愛媛大学法文学部 創立50周年記念誌
131/192

131Ehime University Faculty of Law and Letters 50th就職に有利になります」、法学系の学生たちにも、「経済の科目は民間に入った時に必要になるので受けておいた方がいいです。公務員試験を受ける場合にも有利です」という風に総合的な面を強調した指導を行っています。 地域においては、大規模大学の法学部、経済学部、文学部の複合したものという見方が多く、法学部志望の受験生は法学コース、経済学部志望の受験生は経済コース、文学部志望の受験生は人文学科を目指す傾向が強いです。松本(司) 実は私は法文学部の改組を行う時に、ちょうど教育担当の理事・副学長をしておりましたので、改組のワーキングの座長をさせていただいておりました。文部科学省に行って法文学部を説明する時や、対外的に説明する時に、本当は分かれるべきものが1つになっているということでは上手く説明できないんです。 調べてみると、1922(大正11)年に東北帝国大学に最初の法文学部ができ、その2年後に九州帝国大学にできて、戦後まで東北と九州には法文学部がずっとありました。当時の財政状況から独立した学部は作れないという事情もあったとは思いますが、法文学部という形で設置する以上は、社会科学系の勉強をする学生も人文的な教養を、人文の学生も社会科学的ないろいろな知識を身につけて、トータルな人格的に優れた卒業生を出すという理念のもとに設置されたようですね。お話を伺って、3大学の学部長先生方も、法文学部というのは、やはり人文社会科学系が集まって、全体の総合性を活かして学生を養成していく「総合学部」という在り方をしているのだ、と認識されていると思いました。どうもありがとうございました。各大学の改組の特徴と実情松本(司) 各大学法文学部の特徴や強みをお伺いしたいと思います。その中でも、特に「ミッションの再定義」*1 および「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて(通知)」(平成27年6月8日付文部科学大臣通知)*2 を受けて行われた各大学の改組の特徴についてお聞かせいただければと思います。田坂(島) 実は島根大学は改組をせずに嵐が通り過ぎた感じで、学科をいじることにアイデアを持っておらず、それをした〈Profile〉松本 長彦(まつもと・おさひこ)愛媛大学法文学部教授。専門は哲学、哲学史。2007(平成19)年以降、アドミッションセンター長、共通教育センター長、理事・副学長(教育担当)などを歴任。2015(平成27)年より愛媛大学ミュージアム館長。

元のページ  ../index.html#131

このブックを見る