愛媛大学法文学部 研究ニューズレターvol.6
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 法文学部研究ニューズレターは,法文学部における研究活動を広く学内外のみな様に知っていただくために,発行しております。この第6号は,令和3年度の法文学部の研究活動を総括するものであります。「グローカル地域研究リサーチユニット」,基盤研究B2件,若手研究6件,さらに近著紹介6件が掲載されています。また,愛媛大学四国遍路・世界の巡礼研究センターの活動紹介,令和3年度の科学研究費採択者一覧表も最後に掲載されています。 このニューズレターを発行してみな様に配布させていただく主旨についてご説明したいと思います。まずは「ニューズレター」の過去を振り返ってみたいと思います。「法文学部ニューズレター」の前身 「法文学部研究ニューズレター」は,法文学部の改組を機に,平成28年度末に第1号が発行されましたが,実は,旧人文学科では,平成21年より「Humanitas人文学科研究ニューズレター」を発行していました。名称は,人文学(humanities)のラテン語です。当時の森孝明人文系担当学部長は,「人文学科の『研究ニューズレター』は人文学科の様々な研究活動の特徴や意義などを学内外の皆さんに広く知っていただきたく,発行いたしました」と挨拶文を寄せています。 この号では,四国遍路研究,資料学研究,製鉄遺跡発掘など,当時最も活気のあった愛媛大学研究活性化事業の支援を受けた研究3件を紹介するとともに,人文学科の支援を受けた共同研究,個人研究を取り上げ,地域の資料保存という研究面での社会貢献を加えて,その年度の研究活動を総括しています。 その頃は全国の国立大学が教員に科研費への申請を義務化します。愛媛大学では,研究活性化事業によって全学の研究センター化しそうなプロジェクトに支援が与えられました。ニューズレターの発行はこのような状況への人文学科の対応でした。その後科研費に応募する教員も増え,科研費の採択率も上がりました。第8号まで発行したところで「法文学部ニューズレター」に発展的に解消されました。平成28年法文学部改組と「法文学部ニューズレター」の発刊 新法文学部が誕生した平成28年度に発行された「法文学部ニューズレター」第1号の冒頭で,当時の加藤好文法文学部長は熱く語っております。 法人化後の教員の仕事量の増加や法文学部改組に伴う多大な労力を費やした情況でも,「教員一人ひとりが,受け身ではなく,攻めの姿勢で自らの研究環境を守り,切り開いていくとの意識」を持つよう力説し,そのために学部の研究支援を始めたと強調しています。「法文学部研究ニューズレター」第1号の発行は,「法文学部の様々な研究活動の特徴や意義などを学内外の皆様に広く知っていただく良い機会となります」と述べ,当時の「東アジア古代鉄文化研究センター」,「法文学部附属四国遍路・世界の巡礼研究センター」,「グローカル地域研究」リサーチユニットに言及しています。 また,「グローバル人材の育成」を目標に掲げた新法文学部にとって,「海外の大学機関等との学術交流やフィールドワーク・学生交流を通じた研究展開にも積極的に取り組む」ことの重要性を指摘しています。新法文学部発足当時の加藤学部長の意気込みが伝わります。 法文学部の改組の4年後,令和2年4月に人文社会科学研究科が新たに発足し,新法文学部と社会共創学部の卒業第一期生の進学先ともなります。新研究科には,法文学専攻(法学コースと人文学コース)と産業システム創成専攻(経済・経営コースと環境・資源マネジメントコース)を設置しました。大学院教育を担う教員にとって,研究活動は,これまで以上に重要になり,研究ニューズレター第4号の冒頭で私もそのことに触れています。 以上のように「研究ニューズレター」は,全学の研究活性化事業に対する人文学科の対応として始まり,法文学部改組に当たって改めて研究を推進しようとする加藤学部長の思いとともに刷新したことが分かります。ニューズレターにはこのような歴史が刻まれています。 さて,人文社会科学の研究は多様で幅広い研究領域をカバーしています。社会科学と人文学では方法論や研究活動のあり方もずいぶん異なります。社会科学は,法学・政治学にしても経済・経営にしても,社会そのものを研究対象にしていますし,さまざまな政策提言を行うことを前提に研究がなされています。それに対して,人文学は,地域の文化や社会を研究対象にすることはありますが,すぐに政策提言や地域貢献につながる訳ではありません。自らの興味関心に基づいてじっくりと研究する場合が多くなります。 この法文学部ニューズレターは「手紙新聞」ですので,これを手に取っていただいた方が,それぞれの関心で興味ある記事を少しでもご覧いただければ,その意図は達成されたと私は考えます。研究題目だけでもご覧いただき,愛媛大学法文学部の教員はこんなことを研究しているんだと思っていただくだけでも構いません。今の政治や行政,経済はどうなっているのか,法律的にはこれはどのように考えられるのかなど,すこしでも考えたことのある人にはヒントがあるかもしれません。小説や俳句に興味がある人,人間とは何かについて考えている人,歴史の好きな人,絵画や演劇に関心のある人,外国語を含めて言葉に興味のある人など,もしかして面白いと思っていただけるかもしれません。 このニューズレターは,法文学部のホームページでもご覧いただけます。人文社会科学の研究に少しでも関心を抱いていただければ幸いです。NEWS LETTER vol.62G reeting from the Dean 学部長あいさつ法文学部長 吉田 正広法文学部の研究活動とニューズレター

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