第3部 法文学部の現在と未来 3大学法文学部長座談会132からといって何が良くなるのかという議論があって、それよりは新しい出口教育としての「キャリアゲート制」を考えました。文部科学省に持って行くと「なかなかいいですね」ということで、いわゆる学科の改組的な話はせずに済んでしまったというところですね。 学部としては大きな改組はしないのですが、教育学部における教職大学院の設置を受けて、所属する臨床心理学分野の扱いが全学的な課題として浮上しました。愛媛大学の社会共創学部など先行する他大学の状況も踏まえながら、全学的な検討が行われ、過疎・高齢化の先進県である島根県を健康・福祉の面から支える人材を育てることを目的に、法文学部の福祉社会教室、心理学研究室、教育学部の臨床心理学分野、家政・体育分野、医学部の地域医療分野の教員からなる「人間科学部」を設置することになって、法文学部から40名の学生定員が新学部へ移行しました。高津(鹿) 他大学では、教育学部の定員削減に対応して、別個に大きな学部を作って、そこに吸収するということが行われました。しかし、鹿児島大学では、教育学部の60名の定員削減を受け、結局、定員を15名増にした法文学部単独の改組になりました。それは、学部として受け入れ人数は限られるということです。 今年度(2017年度)から新しく改組した体制がスタートしましたが、この改組に至るまでには、愛媛大学や高知大学と同じように新学部構想というのがございました。我々の方では、経済系を中心に学内の協力を得て、新学部を作り上げるという案がありましたが、執行部サイドの判断で立ち消えになりました。そこで法文学部が単独で進めざるを得ないということで、文部科学省と折衝に入りました。その時に目玉を出さないといけないということで、地域社会コースを作りました。 学科構成は、3学科を2学科5コースに改組しました。既存の3学科を受け継ぐ法学・経済・多元地域文化の各コースに、地域社会コース、心理学コースを加えて5コースです。「地域社会コース」は、元の経済情報学科に所属していた社会学等の教員5名に、教育学部のゼロ免課程廃止*3 によって移籍となった社会教育の教員3名、学内共同利用施設から移籍の生涯教育の教員2名で構成されています。「心理学コース」は、元の人〈Profile〉光信 一宏(みつのぶ・かずひろ)愛媛大学法文学部教授。専門は憲法学。2014(平成26)年以降、法文学部総合政策系副学部長、教育研究評議会評議員などを歴任。2018(平成30)年より副学長(評価担当)。
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