第3部 法文学部の現在と未来 3大学法文学部長座談会138加藤(愛) この間、17大学の人文系学部長会議*8 でこの話をした時に、山口大学の学部長から「究極愛媛大学が先頭を走っているんじゃないですか」と皮肉交じりに言われて、「ここまでうちは追いつめられています」という話をしたんです。鹿児島大学もかなり厳しい削減をしていらっしゃるようです。私たちも改組はしました。完成年度までは設置審(大学設置・学校法人審議会)に提出した書類に載せているカリキュラムをやっていかないといけないのですが、完成年度後はたちまち実質的にカリキュラムを変えていかないと立ち行かないという台所事情もあるので、そういったところを乗り切りながら、近い将来にはやはり人員削減ということを見据えた形を作っていかないといけないという、そこまで困難な状況に直面しています。 学部改組をして新たな教育体制で再出発した矢先に、全学的な財政難のあおりを受けて、教員人件費の大幅な削減を迫られ、設置審に申請して承認された授業科目、特に専任教員が担当するものとして届け出ている科目を維持することすら困難になっています。愛媛大学は教員人件費ポイント制を導入していて、当面は毎年度2%程度を6年間削減することとされていて、退職教員の補充が難しい状況で、特に教育体制の維持に苦慮しています。 一番申し訳ないのは、昇任人事がなかなかできないことで、苦肉の策で、学長にお願いして、「特任教授」という昇給を伴わない名称付与で当面乗り切らせてもらうよう、該当する先生たちにはお願いしました。対外的には教授を名乗れるのですが、実質的に昇給ができないという状況がしばらく続きます。それで取り敢えずやり繰りしているというところです。松本(司) どの国立大学でも同じだと思いますが、財政面で運営費交付金の削減が相当に効いてきています。加えて愛媛大学法文学部は、法人化前は学部全体が文系修士実験講座だったために、法人化後の大学内の予算配分に伴う教育研究経費の削減率が非常に大きいのです。文系学部は、学内的にも不利な立場に立たされがちです。高津(鹿) 難しい問題をより難しくしているのは、早く対策を採らなかったからです。法人化後、年1%削減で、もう第3期*9 も半ばになるわけですから、14年間も対策を採っていなかったことになります。 私が副学部長の時に、学部長と一緒に「早く対策を取るべきである」と理事に申し入れをしたことがあります。団塊の世代という大量の退職者に対して後任採用人事をしてしまったら取り返しが愛媛大学法文学部本館
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