110第3部 法文学部の現在と未来 社会からの声 愛媛大学法文学部創立50周年、おめでとうございます。愛媛大学も時代の変化に伴い、学部の増設や学部内の改編を実施し歴史を刻んできていると思います。私は企業経営者の集まりである愛媛経済同友会で活動した時がありました。県内、県外を含む様々な経営者との出会いは、勉強の連続だったと思います。特に京都で開催された経済同友会の全国大会は、そのスローガンが「伝統は革新の連続なり」でした。日本の中で伝統という言葉は、京都という地では特別なものがあると思います。その京都で「伝統は革新の連続なり」がスローガンでした。これには私は大変感銘を受けました。伝統とは旧来のものを受け継ぐという意味だと思っていましたが、京都の経営者は、革新の連続が京都の伝統だと宣言したのです。京都という地での現在の企業のあり方を見てみますと、納得のいく思いがします。 日本は今、大きな変革期にあると思います。今まで築き上げてきたビジネスモデルが多くの業界で行きづまり、破戒的イノベーションが起こっているといえると思います。かつて寺山修司が「書を捨てて町へ出よ」と言いましたが、私は「書を捨てて海外へ出よ」と言いたいと思います。海外、特にアジア各国は最新・最先端を各分野で積極的に取り入れ、大きく変貌を遂げようとしています。かつて東南アジアには「LOOK EAST」「東の国に学べ」という言葉がありました。今は日本が東南アジアや欧米諸国に学ぶべきところが多いように私は思います。 日本を取り巻く環境は、人口減少社会、デジタル化、グローバル化、少子高齢化へと大きく変動しています。また世界に目を向けてみますと、大きな社会変動・国際変動の中で、これからアジアそしてアフリカの国際社会における存在は大きくなってくると思います。世界の人口は現在約75億人、そのうちアジアに44億人、アフリカに12億人の人が住んでいると言われています。さらに2050年には世界人口は92億人、アジア52億人、アフリカ20億人に推移していくとみられています。日本は現在人口1.2億人、2050年には1億人を割り込み9500万人になると予想されています。愛媛県でも年間で約1万人の人口減少が起こっています。人口の推移だけですべての状況を判断することはできませんが、今後大きな社会的要因になり得ることは容易に推測ができます。 さらにデジタル化の流れの変化は速く、あらゆる産業に対して大きな問題を提起しています。現在「デジタルイノベーション」という言葉が聞かれるようになりました。ITスキルの充実は業界を選ばず求められています。速い状況変化の中で長期的な視野を持ってあるべき姿や目標を目指しながら、常に改善・改革そして新たなチャレンジを続けなければ世界の状況の変化についていけないのではないかと思います。そして、日本国内だけでなく、広く海外を見聞することによって得るものは大きなものがあると思います。年齢を問わず海外に出て多くの状況を知り、情報を得ることは仕事の上でも個人の生活でもきっと役に愛媛大学法文学部創立50周年に寄せて大ーガス株式会社 代表取締役社長 稲葉 隆一
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