愛媛大学法文学部 研究ニューズレターvol.6
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▲ 『四国遍路の世界』▲ 公開講演会1 センターについて愛媛大学では法文学部と教育学部の教員が2000年に愛媛大学「四国遍路と世界の巡礼」研究会を結成し,これまで20年以上にわたって学際的共同研究を続けてきました。毎年秋にシンポジウムや研究集会を開催し,多くの報告書・資料集や学術論文集を刊行するなど大きな成果をあげました。こうした四国遍路と世界の巡礼に関する長期にわたる研究活動・組織はほかに類例がなく,全国で唯一の研究拠点となっています。  四国遍路と世界の巡礼研究を進め,四国遍路に対する社会の関心に応えることは,地域の学術拠点であり,地域貢献を重視する愛媛大学に課せられた責務といえます。こうして2015年4月に法文学部附属四国遍路・世界の巡礼研究センターが設立されました。  さらに2019年4月から本センターは,文系教員の活動を全学的に組織化し,文系の研究力を駆使して地域創生に取り組むため,愛媛大学が社会連携推進機構に設置した文系研究センターのひとつとして,新たなスタートを切りました。2020年1月には「四国霊場八十八箇所と遍路道」世界遺産推進協議会普遍的価値の証明部会と連携協定を結び,四国4県への協力機能強化を図っています。2 公開講演会・研究集会・シンポジウムの開催 10月30日に愛媛大学四国遍路・世界の巡礼研究センター講演会・研究集会を開催しました。コロナウイルス感染症の予防対策をしながら,四国内の一般の方に入場いただき,四国外の方と希望者についてはZOOM参加で行いました。会場80名,オンライン66名の参加があり,オンラインには台湾からの参加もありました。今回の講演と報告の動画をホームページで配信しました。◆公開講演会・研究集会2021年10月30日 於 愛媛大学南加記念ホール主催:愛媛大学社会連携推進機構 四国遍路・世界の巡礼研究センター共催:愛媛大学法文学部,愛媛大学人文学会,四国遍路世界遺産登録推進協議会◇開会の挨拶若林良和(愛媛大学理事 副学長 社会連携推進機構長),胡 光(愛媛大学教授 センター長)全体進行:西耕生(愛媛大学教授 副センター長)◇講演「伊予国分寺と脇屋義助廟―札所と史蹟―」村上紀夫(奈良大学文学部教授)◇報告 ①「四国遍路の札所における大師堂」松岡明子(香川県文化振興課副主幹),②「世界の人々が歩く理由〜遍路道の小さなゲストハウスから」鷲野陽子(ゲストハウスtentsuki place),③「アメリカからの四国遍路巡拝団の歴史」モートン常慈(徳島大学教養教育院准教授),④「アショーカ王の巡礼譚にみるインド仏教の巡礼−仏典に描かれる巡礼とその実際−」岡田英作(愛媛大学大学院教育学研究科特定研究員)◇全体討論 司会:胡光 ◇閉会の挨拶 吉田正広(愛媛大学法文学部長)◆文系センター合同シンポジウム 12月19日には,地域共創研究センター,俳句・書文化研究センターとともに合同シンポジウム「三輪田米山生誕200年記念 米山日記とその世界」を南加記念ホールで開催しました。福田安典氏(日本女子大学教授)を講師に,各センター長の報告を加え,活発な議論を行いました。3 調査活動 科研費基盤研究B「霊場資料学の構築と霊場文化の解明による四国遍路の総合的研究」を得て,研究を進めています。12月16・17日には,香川県立ミュージアムと共同で善通寺文書の調査を行ったほか,学内に持ち込まれた歴史資料について,感染予防対策をしながら調査を行いました。4 その他 法文学部専門教育科目「地域フィールド実践」(担当:寺内浩名誉教授・胡・中川)では,北条海岸から53番圓明寺・52番太山寺を経て大学まで「歩き遍路」授業を行いました。 愛媛大学ミュージアムで,10月25日より4月8日まで,「仏の世界展」を開催しています。 2020年4月にセンターの編集で刊行した『四国遍路の世界』(ちくま新書)が2021年1月,愛媛出版文化賞を受賞しました。NEWS LETTER vol.615A ctivity 四国遍路・世界の巡礼研究センターの活動胡 光四国遍路・世界の巡礼研究センター

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