愛媛大学法文学部 青い地球交流記2021
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1Study abroad brochure 2021ネパールFWにて、ヒマラヤ山系を背景にトレッキングオランダにて、共同研究のメンバーと海外のスーパーは楽しい2019年9月、タイの高齢者ケア施設にて。ことばが通じにくくても、心を通い合わせたい。語学学校の仲間たちベルリンのブランデンブルク門タンデム・パートナーと日本でクリスマスマーケット海外では自分の力のなさや努力不足に否が応でも向き合わされ、情けなくなることも多いです。でもそんな中でも割り切って、頼れるのは自分だけ、誠意を持てば相手に通じる、という開き直りやすがすがしさを感じられるのもまた醍醐味です。国内での準備ももちろん大事ですが、こればっかりは海外(的な環境)に身を投じないと絶対に経験できません。もうすぐその時は来ます。太田 響子(行政学)海外渡航ができなくなって2年が経ちました。これまで出張などで簡単に海外に出かけていたのが本当に不思議で、とても貴重なことだったのだと思い知るともに、海外に渇望していた高校時代のことを思い出すようになりました。強い憧れから始まった大学時代の旅行や語学研修を経て、力試しに挑んだ大学院時代のイギリス留学では挫折を経験しました。多くの日本人同様、実際に使うための語学力やコミュニケーション能力の不足のために思うような成果が得られなかったのです。ところが、機会を見つけて海外での調査旅行を重ねるうちに、いつの間にか、壁を越えていたと感じることがありました。語学力が格段に上がった訳でもないのに、落ち着いて臨機応変なコミュニケーションをとることができるようになったのです。例えば、調査旅行中の大学の宿舎にて、ウクライナ人やスペイン人のルームメイトとサッカーW杯の試合を見ながら雑談(主に某強豪国の悪口)していた時。癖の強い早口の英語でくいちがった議論をたたかわせる人たちに対し、主に聞き役に徹して話をとりまとめられた時。「あ、楽になった、できるようになった」と思ったのです。理由はよく分かりませんが、おそらく、小さな恥かきや失敗の積み重ねによって、自分が今いる目的が見えるようになった、相手も見えるようになった、それで落ち着いて、しかもちょっとの失敗では動じなくなった(笑)。要は場数を踏んで状況に慣れたということなのでしょう。次に、具体的なアドヴァイスをするなら、留学前には自分の語学力が心配になるでしょうが、それは留学すれば必然的に上がるので、それほど悩む必要はないと思います。留学前の私のドイツ語もほとんどゼロに近い状況でしたが、むしろ現地で一から学んだおかげで変な癖がつかずに済みました。そして、何より皆さんにお勧めしたいのは、留学中に「タンデム」パートナーを見つけるということです。タンデムというドイツ語は「語学交換学習」を意味します。互いの言語を学びたい者同士がペアになり、相互に学習しあうのです。私の留学当時はアニメブームにより日本語を学びたいドイツ人学生が多く、大学の掲示板に募集を出すとすぐに何人も見つかりました。互いの国に興味があるので話しやすいし、すぐに仲良くなれます。その内のひとりとは、今も良き友人です。現在の状況が回復したら、早速、留学準備を始めましょう!野村 優子(近代美術史)留学を迷っている人に私が声を大にして伝えたい言葉は「絶対に行った方がいい!」です。留学に失敗などないし、どんな体験も必ずその後の人生の糧となります。かくいう私もドイツに5年間留学し、それが現在の私を築いていると確信しています。ドイツ留学で、日本という国が「アジア」の一部に過ぎないのだなと実感したし、他のアジア諸国出身の人々に同胞のような親しみを覚えるようになりました。また、ドイツというまったく習慣の違う国の人々に触れ、他者を理解することの難しさと喜びを同時に学びました。初めての留学から月日が経ち、今ではドイツは私の「もうひとつの故郷」と呼べる存在となっています。例えば、新型コロナウイルスのような問題が発生すると、日本と同様にドイツの状況も気がかりです。もうひとつの故郷があるというのは、世界にふたつの視点を持つことであり、物事を別の角度から眺めるというのは、さまざまな分断が進むこの時代においてとても重要なことではないでしょうか。「何ができるのか?」と暗中模索が続く日々でした。2年目もこうした状況が大きく改善されたわけではありませんが、新たな光も少しずつ見えてきたように思います。す。この冊子を手にした人が、ちょっと元気になってくだされば、たいへんうれしく思います。コロナ禍により国際交流が大きく制限されるようになって、2年が過ぎました。1年目は、それまで想定していなかった厳しい現実を突きつけられ、とまどいながら「どうしたらよいのか?」2021年、8月にはパンヤーピワット経営大学(タイ)と本学との間で、11月には開南大学(台湾)と本学との間で、「コロナにより生まれた新たなビジネス」や「両国関係を深めるために私たちにできること」などをテーマとした、学生主体のオンライン交流会が開かれ、私はその両方に関わることができました。いずれの交流会においても、「交流することができる」という喜びにあふれた、学生さんたちの笑顔がとても印象的でした(ついでに、教員同士も旧交を温めました!)。また、学生さんたちは連絡先を交換し、その後もつながっているようです。今後、コロナ情勢が落ち着き、リアル交流が可能となってからも、例えば、リアル交流の前にオンライン交流を行っておくなどして、交流の成果をより深めるようにしたいと思います。良質なオンライン語学研修に取り組んだ学生さんたちもいます。オンライン研修には、自宅等に居ながら参加できるというメリットもありますが、モチベーションの維持や生活時間の調整などの面で困難もあります。また、リアル研修には、現地の風を肌で感じながら生活することや、習ったことを生活のなかですぐ使う機会があるなど、かけがえのないメリットがあります。もっとも、コロナ後においても、例えば、リアル研修に参加した後にオンライン研修(コストパフォーマンスのよいもの!)を受け、研修成果の維持発展を図るということは、選択肢の1つとして十分にありえるでしょう。この冊子には、コロナ禍の下でも、主体的に動いた学生さんたちの姿や、それを支えてきた教員の姿が収められていま法文学部国際交流委員長 楢林 建司新たな光?~「コロナ後」をも見すえて~

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