愛媛大学法文学部 国際交流報告書2015
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14 2015年度のインド海外研修は、南インドのカルナータカ州で実施した。同州ウッタラ・カンナダ県シルスィ郊外で行われている「エコツーリズム」について、実際の体験を通して理解することが主な目的であった。また、現地日系旅行会社の代表取締役社長や、世界遺産ハンピ遺跡を訪れて現地のガイドさんにも話をうかがい、現代インドにおける「観光」のありようを多角的に捉えようと試みた。 シルスィ郊外のフルゴル村周辺で行われている「エコツーリズム」は、イギリスのVillage Waysという企業の援助により、地元の協同組合Spice Routeが中心となって運営されている。ここを訪れるゲストは、フルゴル村につくられた快適なゲストハウスに宿泊することができ、日中は、村のガイド(英語が堪能)と共に、スパイス農園や、村の人びとのお宅にお邪魔したり、バードウォッチングをしたり川遊びをしたりする。ゲストハウスでの食事や清掃は、村人たちが交代で担当してくれる。今回の研修では、以下のようなプログラムで案内していただいた。 1日目 ・スパイス農園見学アレカ・ナッツ(ビンロウ)、バナナ、コショウ、カカオ等 ・村のお宅訪問 ・結婚式に参列 2日目 ・鍛冶屋さん見学 ・小学校&幼稚園訪問 ・遺跡「サハスラリンガ」見学 ・アレカ・ナッツ取引所見学 ・スパイス協同組合訪問 ・ヒンドゥー教寺院訪問 ・野菜市場(定期市)見学 ・NGO事務所で関係者にインタビュー 参加学生2名は、法文学部総合政策学科(夜間主コース)の演習科目「課題演習」において、事前にこのSpice Routeの「エコツーリズム」に関する記事等を読み、現地で関係者にインタビューを行い、分析を進めて、レポートをまとめた。 学生のレポートや調査日誌など、本研修の成果は、『2015年度インド海外研修報告書』として刊行する予定である。 全体として2015年度のインド海外研修を総括するならば、第1に、学生たちは日本とインドの違いに終始驚きつつも、その違いを大いに楽しめたようで、なによりであった。初めての海外渡航先がインドで、しかも夜行列車に乗って通常の観光地ではない辺鄙な村に連れていき、野山を歩きまわるということで、学生たちが体調を崩したり、食事が合わず苦労したりしないだろうかと心配していたが、杞憂であった。第2に、学生たちは、実際の体験や、ガイドさんとの話、また運営主体Spice Routeの中心人物のひとりであるスィーターラーム氏へのインタビューを通じて、シルスィのこの「エコツーリズム」の特徴をよく理解することができた。例えば、基本的にゲストが外国人だという点や、地域振興という要素が薄い点などは、興味深かった。(詳細は、『報告書』を参照のこと。)第3に、しかし、教員自身も含め、日本や世界のエコツーリズムの状況について十分な調査検討ができていなかったため、他の事例とのしっかりとした比較検討ができなかったのが反省点である。1.概要と総括(石坂晋哉)2015年度 インド海外研修担当教員:石坂 晋哉参加学生:中島  優、日野 和磨日  程:2016年1月2日~1月9日費  用:航空券関連&ビザ費用&保険費用:約21万円     宿泊費&食費&その他費用:約3万円参加者数:学生2名、教員1名バナナリーフ皿上のカレーを手で食す

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