愛媛大学法文学部 創立50周年記念誌
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31Ehime University Faculty of Law and Letters 50th競合するということで、「人文学科」に変更された)。 総合政策学科案について、文部省は、法学科と経済学科を一つにする点についても、名称についても評価した一方、当時「総合政策」の名前を冠する学部や学科は少なかったという事情を踏まえ、「総合政策学科は大変魅力的でよいが、要は中身とカリキュラム」12)との見解を示した。これに対し、法文学部側は「私立の総合政策系学部と比して、本構想の強みは、教官数が多く充実して」おり、さらに多数の法学系教官が含まれることで「多彩かつ充実したモデルを提供できる」と主張した。また学科の設置目的は、従来の学問体系の枠に囚われない問題解決型の教育を施すことであり、特に情報教育と社会福祉教育の充実が特徴とされた(これは実験講座設置との関連もあった)。実際、情報教育については他大学への視察も行い、PCやインターネットの利用が拡大し始めた当時、手探りの状態でカリキュラムが練り上げられたようである。 こうした教育のために「総合政策」と「比較経営・法務」の2履修コースが設定されると共に、教員組織は先の案よりも講座数を減らし、5大講座に再編とされた(そのうち、政策科学、経済情報、比較マネジメントが実験講座とされた。結局のちには、ガバメント、応用法、政策科学(経済系および政治系)、マネジメント、比較経済システムに再編され、履修コースも5コースとなった。なお学士号については、複数のそれを出す可能性について文部省側も調査してみるとのことであるが、のちに三つの学士号(総合政策、法学、経済学)を出すことになった。 人文学科案については、法文学部側は4学科案での「人間文化学科」と「地域言語文化学科」への改組・拡充を「文化形成コース」と「国際文化コース」として新たに打ち出すことになった。文部省は教員組織が7学科目へと細分化された点を教育方法の複雑化とみなし、よりスリムな教員組織を促した。結局、学科目数は三つへと修正されることになり、これに合わせて最終的に履修コースも「人間科学コース」、「日本アジア文化コース」、「欧米文化コース」とされた。アジアへの対応不足がなお指摘されたが、その他の点では概ね問題なしとされた。 学部側が改組の趣旨として強調したのは、アジア関連への対応も踏まえ、教養部からの教官受入れにより外国語を通じて文化関連教育を推進することであり、教育の力点を欧米の言語・文化だけでなく「日本文化とアジア文化」をも含めた「異文化交流と異文化理解」に置くとした。また総合政策学科案同様に、人文学科案でもPCを用いた教育についても検討され、CAI(Computer Assisted Instruction)のためにPC設備の導入が要望されていた。その他、少人数教育や、教養科目と専門科目の有機的関連が新カリキュラムのなかで謳われていた。

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