愛媛大学法文学部 創立50周年記念誌
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129Ehime University Faculty of Law and Letters 50th文理学部の中から文系分野がまとまって独立したという点を考えると、人文社会科学系のほとんどの分野をカバーする「総合学部」というのが法文学部の特徴で、アイデンティティだと思います。それらが1つになっているという強みはあるのではないか、その強みを一層伸ばしていくべきだと。 島根大学に赴任してから20年になりますが、その頃は法学系が法学部に、経済学系が経済学部になりたいとか、山口大学など規模は小さくとも経済学部があって、経済系の先生からは「いいな」と羨うらやまれる雰囲気があったと聞いています。現在は学部の人員が増えるという情勢ではないので、今の規模を維持するということが前提になってきます。高津(鹿) かつての文部省からの要請で、文理学部が分離して、理学部、法文学部、教養部となったため、積極的な学部理念がありませんでした。結果的に「複合学部」「総合学部」として専門性とともに総合性を謳うたう学部として存在しています。以前は「複合学部」と説明することが多かったのですが、十数年前からは「総合学部」という言い方をするようになってきました。加藤(愛) 法文学部とは、法学・政治学・経済学・人文学といった人文社会諸科学の専門教育を行う専門学部であると同時に、それら専門分野が1つの学部にあることを活かした総合的な教育や研究の効果を発揮することによって、高い教養を備えた市民を社会に送り出すための教育研究組織です。つまり、各専門分野の伝統的な枠組みに即した専門教育と、その枠組みにとらわれない幅広い総合的な学びの両方を可能にする組織だと思います。 愛媛大学は昨年(2016年)改組して、法文学部は1学科になりました。実は10年くらい前から昨年まで、総合政策学科と人文学科という2学科で別々の教授会を学内措置として持っていました。それぞれが独立することを目標として準備を進めてきたのですけれども、経済情勢や学内情勢などあらゆる観点から、新たな1つにまとまった文理融合の新学部を作るという学長の判断もありまして、方針転換して、新学部(社会共創学部)設置に合わせて、法文学部も大幅な学生定員の削減や教員の新学部への移動などしながら1学科にしました。 現在2年目なのですが、1学科の下に〈Profile〉高津 孝(たかつ・たかし)鹿児島大学学術研究院法文教育学域法文学系教授。専門は中国文学、中国文字学、中国文献学。2008(平成20)年以降、学長補佐(将来構想担当)、同(企画担当)、法文学部副学部長などを歴任。2016(平成28)年より法文学部長。

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