裁判における理想は,無実の者を処罰しないこと,すなわち,冤罪の悲劇を生まないことといえます。日本国憲法が被疑者・被告人の権利を手厚く保障していることや,「疑わしきは被告人の利益に」が刑事裁判の鉄則とされていることも,このことを裏付けています。ところが,冤罪の悲劇は一向に後を絶たないのが現状です。なぜ冤罪の悲劇が繰り返されるのか。冤罪の原因はどこにあるのか。どうすれば冤罪をなくすことができるのか。これらの点に最大の関心を払いつつ,研究を進めています。
 ところで,刑事訴訟法を学ぶことによって得られるものは,刑事裁判に関する知識だけではありません。
 まず,「刑事裁判はその国の文明のバロメーターである」といわれるように,刑事裁判はその国の本質(とりわけ,その国でどのくらい個人の人権が大切にされているか)を浮き彫りにします。刑事訴訟法を学ぶことは,日本という国の本質やそこに横たわる問題をより深く知ることにつながります。
 また,人間は予断・偏見に基づいて物事を判断してしまいがちです。犯罪事件の「犯人」逮捕のニュースを見て,「何て悪い奴だ。こんな奴は厳罰に処すべきだ。」といった感情を抱いたことはないでしょうか。誰もが抱くこうした素朴な感情にこそ,実は大きな落とし穴があります。なぜなら,逮捕されたというだけでは,その人物が本当に犯人なのかどうかはわからないからです。刑事裁判は,犯罪の疑いがかけられている人物が本当に犯人なのかどうかについて,その人物の権利を保障しつつ,証拠に基づいて丹念に確認し,真実を明らかにしていく手続です。刑事訴訟法を学ぶことは,予断や偏見を排し公正に物事を見極める眼を養うことにもつながるのです。 
 他にも,刑事訴訟法を学ぶことで得られるものは沢山あります。ぜひ一度,刑事訴訟法という窓から我々の生きる世界を眺めてみてください。そこには他の窓からは決して見ることのできない光景が広がっているはずです。

徐 敏徹講師

そ みんちょる / SEO Mincheol

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専門分野:言語学

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教員からのメッセージ
 皆さんは収集癖、ありますか。私は物に対する収集癖はありませんが、「言葉」に対する収集癖はあります。本や雑誌などを読んでいるうちに「言語学的に面白い」表現が見つかったら、それをパソコンやスマホのアプリを利用して書き写したり、ドラマや映画などを楽しむときにも「そんな言い方があるのか」と気づいたときには、何回も同じ部分を繰り返し再生して書き取ったりします。また、町中を歩きながら興味深い看板・広告などを見つけたときにも写真を撮って集めています。このような作業をしているうちに、似たような形式の表現が集まり、それが研究のネタになる場合もあります。
 ここで「言語学的に面白い」とはどういうことでしょうか。一例として「いちごいちごしてる」という表現があります。以前、ハーゲンダッツのCMで耳にしたのですが、この表現は基本的に「名詞+名詞+して(い)る」の形式で使い、「名詞」の位置には同じ名詞が2回繰り返されます。「いちごしてる」や「いちごいちごいちごしてる」のように、名詞を1回や3回言うのは不自然です。
 この表現に使われている名詞は、もちろん、「いちご」以外にもあります。電子化された大規模な言語資料である「コーパス」を利用して調べてみた結果、「いちご」の他に「芋・みかん・女の子・男の子・こども・親子・アメリカ・言語学」など、色々な名詞が使われていました。この表現の姉妹品として「肉肉しい・芋芋しい」があります。これらの表現は、どういう関係にあるのでしょうか。
 このように名詞を繰り返して用言を作る方法は、日本語にだけ見られる方法ではありません。私の母語である韓国語にも、このような言い方があります。「いちご」は韓国語で「ttalki」と言いますが、これを2回繰り返して「ttalki-ttalki-hata」、つまり、「いちご-いちご-している」と言うことができます。日本語と韓国語の例を見比べると「対照言語学的に面白い」ところを見つけることもできるでしょう。
 授業では、私たちが毎日当たり前のように話し、聞き、読み、書いている言葉を、言語学的に分析するとはどういうことなのか、また、どのような言語資源や道具を活用すれば「言語学言語学している研究」ができるのか、皆さんといっしょに考えてみたいと思っております。

十河 宏行教授

そごう ひろゆき / SOGO Hiroyuki

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専門分野:心理学

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教員からのメッセージ
 皆さんは「心理学の講義」と聞いてどういう内容を想像するでしょうか。私が担当する講義を受講生の皆さんのコメントカードでは毎年「想像していた内容と違う」という意見がたくさん寄せられます。このような食い違いが生じる原因のひとつは,心理学が「こころ」という私たちにとって身近でありながら謎に満ちた「何か」を扱うために,いわゆる「理系」分野を含めた幅広い学問分野の知見や手法を駆使するという点にあると思います。
「大学入学前には全然興味がなかったけど講義を受けてみたら意外な発見があった」といった経験は大学生活の醍醐味のひとつだと私は考えていますので,「想像と違う!」という受講生の皆さんの反応は悪いことではないと私は思っています。ただ,「心理学関連の資格を取得したい」,「カウンセリングのことを学びたい」といった明確な目的を持っている方は,大変だと思いますがそれぞれの大学で開講されている講義の内容や,取得できる資格を受験前によく確認してください。また,三年次編入で本学科を受験したいと思っている方も,「想像と違う!」となった後の軌道修正が難しいので,やはり自分が学びたいことと本学科で行われている講義の内容が合っているかしっかりと確認することを強くお勧めします。
 なお,私自身の専門分野は眼球運動の心理学です。私たちが物事を目で見て認識する際の眼球運動の役割やそのメカニズムに興味があります。また,人の目の動きを計測するための技術や,心理学実験を行うためのソフトウェアの開発にも興味を持っています。以下のwebページにて研究内容を紹介していますので,詳しくはそちらをご覧ください。
 十河研究室webページ:http://www.s12600.net/psy/