愛媛大学法文学部 創立50周年記念誌
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38第1部 法文学部50年史活実態などについて聞き取り。民族の伝統を守ろうとする層と白人社会に溶け込もうとする層の隔絶や、国際社会からのイメージに対する違和感、文化や言語を守る困難さなど、マイノリティーが置かれている現状が浮き彫りになったという」と紹介されている26)。 同様に、人文学科でもコースの改編が行われ、1996(平成8)年の2学科制移行時には、人間科学コース、日本アジア文化コース、欧米文化コースの3履修コースが設けられていたが、2008(平成20)年に人間文化コース、地域文化コース、歴史文化コース、言語文化(アジア系)コース、言語文化(欧米系)コースの5専攻コースへと変更され、これらに加えて六つの副専攻型プログラムという制度が加わった(国際交流コーディネーター(アジア系)養成プログラム、国際交流コーディネーター(欧米系)、地域文化コーディネーター養成プログラム、スーパーイングリッシュプログラム、日本語教育基礎プログラム、人文学総合プログラム)。 さらに2015年には大きく人間文化コースと言語文化コースの2専攻コースに再編され、そのうち人間文化コースに人間文化分野、地域文化分野、歴史文化分野が、言語文化コースには言語学分野、日本アジア言語文化分野、欧米言語文化分野の6専攻分野が置かれ(2専攻コース・6専攻分野)、副専攻型プログラムは実践科目(社会実践、コミュニケーション、文化探求)へとまとめられた。 こうした各学科での動きに加えて、両学科がそろって地域のニーズに応えるべく、2009(平成21)年に観光まちづくり特別コースが設置された。そのスタートに先立って、新聞では「県や松山市、県観光協会、愛媛経済同友会から寄せられていた観光関連学部・学科の設置要望も新設を後押しした」27)と地域の期待を紹介していた。 このコースの特徴は2学科にまたがって設置された点にあったが、この理由について、当時の森学部長は「法文学部には、地域資源を発掘し現代的価値を与える人文学科と、地域活性化に結びつける地域政策を学ぶ総合政策学科が整っている。新設コースを共同運営方式とし、両学科の学生を対象にすれば、観光政策と観光文化の両方の視点からアプローチできる」28)と述べている。 この記事にもあるように、観光政策系(総合政策学科)と観光文化系(人文学科)という人文・社会科学双方の観点を学生が学び、そして両学科の教員が一つのコースを担当するというあり方は、1996(平成8)年の2学科改組においてしばしば文部省が要請していた「学部全体としての取り組み」であり、2016(平成28)年度の改組以降において1学科化した人文社会学科での取り組みを先取りしたものであった。 こうして教育上の要請から様々な制度が設置され、総合学部としての方向性が示さ

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