愛媛大学法文学部 創立50周年記念誌
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第3部 法文学部の現在と未来 3大学法文学部長座談会148るのはいいことだとおっしゃいました。これは総合学部の理想にはかなっていると思います。 出口のニーズに合わせるという意味では総合学部の在り方、1学部の在り方としてはいいのかもしれないですけれども、これをカリキュラム的にどう保証するのかという問題と、教員組織の中でどう一体性を生むのかということは重要だと思います。両学部で総合学部としての在り方を保証するための取り組みがあれば、お聞かせください。高津(鹿) カリキュラム上は難しい問題がありまして、鹿児島大学は2学科5コース、特に法・経を1つにしたということで、法経の総合講義を作らないといけないのですが、今、非常に苦労しています。経済なら経済、法律なら法律で、基礎的な講義は簡単にできるのですが、両方が重なった形で何か授業を立てざるを得ないので非常に難しい。法文学部全体としても、全体に渡るものを1つくらいは作らないといけないというので作りましたが、これがまた大変で、何を教えたらいいのかという問題はあります。田坂(島) 同じですよ。高津(鹿) 「総合学部」の問題点ですけれども、高校生が入学した時に、彼らは専門性を重視します。「法学を勉強しに来たんだ。経済を勉強しに来たんだ」と。入ったらなかなか専門を教えてくれないと1年生の段階で文句が出ます。そういう彼らの要望を入れながら、「ここは総合学部で、他の分野も勉強しておいた方が将来役に立つ」ということを理解してもらうという苦労があります。田坂(島) 島根大学は現在は3学科ですので、カリキュラムを組むにはそういった苦労はないのですが、法経学科は13年前の法人化でできた時に「法学と経済を分けないようにしましょう」ということで、1年生の段階で法律系の先生と経済系の先生が共同でゼミをするようにしました。2年生の専門も、将来法律系を中心に学ぶ学生も経済の分野も何単位は取りなさいと強制しています。でも学生は「自分は法律がしたい。何で経済の勉強をしないといけないんだ」ということもあって、「まあまあ」と宥なだめる。 反対に「両方を学べる方が楽しい」という学生も当然います。この4月(2017年)に先程のロー・スクールの先生が来るので、法律系が増えたということもあって、司法特別コースを作ることになったので、「法学コース」「経済学コース」という名前を前に出しましたけれども、先生方は今の融合を続けたい、まだまだ不充分なのでもっと必要だと希望しています。 将来構想としては、1学科というのが1つの案として出ていますが、お聞きしていると、カリキュラムの問題がありますね。この前議論した時には、法学が入

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