愛媛大学法文学部 青い地球交流記2020
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Study abroad brochure 20207この冊子を手に取ったあなたは、海外で学びたいという意欲を持っているか、または漠然と海外で学ぶことに興味や関心を持っているものと思います。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、海外に行くことさえままならず、せっかくの意欲・興味・関心も弱くなっているかもしれません。この状況でモチベーションを維持するのは大変ですが、それでも海外に行ける機会は必ず訪れます。その時に備えて今できることを、私の個人的な経験を踏まえて、二つ書きたいと思います。一つ目は渡航先の生きた言語に触れることです。私はイギリスの大学院に留学したのですが、当初クラスメイトが何を話しているのか分かりませんでした。これは冗談でも大袈裟に言っているのでもなく、本当に分かりませんでした。あまりにも分からないので、クラスメイトは全員イギリス人だったにもかかわらず、「みんな英語ではない別の言語を話しているに違いない」と思う程でした。私が彼ら彼女らの話す英語を理解できなかった理由は単純で、それまでイギリス人が話す生きた英語を聞いたことがなかったからでした。私が留学した頃に比べれば、今ではインターネットを使って非常に簡単かつ安価に、様々な言語に触れることができます。ニュースでも映画でもYouTubeでも何でも構いません。自分の興味のある内容について話された渡航先の言語に常に触れるようにしてください。二つ目は日本について学ぶことです。私は先生やクラスメイトから日本について聞かれることがしばしばありました。学術的な関心だったり、個人的な好奇心だったり、単なる気まぐれだったりと理由は様々です。ただ質問に答える時になっていつも痛感したのが、そもそも自分は日本についてよく知らないということでした。どれほど言語が上達しても、知らないことには答えられません。日本の文化、習慣、日常生活(これが一番説明しづらい!)などなど、当たり前に思っていることを一度見直してみてください。思わぬ発見があると思います。二つとも当たり前のことで、がっかりした人もいるかもしれません。ですが、この二つは海外に行った時にとても役に立ちます。それは少なくとも私の留学経験から保証できます。一瞬で全てを変える特別なことではなく、地道に積み重ねた当たり前のことがあなたを大きく成長させるのです。今は焦らず慌てずこの二つに取り組んでもらえればと考えています。■菅原 健志(国際関係論)最初の一歩を踏み出せないあなたへ■福井 秀樹(政治システム論)2020年に始まった新型コロナウイルス感染症の世界的大流行により、国内移動さえままならない日々が続いています。海外旅行や留学を計画していた学生さんは、「感染拡大がおさまったら一刻も早く海外に出かけたい、留学したい」と、はやる気持ちを抑えられないことと思います。他方で、「海外旅行や留学に行けたらよいけど、お金もかかるし、言葉も不自由だから」と気後れしてこれまで海外への最初の一歩が踏み出せなかった方は、今の状況を案外、心地よく感じているかもしれません。自分に無理して海外に行く必要がなくなったから。どちらの気持ちも私は分かります。私が初めて海外に出たのは、なんと35歳を過ぎてから。行き先は台湾でした。就職するまでお金にかなり苦労しましたし、自分の英語能力に自信もなかった。それがこの長すぎる国内引きこもりの背景にありました。しかし、結局、海外への最初の一歩を踏み出せなかったのは、単純に、「なんとしても海外に行きたい、行かなければ」という意欲や意志が弱かったためです。国内で、なんとなくそれなりに心地よいから、無理しなくてもいいかな、という気持ちもあったように思います。ところが、あることをきっかけに海外に出てみたら、「今までなんてもったいない人生の過ごし方をしてきたのだろう!」と自分自身に対して悔しい気持ちになりました。自分がこれまで生きてきた環境がいかに狭く限定されたものであったのかがよく分かったためです。もちろん、日本の外に一度も行くことがなかったとしても有意義な人生を送ることはできます。ただ、日本の外に足を踏み出してみれば、日本の姿を、そして、それまでそこにおいてのみ生きてきた自分の姿を、少し外側から眺めることができます。この経験から得られる気づきは、もう一つのあり得る人生に足を踏み出すきっかけになると思うのです。少なくとも、私にとってはそうでした。これまで海外への最初の一歩が踏み出せなかった学生さん、それはとてももったいないです! 自由に海外に行ける状態に戻ったら、しゃにむに海外への最初の一歩を踏み出して下さい。既に海外旅行や留学を計画していた学生さん、あり得る人生の風景をさらに広く開拓して下さい。今は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行終息後を思い描きつつ、海外に飛び出す準備をコツコツと続けていきましょう。大学での語学の授業に熱心に取り組んだり語学学校に通ったりするのもよいでしょう。長すぎる国内引きこもりであった私は、語学学校に行くのも難しかったので、大学の授業とNHKラジオ講座で英語を勉強していました。とても下手ですけど、まあなんとか、英語で論文を書いたり、海外の学会で発表したりすることが可能なくらいの英語能力は付いたようです。近年は外国語を自学自習する環境も格段に良いものになりました。ぜひ、お気に入りの教材、サービスを開拓し、外国語学習を楽しんで下さい。必ず訪れる機会に備えて先生からのワンポイント・NHK 英語の番組 https://www2.nhk.or.jp/gogaku/english/CNN 10(トランスクリプトも提供しています。) https://edition.cnn.com/cnn10CBS Evening News https://www.cbsnews.com/evening-news/full-episodes/NBC Nightly News https://www.nbcnews.com/nightly-news-full-episodesBBC The Documentary(世界の様々ななまりのある英語を聞くことができます。) https://www.bbc.co.uk/programmes/p00fvhsfTED(興味深いプレゼンテーションを視聴できます。トランスクリプト、字幕もあります。) https://www.ted.com/talks?language=en&sort=newestGoogle Document(音声入力機能を使って、英語の発音をチェック。) https://docs.google.com/ロンドン(イングランド)の下宿先の庭でくつろぐキツネロンドン(イングランド)の下宿先の庭でくつろぐキツネエディンバラ(スコットランド)の街並みエディンバラ(スコットランド)の街並みカナーヴォン(ウェールズ)にあるカナーヴォン城カナーヴォン(ウェールズ)にあるカナーヴォン城ベルファスト(北アイルランド)の街並みと壁画ベルファスト(北アイルランド)の街並みと壁画2019年11月11日、香港にて研究者仲間と2019年11月11日、香港にて研究者仲間とこの日、香港理工大学で研究会報告を行うはずが、民主化運動の激化により、同大学が破壊され、研究会は中止にこの日、香港理工大学で研究会報告を行うはずが、民主化運動の激化により、同大学が破壊され、研究会は中止に2018年9月16日、法文学部の授業「海外フィールド実践」で学生とともに訪れたマーティン・ルーサーキングJr.メモリアル2018年9月16日、法文学部の授業「海外フィールド実践」で学生とともに訪れたマーティン・ルーサーキングJr.メモリアル2016年11月2日、出向していた国土交通省航空局の業務で訪れた米国フロリダにて2016年11月2日、出向していた国土交通省航空局の業務で訪れた米国フロリダにて私が楽しんでいる教材Tips for Studying at Home

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