愛媛大学法文学部 創立50周年記念誌
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第3部 法文学部の現在と未来 3大学法文学部長座談会140ます。光熱費や水道費など事務的経費の削減も限界に近づいていることを考えると、教育に必要な配分すら難しくなることを心配しています。ここ数年以内に大学自体がパンクするのではないかと懸念しています。松本(司) 教・教分離とは、教育組織と教員組織を分離するということですね。鹿児島大学は既に……。高津(鹿) 行いました。先行する信州大学から規則を取り寄せ検討しました。信州大学の場合は、教授会から予算権と人事権の両方を外しています。 鹿児島大学では、予算権は学部にあっても何の問題もないだろうということで、人事権だけ外して学術研究院という全学組織にしました。ですから教授会があって学術研究院会議があって、研究科委員会があるという形になります。今まで教授会、研究科委員会だったのを、教授会、学術研究院会議、研究科委員会という形になるだけです。 法律が通り学部の教授会から人事権がなくなったということは事実ですから、それを学長のもとに集めるという規則改正は特に大きな反対はありませんでした。松本(司) 愛媛は微妙なところですね。加藤(愛) 愛媛大学は大学院改革の中で教・教分離という話が出てはいますが、学長は、教育組織の改革であって、教員組織はいじらないという考えです。おっしゃるように、最終的には全学の人事委員会を通らないと、部局が人事案件を出しても通りませんが、基本、部局の人事は尊重されているというところで、今のところは学部もしくは研究科の教授会が人事権を握っているという形ですね。といっても、全学の人事委員会で「ダメ」と言われたら、それでもう通りません。高津(鹿) 国立大学などの大きな組織は、それぞれの部局のことは学長サイドにはなかなか分かりません。部局に任せたほうがうまくいきます。加藤(愛) その間に学術研究院会議を設けますよね。会議が増えるという煩雑さはありませんか。高津(鹿) 会議は増えますが、手続きは同じです。加藤(愛) 新潟大学でもきちんと分けているそうです。だから、いろいろなことを学部から出しても、全学の中で人事が認められるかどうか難しいと聞いたことがあります。高津(鹿) 本部が全部の人事を掌握することは難しく、部局に任せるべきでしょう。本部が掌握できる範囲というのはやはり人件費枠です。ただ、今、問題になっているのは、人件費枠もぎりぎりの状況になっているという状況です。人事も波がありますので、「ちょっとこの1年何とか」というのを認めていただくと、長期的な計画が立てやすいです。松本(司) 結局は大学が何もしてこなかっ(左から)光信教授・加藤学部長・松本教授

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