第3部 法文学部の現在と未来 3大学法文学部長座談会142ということがありますので、その流れにも乗るという形で、キーワードを「グローバル化」ということにしましたが、ただ、今まで自分たちがやってきたこと、これからやっていきたいことを考えると、地域に立脚する国立大学の在り方、その中心に法文学部はなると思います。その在り方を捨てるなんてことはありえない。 愛媛大学法文学部は、「グローカル・マインド」*10 という言葉をキーワードにして、それを改組の時にも強調しました。「グローバル」は現代の社会にとって必要、でも同時に、特に地方国立大学にとっては「ローカル」というものに根差していないと真のグローバル化はできない、という意識が強かったものですから、そういう形で強調させていただきましたが、その辺りを各大学でどのようにお考えになっているのかを率直にお聞かせいただければと思います。田坂(島) 確かにローカルとグローバル、両面がないといけないと思います。大学がずっとあり続けるためには、ローカルな基盤が大事だろうなと思っていて、地元の人に「島根大学って頑張っているね」と言ってもらわないといけない。「島根大学って何をしているんだろう」とよく聞かれますが、ローカルを大事にするというところを丁寧にやらないと、グローバルだけ目指してもやっぱり地に足が付いていないのでいけないのかな、と思っています。 将来ということでは、3~4年後の改組というところでワーキング・グループでやっていますが、若手といっても30代の先生が少なくて、40代前半の先生に入ってもらって、でも全員准教授で、教授は私だけです。私もなるべく司会に徹しようということで、最初は誘導をしますが、あまり議論の中身には入らず、まとめる時には先生方の意見を優先します。その辺りにも地域のことが大事だというところがあって、どちらかというとグローバルの方が抜けかけているかなという気がしますけれども、それでいいのかなと思っていますね。あまり最初から両方を意識して考えすぎると、面白くない構想になってしまってもいけない、最初はローカルで考えているというところかなと思っています。 先程もありましたけれども、法文学部あるいは地方大学には「ミニ東大」という批判があります。大規模大学では、文系分野も多くの学部に分かれ、一人の学生が広く横断的に学ぶことができません。対して法文学部では、それぞれの分野を担当する教員は少数ですが、人文科学から社会科学までを幅広く学ぶことができます。これが法文学部の強みで、地方の最高学府という設立趣旨からして、特定製品に特化して世界シェアを誇る民間企業的な発想で学部構成を考えることはできません。愛媛大学構内
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