法学

楢林 建司教授

ならばやし たけし / NARABAYASHI Takeshi

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専門分野:国際法

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教員からのメッセージ
 新たに生まれ変わった法文学部は,グローカル・マインドを備えた「グローバル人材」の育成を教育の理念として掲げています。そうした理念に対して,私はインターナショナル(国際的ないしは「国家間的」)な視点から貢献してゆきたいと思っています。
 例えば,日本は,世界に展開しているPKOに対し,さまざまな人的貢献,財政的貢献,知的貢献を行っています。なぜなのでしょうか。道義的な思いからでしょうか。権益や発言権を確保するためでしょうか。もちろんそうした動機や思惑はあるでしょう。しかし,内戦などで政府機能が崩壊した国に,日本がPKOなどを通して関わるのは,今なお世界平和の基盤をなしている主権国家秩序の崩壊を防ぐためだと,私は考えています。そして,このことは,日本の平和と繁栄のためにも不可欠だと考えます。
 たしかに,主権国家秩序の実相は,歴史の歩みとともに変わります。遠い将来には,世界連邦が出現するかも知れません。主権国家体制をいちはやく打ち立てたヨーロッパは,現在,さまざまな紆余曲折を経ながらも,1つになろうとしています。ただしこれは,あくまで主権国家秩序が段階を踏んで変化したものであって,その崩壊ではありません。世界には,シリア,イラク,アフガニスタン,ソマリア,南スーダンなどをはじめ,まだまだ安定した国をつくりえていない「国」が少なくありません。こうした「国」を安定させるため,我々は何をなすべきなのか,何をなしうるのか,何をしたらいけないのか,考えましょう。
 また,私は法文学部の一教員として,学生のみなさんに,時間や空間を越えて他者を理解する「共感力」と,具体的な課題を発見ないしは設定し,それに他者と協力して取り組む「実行力」を身につけてもらうため,微力を尽くしたいと思っています。大学という場をベースに,前向きの人間関係を広くつくってゆきましょう。