愛媛大学法文学部 国際交流報告書2015
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12いう語を連発しつつ涙を流さんばかりに感動していたり、目を背けたくなる現実を直視しショックを隠せないながらもなんとか堪えていたり、笑いすぎてもだえ苦しんでいたりと、学生たちがとにかく生き生きと過ごしているさまに接し、引率教員として、心からうれしく感じた。第2に、現地での質問票調査とインタビューを、学生たちは本当によくがんばったと評価したい。208という回答数の多さもさることながら、インタビューでも、相手を理解しようという誠実な態度が、言葉の壁(英語のみならずカンナダ語およびヒンディー語)を超えて、深い理解につながっていたように感じられた。第3に、「先行研究を批判的に読む→現地調査で実態を捉える→レポートにまとめる際にはオリジナルな主張を展開する」という基本的なプロセスを、学生たちはしっかりと実践できたといえる。第4に、しかし、質問票調査で得られた結果や、インタビュー調査で聞き取った内容などを十分に咀嚼して、そのすべてをレポートや成果発表にうまく生かすことができたかというと、若干残念に感じるところもある。特に、当初、全体テーマとして掲げた「格差」という点につなげて考察を深めるという段階にまでは至らなかった。なお、引率教員側の反省点として、安全確保の対策が十分だったか、また、JNUでの国際セミナーで議論を深めるための工夫が十分だったかという2点を記しておきたい。 今回、ベンガルールでは3日間にわたって、神戸女学院大学のインド・スタディーツアーに合流し、同大学文学部准教授の北川将之先生および学生さんたちと行動を共にさせていただいた。ベンガルールでの訪問先はすべて、北川先生にご紹介いただいた。また、デリーでは、愛大アカデミック・アドバイザーの戸澤健次先生および岡本幸治先生とご一緒させていただいた。デリーのNGO(Safai Karmachari Andolan、清掃人運動)については、東京外国語大学研究員の鈴木真弥氏にご紹介いただいた。トヨタ・キルロスカ・モーターの高橋正典氏と、株式会社リエマサラ(マサラツアーズ)の後藤理恵氏には、講演をしていただいた。また、JNUではH. S. プラバカール先生とアニター・カンナ先生に、SJCCではダニエル神父とタスミヤ先生にお世話になった。 「インドではインド人を尊敬しながら接すると、尊敬が返ってくる。皆さんにはインドの人たちとの違いを見つけるのではなく人間として私たちと同じところを見つけてほしい。」という話を聞いて、素直にそうしようと肩の荷が下りたような気がしました。それからは街を歩くときや接する時もインド人に対し尊敬を持つようにしました。バスから街の人々に笑顔で笑いかけると、ニコッと笑顔で手を振ってくれるインドの人びと。農村で村の女性に質問するとき、座っていたところに私がスマホを忘れていたら渡してくれたインド人女性。女子寮にて、一緒に歌ったり踊ったりして爆笑する女子高生。インドの人たちと関わっていく中でどのインドの人たちも、私たちと人として同じところを見ることができました。貧困女性の問題に関しても裁縫研修センターの女性の生の声や生の雰囲気を感じることができ、論文で読むだけでは感じることのできない声を聴くことができたと思います。その女性に「裁縫研修センターに通うきっかけは何だったのか?」と聞いたら、「旦那の助けになるため」と言っていたのは本当にかっこいいと感じました。(岩本庸督) 初めての海外フィールドワークを通して、初歩的な部分ではあるがフィールドワークという活動に向けての準備や現地での調査方法などを理解し、実践することができた。また、その中で私の調査テーマであった留保制度について理解を深めることができたとともに、人々の留保制度についての意識もある程度把握することができた。しかし、英語を積極的に使用するという点においては課題が残った。日本人学生と一緒に行動していたことであえて英語を話す必要もなかったため、それに甘んじてしまった。自分をしっかりと持ち、目指すべき目標に向かって芯のある言動を取っていかなければならないと感じた。(岡村朋哉) インドでは様々な風景を見ることができた。IT産業が盛んで高層ビルばかり建っている地域もあれば、トイレの中一面にうじむしが這っているようなところもあって、それでもインドの一部かもしれないが、多様性を感じることができた。改宗仏教徒をテーマにインドでの調査を行ったが、実際に改宗仏教徒の方にもお会いすることもできて有意義な結果だったように感じている。JNUの学生に対して行った質問票調査に関しては、英語がわからないことでやや苦戦したところはあったが、積極的にいくことはできた。それに比例して数も取ることができた。(葛上峻史) 日本での事前学習で得た情報や、そこから想像していたことを、農村やインドのドラッグストアへ行って確かめることができた。アネッカル地区では農村の子供たちとたくさん触れ合うことができた。また、農村女性に化粧(特に美意識)について質問することができ、大きな収穫となった。子供たちの寮へ行った際は折り紙、あやとり、ダンスで楽しく交流できた。また、その時15歳の女の子に“何を学んでいるの”と質問された。この時にインドの子供たちの学びへの貪欲な姿2.参加学生の“ふりかえり”シク教徒の青年にターバンを巻いてもらう化粧部員さんに口紅を塗ってもらう

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