地域文化分野

竹川 郁雄教授

たけかわ いくお / TAKEKAWA Ikuo

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専門分野:社会学

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教員からのメッセージ
 社会学は人と社会との関わりを考える研究領域の一つだが,その対象や方法はさまざまである。最近では,メディア,福祉,医療,犯罪,環境など,日常生活の多様な方面にアプローチする傾向が見られ,分析視座も社会の秩序に関する機能主義的なものから日常生活の一面を読み解こうとする相互作用論的なものまで多様化している。
 さてわたしは,1984年からいじめの調査研究会に入り,その後もいじめについて考察してきた。わたしの関心は,児童生徒の間で実際におこっているいじめにどう対処していけばよいのかという直接的な問題にあるのではなく,いじめを発生させる条件や背景的要因を考えることにある。仲間集団で作られるルールや決まり事が各メンバーにどのように影響しているのか,いじめられる側にも責任があると考えるのはなぜか,まわりで見て見ぬ振りをするのはどのような意識や作用がはたらいているのか,といったことをテーマとしている。そうした視点は,いじめに限らず,不登校や摂食障害などの問題,現代の家族や若者の行動,流行現象や人々の生活意識などと通底しており,これらのテーマに関心を持つ学生諸君と一緒に考えていきたいと思っている。
 さらに最近は,現代の四国遍路について調査を実施して,その実態や遍路する人々の意識を解明することをテーマとしている。何度もお四国を回る人々がたくさんいるのはなぜか,その魅力を明らかにできないかと考えている。

野崎 賢也准教授

のざき けんや / NOZAKI Kenya

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専門分野:社会学

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教員からのメッセージ
 食と社会や環境の関係を研究しています。食べものが作り出される自然環境・生態系や地域社会と,食べものの消費は相互に影響しています。ここ数年,日本でもやっと話題になり始めましたが,クロマグロやウナギなど,絶滅が危惧されている水産物の大半を消費しているのは日本です。このままではダメなのは明らかなのに,自分でブレーキをかけて止められないまま,行きつくところ(=絶滅)まで行ってしまいそうな,食べ尽くしそうな勢いです。
 食の安全についても同様で,日本社会は一面では食の安全にとても厳しいですが(食べものの外見や異物混入など),他方では世界的に安全性が危惧されている食品添加物や化学物質(人工甘味料やトランス脂肪酸など)は規制も進まず,身近に氾濫しています。日本社会は,食べものによって深刻な健康被害を引き起こした水俣病等の公害や森永ヒ素ミルク事件などを経験したはずですが,その反省がいかされていると思えません。授業で水俣病のことを取り上げると,多くの学生はその名称を知っているだけで,水俣病が認められるまでに長い時間がかかって被害が拡大したことも知らないし,それが遠い過去の出来事だとイメージしていて,いまでも救済されていない被害者が多いことも知りません。「臭いものにフタ」という言葉があるように,都合の悪いことを直視せず,途中で止められず行きつくところまでいってしまうのは,食べもの以外にも日本社会にはたくさんの事例があると思います(「戦争」もそうでした)。テレビや新聞などのマスメディアやジャーナリズム,そしてアカデミズムのあり方も関係があるでしょう。
 食と健康の問題では,しばらく前から肥満と貧困の関係も知られるようになりました。世界の「飢餓人口」は8億人,その一方で「肥満人口」は数年前に20億人を超えたと推計されています。しかし,これは世界が豊かになったからだと単純には言えず,飢餓も肥満もどちらも「貧困」が関係しています。先進国でも途上国でも,貧困層で肥満が増加していて,これは社会の「格差」と関係があります。日本も貧困が社会問題とみなされるようになり,特に「子どもの貧困」が懸念されています。
 食に関わる様々な社会問題を,フィールドワークや実践活動も交えて学んでもらいたいと思っています。

朝井 志歩准教授

あさい しほ / ASAI Shiho

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専門分野:社会学

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教員からのメッセージ
 地球環境問題をはじめとして,今日の社会では環境問題に対する関心が高まり,経済や政治,私達の生活など社会の様々な領域のあり方が環境問題と関わっていると考えられるようになりました。しかし,環境問題への関心が進んだ今日でさえも,未解決なまま放置されている環境問題も社会には存在しています。これまで私の研究では,オゾン層破壊物質であるフロンの回収が法律で義務付けられるまでの過程や,米軍基地周辺での騒音問題など,現代の日本社会で解決されてこなかった環境問題を取り上げ,市民運動やNPOの取り組みが問題解決過程にどのような影響を与えてきたのかという点に関心を持ってきました。つまり,環境問題の発生や問題解決が困難な構造的要因の解明と,市民運動による問題解決への取り組みという相互関係について,社会学の観点から研究しています。
 環境問題というと,自然科学の領域での研究だと思われる学生も多いかと思いますが,環境問題というのは自然災害とは違い,人間の諸活動が原因となって発生しています。そのため,人と社会との関わりや,社会規範の形成,集団内での意思決定,社会構造の変化や文化のあり方などといった観点で物事を捉える社会学でこそ,環境問題の把握に有効であるといわれています。
 2011年3月の東日本大震災による福島第一原発の事故以来,放射能という環境リスクの大きさを社会はどのように考えていくべきかという問題に私達は直面しています。社会の持続可能性がますます問われるようになってきた中で,原発問題をはじめとする様々な環境問題を通して,地域や社会,私たちの生活のあり方など,これらのテーマに関心を持つ学生たちと一緒に考えていきたいと思っています。

兼子 純准教授

かねこ じゅん / KANEKO Jun

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専門分野:地理学

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教員からのメッセージ
 出身は愛知県豊田市で,これまで新潟県と茨城県つくば市に在住していました。それぞれ地域的な特徴や個性を持つ場所ですが,共通していたのは「自動車社会」であったということです。いわゆるモータリゼーションの進展によって,われわれ生活者は便利さを享受するとともに,活動の範囲を大幅に広げてきました。そのような生活者(消費者)に対して,チェーンストアと呼ばれる企業群は,消費者の身近な場所に店舗を展開し,大量仕入れやコストの削減によって低価格な商品を販売して,消費者の支持を集めて成長してきました。今まで大都市に行かなくては買うことができなかった衣料品や雑貨のブランドも,現在では全国各地に展開するショッピングセンターで手に入れることができます。そのような背景には,道路網整備による物流システムの発達や情報システムの高度化といった技術の進歩が欠かせません。
 以上では近年の買い物環境を巡る「善」の側面を強調してきましたが,「負」の側面はないのでしょうか。上記の店舗群は消費者の近くに店舗を立地しようとするあまり,「郊外型」「ロードサイド型」の商業集積地を新たに生み出してきました。衣料品チェーン,家電量販店,大型ショッピングセンター,食料品スーパーなどなど・・・。限られたパイ(人口数)の中で,新たな購買先が生まれれば,奪われる場所もあります。それが中心市街地の空洞化問題と呼ばれるものです。なぜ,中心市街地を活性化させなければならないのか?これは学問上での課題でもありますが,中心市街地はやはり「都市の顔」とも呼ぶことができる存在で,その都市の経済,社会,文化の基盤となるべき場所です。自分の出身地が没個性で他の都市と何ら違いがなければ,その土地に愛着を持てるでしょうか。私は愛媛という土地で,今後の都市がどのような存在であるべきなのか考えていきたいと思います。
 2008年の日経流通新聞(日経MJ)によれば,皆さんの世代の若者は「巣ごもり族」と呼ぶそうです。つまり,車離れ,酒離れが顕著で,インターネットや電子機器を活用して自宅での快適な生活を楽しみ,行動範囲を広くしない志向の世代だそうです。これは悪い側面ばかりを強調した話ではありません。若者の車離れは,環境問題への強い関心の現れであり,これからの都市社会は公共交通を活かしたコンパクトなまちづくりをしていかなくてはならないのですから。しかし,せっかく松山という土地で過ごすからには,一歩まちへ出かけて「見て」「聞いて」「話をして」見ませんか。地理学のアプローチは多様ですが,私はさまざまな土地で見て,聞いて,話をして,その地域の構造を把握することに努めています。さまざまな土地に出かけ,さまざまな人から話を聞き,たまにはお酒の力を借りながら語り合える,地理学はそんな魅力のある学問ですよ。ぜひ,一緒に地理学を学びましょう!

笹田 朋孝准教授

ささだ ともたか / SASADA Tomotaka

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専門分野:考古学

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教員からのメッセージ
 人類が使用した利器の材質で時代を区分する方法があります。この時代区分を使用した場合,約三千年前から現在に至るまで“鉄”の時代が続いてきました。わたしはこれまでその“鉄”が文化や社会にどのような影響を与えてきたのかについて,考古学の手法を主に用いて研究してきました。現在の主なフィールドは東北アジア(モンゴルやロシアなど)ですが,東アジア古代鉄文化研究センターの研究員だったころは国内外の様々な遺跡の調査に関わってきました(モンゴルの大草原,ゴビ沙漠,シベリアの森林地帯,江戸遺跡,沖縄のグスク,北海道のチャシなど)。最近では江戸時代や明治の鉄も対象としています。
 考古学はフィールドの学問ですので,みなさんも大学の外での調査と学内での研究の両方をすることになります。屋外の調査はそれなりに大変ですが,普段の生活では味わうことのできない貴重な体験を積むことができます。また,それぞれの土地では現地の方々と交流を深めながら,共同で調査を行うことになります。
 学力はそこまで問いません。精神力と体力があって,いろいろなことに物怖じしない学生さんを歓迎します。

幸泉 満夫准教授

こいずみ みつお / KOIZUMI Mitsuo

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専門分野:考古学

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教員からのメッセージ
 私は,文系では法文学部でのみ取得可能な国家資格「学芸員資格」の養成コースを担当しています。従って,ゼミでは各種博物館の収蔵庫に未評価のまま眠る,貴重な考古系資料(=出土文化財)を「博物館学」的視座から再評価することが,専攻生の皆さんへの課題となります。同じ考古学分野でも,私のゼミでは「博物館学」がベースであり,遺跡の「発掘実習」は現在行っていません(=2016新制「考古学Ⅱ」)。
 私が受け持つ博物館実習,博物館資料論,博物館教育論,考古学特講Ⅱ等の関連諸授業では,学生の皆さん達とともに学び,語り合うなかで,フィールド調査の方法や文化財資料の取り扱い方,展示,普及教育,研究成果の公開方法など,様々な専門技術と知識,理論の修得を目指しています。そして,学部生段階での国家資格「学芸員資格」免許の取得が目標の一つです。在学中,幾多の実践経験を積み重ねることによって,専門性の高い職種へと就職の門戸も開かれることでしょう。具体的には各種学芸員や文化財専門職員,教職員等として,各地の博物館園や教育委員会,埋蔵文化財センターなど,様々な専門研究機関や教育機関等への道が期待できます。その道程は決して平坦なものではありませんが,充実した環境のもと,次第にスペシャリストとしての素養と自覚が養われていくことでしょう。また,例え将来は文化財関連の道に進まないとしても,きちんとした目標を定め,大学で出土文化財について学ぼうとする意欲があれば,大いに歓迎します。
 私の専門は先史考古学です。従って実践研究は「出土文化財」を基盤としていますが,その対象領域は日頃私たちが生活する身近な地域内部にも,皆さんの生まれ故郷にも,そして諸外国へも無限に広がっています。博物館学をベースにした先史考古学に興味関心がある学生さんは,ぜひ一度,法文学部本館4階にある研究室や博物館実習準備室を訪ねてみてくださいね。

中原 ゆかり教授

なかはら ゆかり / NAKAHARA Yukari

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専門分野:文化人類学

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教員からのメッセージ
 皆さんは文化人類学というとどんなイメージがありますか?どこか遠くのしらない土地へ出かけ,先住民たちの家を訪れ,素朴な手作りの道具で調理したものを食べる・・・そんなテレビでみたことのある光景を思い浮かべるのではないでしょうか。人類学では長い間,西洋化以前の先住民の土着文化への懐古,あるいは消えつつある東洋的異国情緒の復元といった視線で文化が語られてきました。こういった西洋中心の評価に皆さんは疑問を感じることでしょう。現在の人類学では,語り手のポジションから生まれる制約を充分認識することを大前提とするようになりました。また研究対象も,以前「未開」とされていた地域の文化や社会変化のみならず,様々な地域の大衆文化も扱っています。例えば,ファッション,食物,大衆演劇,音楽,巡礼等です。
 入学してから4年間,大学生活の中で様々な経験をすることと思います。そういったことも含めて自文化を客体化し,楽しみながら勉強していきましょう。