37Ehime University Faculty of Law and Letters 50thが薄れていったのに対して、大講座制の持つ教育組織としての意味合いは強化され、例えば総合政策学科では複数の大講座を横断して履修コースを担当したり、人文学科の3大講座が人文学講座へと一元化(2009年)したり、といったことも生じた。 様々な組織が行政改革によって予算削減、人員削減、組織のスリム化を余儀なくされ、法文学部もまたその渦中にあったが、その余波は教員組織の質的変化をもたらし、将来の1学科時代への先鞭をつけるものであった。それは学部および教員組織が教育を基盤とした組織へと変化したことであり、将来の各学科の独立という研究上の専門性を軸にした発展図式からの転換ともいえた。ここに法文学部の複合学部から総合学部への「ルーツへの回帰」が図らずも果たされることになった。8)履修コースの拡充 1996(平成8)年の改組を以て始まった法文学部の2学科時代は、教員組織がより教育上の要請に対して弾力的に対応できるものとなった時代であったが、この変化によって、様々な履修コースの設置や再編が行われるようになった。 2学科への改組時に、総合政策学科には公共政策履修コース、国際政策履修コース、社会経営履修コース、司法履修コース、経済履修コース(昼間主・夜間主共通)の5コースが設置されていたが、2007(平成19)年に、昼間主については公共履修コース、企業システム履修コース、司法履修コースへと統合し、さらに企業システムコース内に地域コースが、公共コース内にグローバル・スタディーズ特別履修コースが設置され、夜間主については総合履修コースへと変更された。 このうち、地域コースの定員の約半分についてはAO入試での選考が行われ、入試方法の多様化へ向けた取り組みを示す一方、「地方分権時代に対応した政策能力を身につけ、公務員や地域民間非営利団体(NPO)などで活躍できる人材の育成」25)が目標として掲げられていた。 こうした地方のニーズに応えるという姿勢はすでに学部改組の際に検討されていたが、グローバル社会への対応についても学部の課題であるとされていた。グローバル・スタディーズ履修コースの設置はその答えを形にしたものであり、「語学力や国際問題への視点を養い、地域に根差した国際性を身に付けた学生を育てるのが目的で、海外フィールドワークは3年次の必修科目」としていた。 『愛媛新聞』では、その一期生たちがアメリカでフィールドワークに行った様子について、「学生らは、モン族の大学生やソマリア人移民らから米国観や民族意識、生
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