第3部 法文学部の現在と未来 3大学法文学部長座談会1303つのコース(法学・政策学、グローバル・スタディーズ、人文学)を設けているのですけれども、その3つがスクラムを組んで、一体的に教育をしていこうという意思でいますので、そういう意味では総合的な部分が非常に強くなっていく、あるいはそれを目指していくというのが理念になっています。 愛媛大学全体として文系が非常に手薄なので、何とか増やしたいという思いは、遠い将来の希望としてはありますが、現実的には改組した組織をしっかり充実させていくという意味で、総合的な部分を発展させていきたいと考えています。文系総合学部としてのメリット田坂(島) 法文学部に対しては、「ミニ東大」という批判がつきまとっていますが、これは学部内の学科、さらには個々の研究室がタコツボ的に教育を行ってきたことにあると考えています。教員が自らの分野に閉じこもるのではなく、お互いの教育・研究を理解し、人文科学から社会科学まで広く学べるという利点を活かした教育体制・教育システムを作り上げることにより、文系総合学部としての意義を強めることができると考えますし、そのことが求められていると思います。 「ミニ東大」という批判はかわしながら、それでも全学部が1つの学部の中に揃っていて、学生にとっては色々な分野を勉強しやすいというメリットがあるということをうまく打ち出せれば、そちらの方がいいのかなと。若い先生方と将来構想を議論している中では、当面はそう考えましょうということになっています。だから分離ということは今のスタッフは考えていないのではないかと私は認識しています。高津(鹿) 専門性の特化という面では、独立した法学部、経済学部、文学部と競争していくのに、地方大学は不利です。また、鹿児島大学法文学部の法・経・人文のそれぞれの学生の就職動向は、以前は公務員とか、民間企業と非常に綺麗に分かれていましたが、現在は極めて似通ってきているという現状もあります。 こうした側面を考慮して、人文系や経済系の学生たちにも「社会に出た時には法律は必要です」、法学系や人文系の学生にも、「経済の知識を持っていた方が〈Profile〉加藤 好文(かとう・よしふみ)愛媛大学法文学部教授(当時)。専門はアメリカ文学、英米文化。2012(平成24)年以降、教育研究評議会評議員、法文学部人文系担当学部長(2013年度~2015年度)、法文学部長(2014年度、2016〜2017年度)などを歴任。2018(平成30)年現在、愛媛大学名誉教授。
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