愛媛大学法文学部 創立50周年記念誌
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189Ehime University Faculty of Law and Letters 50th法文学部が地域の中で支えられ、地域と結びついていることを改めて実感した。ご助力いただいた方々ならびに玉稿をお寄せくださった皆様にここに記して感謝申し上げる次第である。 編集後記を終えるにあたり、個人的な感想を述べることをお許しいただきたい。筆者は、法文学部が創立50周年という節目を迎えたことに率直に感懐を覚えずにはいられない。それというのも、2013年末から始まった学部改組のなかで法文学部は文字通り消滅していたからである。筆者も改組以前から学部解体の話を仄聞していたが、学部名も学科構成も変わってしまう様な大きな改革の波が本当に来るとは予想していなかった。この学部改組案では、定員を新学部に供出したあとの法文学部は、当初「文化コミュニケーション学部」へと、のちには「人間社会学部」などに名称も変更することになっていた。筆者は2013年末から2014年にかけて学部改組の学科WGに入っており、その時にはもうそれも仕方のない事だと思っていたが、社会からの声などもあり、結局法文学部という名称は残ることになった。筆者自身、改組案が出るまでは〈複合学部〉の認識よろしく、法文学部という名称に中途半端さを感じていたけれども、あまりに「新奇な」学部名の登場による“異化効果”なのか、法文学部という名称が「いいもの」に思え、当時急に愛着が沸いたのを思い出す。それでも改組の結果、学部定員、学科構造、教員組織、履修コースは大きく変貌してしまったこともあり、「法文学部」という名称だけが残ったという印象はぬぐえない。 「法文学部50年史」にもあるように、現在「法文学部」の名を冠する学部は本学のそれを含めて3つに減少してしまった。文系学部のスクラップ・アンド・ビルドが繰り広げられる昨今の状況に鑑みれば、本学の法文学部が創立50周年を迎えられたのはまことに僥倖と言う他ない。だが2016年の改組に伴い名称が存続したことの是非は今後の歩み次第である。改組以後の法文学部は名称を残して有名無実化したに過ぎないのか、それとも伝来の名称の下、新たな使命を達成せんとしたのか。これらの問題の答えは歴史に明らかとなるだろう。もし次の記念誌編纂に携わる者があるとすれば、その者たちに判断を委ねたい。 新しい法文学部の彌栄を祈りつつ、擱筆とする。編集委員を代表して梶原 克彦

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