さ行

齊藤 貴弘准教授

さいとう たかひろ / SAITO Takahiro

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専門分野:西洋史

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教員からのメッセージ
 こんにちは。古代ギリシアというとどんなイメージを描かれるでしょうか。地中海を舞台に都市国家〔ポリス〕という幾つもの小さな共同体を基盤としてギリシア文明は展開しました。その代表的ポリス,アテナイ(現アテネ)のアクロポリスには今も壮麗なパルテノン神殿が建っています。この神殿は,「民主政」アテナイ黄金期の作品です。しかし,この時代のアテナイは海軍力を背景に同朋ギリシア人を強圧的に支配していました。「自由・平等」の代名詞「民主政」と「支配」は矛盾なく有機的にアテナイの絶頂期を形成していたのです。
 アテナイ直接民主政は,いわば素人政治であり,「奴隷」の存在を筆頭に社会構造も大きく異なります。ですから,現代の「民主政」〔デモクラシー〕とアテナイの「民主政」〔デモクラティア〕は,ある意味,全然違う。しかし,起源として―西洋文明の源流として―深いところで繋がっています。
 もう一つ,古代ギリシアは多神教の世界であり,ここに「宗教」と「政治」の興味深い出発点があります。両者の折り合いのつけ方は,グローバル社会における私たちの課題です。また,「支配」と「奴隷」も今日でも生活圏に差し迫る問題ではないでしょうか。私たちは,今も「古代ギリシア」を乗り越えてはいないのです。
 ところで,瀬戸内海とエーゲ海は多島海〔アーキペラゴ〕であり,アクロポリスのような松山城,身近な港,都市部の規模,なんだか松山はポリスと似ています。宗教面でも日本人と古代ギリシア人には類縁性を感じます。言うまでもなく,四国はそういう面でも恵まれています。「身近で遠い他者」である古代ギリシアをこの地域の独自性に根ざして学び,発信していくことは,とても魅力あることではないでしょうか。皆さんと「古代ギリシア」から学びの喜びと発見を分かち合っていけたらと思います。

笹田 朋孝准教授

ささだ ともたか / SASADA Tomotaka

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専門分野:考古学

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教員からのメッセージ
 人類が使用した利器の材質で時代を区分する方法があります。この時代区分を使用した場合,約三千年前から現在に至るまで“鉄”の時代が続いてきました。わたしはこれまでその“鉄”が文化や社会にどのような影響を与えてきたのかについて,考古学の手法を主に用いて研究してきました。現在の主なフィールドは東北アジア(モンゴルやロシアなど)ですが,東アジア古代鉄文化研究センターの研究員だったころは国内外の様々な遺跡の調査に関わってきました(モンゴルの大草原,ゴビ沙漠,シベリアの森林地帯,江戸遺跡,沖縄のグスク,北海道のチャシなど)。最近では江戸時代や明治の鉄も対象としています。
 考古学はフィールドの学問ですので,みなさんも大学の外での調査と学内での研究の両方をすることになります。屋外の調査はそれなりに大変ですが,普段の生活では味わうことのできない貴重な体験を積むことができます。また,それぞれの土地では現地の方々と交流を深めながら,共同で調査を行うことになります。
 学力はそこまで問いません。精神力と体力があって,いろいろなことに物怖じしない学生さんを歓迎します。

笹沼 朋子講師

ささぬま ともこ / SASANUMA Tomoko

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専門分野:労働法

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教員からのメッセージ
 最近では,ブラック企業とかブラックバイトなどという言葉も流行るようになりました。学生さんの中には,「ブラック企業に就職してしまったらどうしよう」というような不安を抱く人も増えました。労働法という法律は,そんな不安を抱く労働者の権利を保障して,なるべく快適に働くことができるように社会を変えていくために作られました。
 けれども,労働者を守るために,国家あるいは政府が,心優しくもそんな法律を用意してくれたわけではありません。また,法律があるからといって,わたしたちの職業生活が安定していて,幸せだということもありません。労働法は,労働者自身が闘い,権利を勝ち取って,その結果として生まれ,育っている制度なのです。労働者が少しでも甘い顔をして,闘うことを忘れたら,保障された権利はちりぢりと霧散してしまうでしょう。
 では,労働者は,何と闘うのでしょう。何と闘い続けて,権利保障を守るのでしょうか。政策を練り,法律を作り,それを実施する国家でしょうか?自分たちにとって都合の良い政策や法律を作るよう画策する強大な経営者団体でしょうか?あるいは,自分が就職している会社や,自分の上司でしょうか?あるいは,「上司のいうことに逆らってはいけない」という世間の常識でしょうか?
 おそらく,労働者は自分の権利を守るために,そのすべてと闘い続けています。けれども,最も厳しい闘いは,「こんなことを言ったら,会社に居づらくなってしまうのではないか」と尻込みをする自分自身の心の葛藤ではないかと思います。大学では,ぜひ,その自分自身の心の弱さについて,研究し,学んでください。そして,それを克服するためにすべきことを考えてください。労働法は,労働者のために必要な法律関係の知識であり,この知識によって,ブラック企業が,あるいは日本の企業が,いかに違法な行為を行っているかを知ることができるでしょう。けれども,その知識を活かして,自分自身の職業生活を快適なものに変えていくためには,自分自身の心の弱さや醜さと向き合い,自分自身を改革していく勇気を養っていかなければなりません。大学というところは,そういう自分が生きていくための,勇気と智恵を養う場であり,それが大学で学ぶ労働法です。

佐藤 智秋教授

さとう ともあき / SATO Tomoaki

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専門分野:統計学

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教員からのメッセージ
 今から2千年ほど前,遠く古代ローマ帝国において人口調査が行われていました。新約聖書には,この調査を受けるために,ある一組の夫婦が故郷のベツレヘムに戻り,その時,一人の男児が産まれたと書かれています。我が国においても,日本書紀の中に人口調査についての記述があります。このころの人口調査は,専ら徴兵や徴税のために行われていました。
 さて,現代の日本では,5年に一度,国勢調査と呼ばれる人口調査が行われています。もう少し説明すると,日本の人口は,5年に一度,全世帯を対象とする国勢調査によって把握され,国勢調査と国勢調査の間は,国勢調査人口にその後の出生数や死亡数を加減し,毎月の人口が推計されています。
 日本では人口減少が社会問題になっていますが,国内の人口は2008年にピークに達し,その後,減少が始まっているのがこの人口推計により捉えられています。ところが,あまり注目されていませんが,さらにその後の2010年10月に実施された国勢調査で,国内人口は過去最多を記録します。矛盾してみえますが,どちらも事実です。要するに,真の人口は掴めていません。ライフスタイルの多様化などから,国勢調査の捕捉率の低下が危惧され,2010年の国勢調査時に調査方法を変更したことが,混乱の一原因になっています。
 21世紀の我が国の関心事は広範囲に渡り,そのための統計調査も膨大な数になっています。大勢の人間が,統計調査の結果を使いながら,巨大な装置を操作しようとしている姿をイメージしてみてください。残念ながら,私たちは必要とされる統計もその使い方も十分に獲得できていません。まだまだ,危なっかしい舵取りをして行かざるを得ないようです。
 ここまで国家による統計調査について触れましたが,今日では,社会,組織,個人が,何らかの判断や予測をする際に,統計を利用することが不可欠になっています。授業では,現行統計の特徴を理解し実際に利用してみながら,課題解決のための統計の利用方法を考えていきます。こうした統計学を一緒に学んでみませんか。

佐藤 亮子准教授

さとう りょうこ / SATO Ryoko

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専門分野:観光まちづくり論

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教員からのメッセージ
 日本を訪れる外国人旅客が急増しています。政府が立てた2020年に2000万人という目標は,近々に達成されるでしょう。世界に目を移すと,年間12億人近い人が海外旅行をしています(国連世界観光機関)。世界の人口が73億人ですから,地球上の16%もの人が国境を越えて旅をしているということになります。まさに人類大移動時代です。
 では,そうした人たちが何を見たいかといえば,その国ならではの文化や自然ということになりますが,実は外からきた人たちは,そうしたものを守りつなげている人の暮らを見ているのです。なかでも近年の傾向としては名所旧跡周辺だけでなく,地方の何気ない光景や暮らし,手仕事や食などを体験したいという人が増えている。つまり,グローバルに移動しつつ,ローカルな価値に目が向いているということ。逆に言えば,地域という空間に人々の営みが時間を経て蓄積してきたものの意味を正当に解釈し発信する,すなわちローカルな価値の普遍性をグローバルに問いかけていくことが重要になります。グローバル・スタディーズ履修コースに「観光」を位置づけている所以です。
 まちづくりについても同様です。ローカルな活動はグローバルに共鳴しあっています。「まちづくり」という概念は,アメリカでも「machidukuri」で通用する,あるいは「社区創造」(台湾)や「マウル・カクギ(マンデルギ)」(韓国)といった言葉の元になるなど,グローバルに普遍性を持ち始めています。逆に住民参加(参画)の手法として広まっている「ワークショップ」「ファシリテート」などは海外から入ってきたものですが,ずいぶん日本でも定着してきました。またCSA(CommunitySupportedAgriculture)のように,日本に習って海外で広がった活動が,逆輸入されている例もあります。国境を越えてローカルに学び合い,それぞれのまちづくりに活かしているのです。
 「観光」「まちづくり」はグローバルとローカルを相互に結んでいます。ゼミでも,国内・海外のフィールドをめぐりながら,地域に根ざした観光やまちづくりについて学んでいきます。ローカルでグローバルな地域のダイナミクスを経験することは,社会人への大きな礎になることでしょう。ぜひ一緒に勉強してみませんか。

柴田 昌児准教授

しばた しょうじ / SHIBATA Shoji

専門分野:考古学

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教員からのメッセージ
 私は瀬戸内海の辺りで生まれ,海がある景観を見て育ちました。海産物料理などの「食」は言うに及ばず,潮の「香り」やさざ波の「調べ」など,私は匂いや音にまで海を感じて生きてきたのです。
 このように普段はとくに意識することは無いですが,私たちが育った海や川や山などの自然環境は,いつも身近にあり,知らず知らずのうちに生活の中に溶け込んでいるのです。
 これは,いにしへの人々の生活にも当てはまることではないでしょうか。
 考古学者である私にとって,遺跡や出土遺物は人間の様々な活動が残した痕跡であり,当時の社会や歴史を復元する重要な研究題材です。こうした遺跡や出土遺物を海や山からの視点で見つめ直すと,今まで明らかにすることができなかった新たな歴史を導き出すことができるかもしれません。
 多様な視点で物質文化をみることで,いにしえの人々の活動とその社会を復元することができるのが考古学の醍醐味なのです。かくいう私もこの醍醐味に魅せられた人間の一人。如何でしょう,学生のみなさんも味わってみませんか。

清水 史教授

しみず ふみと / SHIMIZU Fumito

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専門分野:日本語学

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教員からのメッセージ
 「負けず嫌い」って「負けるのが嫌い」という意味ですか?と,外国の人に尋ねられたら,あなたは何て答えますか。ちゃんと答えないと国際問題にまで発展しかねませんよ。
 私たちは,この分かっているようで,実はよく分かっていない日本語を相手にして,いろいろとその正体にさぐりを入れています。この研究分野を人は,国語学とか日本語学とか呼んでいます。相手もなかなかのもので,本当の姿を容易にはあらわそうとしません。そこでいろんな手だてを駆使することになります。時には犯人を追いかける刑事であったり,時には病原体を見つけ出す臨床医だったりするわけです。推理小説さながらに,これが犯人かと看破したときは胸がどっきんどっきんします。
 日本語自体は犯罪を犯しているわけではありませんが,たとえば,人にそれぞれ固有の人相と着衣があるように,日本語もことばとしていろいろな面(手がかり)を持っています。音声・音韻の面,語彙・意味の面,文のしくみ(文法),言語生活の面等々,それぞれ日本語の人相や着衣にあたるものといってよいでしょう。ベテランの刑事になると,ひとつの手がかりだけで事件の真相に迫ることも可能ですが,新米の人は幅広く捜査の目を養っておくのがよいと思います。なんだ簡単だって?そう簡単です。ただ,ひとつだけ断っておきますけど,我々の相手にする日本語は,年齢にすれば1900歳は優に越えていますし,また,日本列島は世界地図の上では小さいですけれど,津軽弁と鹿児島弁とではまったく通じないという現状もあったりするわけですね。一筋縄ではなかなか……。あなたも捜査会議に参加してみますか。

邢 東風教授

しん とんふぉん / SHIN Tonfon

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専門分野:中国文学

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教員からのメッセージ
 周知の通り,中国は数千年の歴史をもつ国である。悠久の歴史の流れの中で,様々な思想や思想家,流派・学説等が現れ,豊富な精神的遺産を遺してきた。我々現代人の生活は,物質面や科学技術的側面においては,古代を遙かに上回る水準に達したが,その精神や知恵の側面においては,必ずしも,古代人よりも優れているとはいえないであろう。確かに,我々の生きている「現代」という時代は,古代の中国社会とは,様々な点において大きく異なっている。しかし,その一方で,いつの時代いかなる国に生まれようと「人間として共通の問題」というものが存在することもまた事実である。例えば,如何に世界を見るか,如何に「為人処世」(人となり,世に処す)るか,如何に「安心立命」(心を安定させて命を確立させる)か,如何に生死・運命・名利・他人・自己に対応するか,などの問題は,何時でも何処でも,人間にとって普遍的な課題として迫って来るものであろう。そうした普遍的な問題を解決するためには,古代人の英知が大いに役立つのであり,古代賢人の智恵を借りる必要があるのである。そうした意味において,古代中国の考え方や価値観は,現代人にとっても,変わることのない,貴重な知的財産の宝庫―精神遺産なのである。

菅谷 成子教授

すがや なりこ / SUGAYA Nariko

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専門分野:東南アジア史

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教員からのメッセージ
 私と異文化との自覚的な出会いは,小学校1年の秋,当時の西ドイツから日本に帰国した時でした。タラップを降りるなり熱風が吹き寄せるなか,出迎えや見送り,さらには「飛行場」見学の多数の「日本人」を見た時でした。ああ,なんというところに着いたのだ。なんだか黄色い,貧相な体格をし,なんとなく垢抜けない服を着た異様な人びと・・・。西ドイツにいるころ,私は自分が「日本人」で,周りの人びとと違っていることを子供心にもはっきりと自覚していました。それでも日本および日本人の第一印象は,上に述べたようなものであったのです。
 ずっと後になって,ある人が次のように言っているのを聞きました。「飛行機を降りると熱風が吹き寄せてきた。褐色の肌をした人を見たとき,ああ,第三世界に来たのだと強く実感した」と。その後,東南アジアの歴史を勉強するようになって,フィリピンをフィールドとするようになりました。日本に出稼ぎに来たことのあるフィリピン人は,次のように言いました。「日本の空港は素晴らしい。とてもきれいだ。さすが先進国日本だと思った」と。
 しかし,私には「日本の第一印象」が忘れられません。私たちは,ともすれば「欧米」に親近感を抱き,彼らにもそれを期待しがちのように思われます。しかし,一般の欧米の人びとは,日本あるいは日本人のことをどう思っているのでしょうか。一方,アジアの人びとは,どうなのでしょうか。そんな風にいろいろと思いをめぐらせてみると,普段の風景がなにか違って見えてくるかもしれません。

鈴木 靜教授

すずき しずか / SUZUKI Shizuka

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専門分野:社会保障法

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教員からのメッセージ
 人権としての社会保障の観点から,社会保障法学を研究しています。
 現代は,「当たり前に暮らす」ことが,ますます難しくなってきています。その背景には,仕事に就き,働き続けることが難しくなっていることもありますし,一人ひとりの生活を支える所得保障や医療,福祉サービスのあり方が,多様性をもつ私達の暮らし方にあっていないこともあるかもしれません。人々の生活実態はしっかり踏まえたうえで,法制度のあり方や政策が実施される際の問題点を,「法的に」考察し,今後の展望を考えていきます。社会保障は,私自身や家族の問題です。それ以上に,私や家族を超して社会のあり方を考え,新たな社会を創り出すための学問分野だといえます。たとえば,多くの人たちが,質の高い社会保障サービスを望みますが,「質の高さ」はどのように考えたらよいでしょうか。私は,「質の高さ」を決めるのは,自治体の責任,サービス提供者の専門性とともに「民主的手続き」が大事だと考えています。私たちが,自治体やサービス提供事業所に「お任せ」で良いサービスと望むだけでは,ニーズに合ったサービスにはなりませんし,社会保障制度についても無関心なままです。
 では「民主的」とはどういうことか。それ以前に,「当たり前に暮らす」の「当たり前」とは具体的にどういうことか。時代により,地域により,一人ひとりにとって,どういう意味を持ち機能するのか。国や時代により,同じではありません。その矛盾に敏感な年代のひとつは,学生である10代,20代の皆さんであると感じています。
 頭が柔軟で,フットワーク軽い学生こそ,さまざまな問題や価値観を考えることができます。社会保障分野での課題は,新しい時代を考えることが大事ですし,そのためには歴史を学ぶこと,理論を学ぶこととともに,生活の場で実際に困難を抱えている人たちの話を聞くこと,理解することが大事です。他者の話を聞くことは,大変ながらも「面白い」ことです。こういう人になりたい,と思うような大人に出会うことも多いです。それが大学教育,社会保障法学の学びの面白さだと思います。