愛媛大学法文学部 創立50周年記念誌
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39Ehime University Faculty of Law and Letters 50thれていった。もっとも、それらは基本的に各学科のなかで行われていた。 2学科時代は、改組をめぐる文部省との打合せにおいて、複合学部という自己認識に対して突き付けられた総合学部というあり方の模索から始まった。学部の教育機関としての側面は予算的にも、教員組織の上でも強まっていたが、しかし総合政策学科と人文学科の関係に注目すればいぜんとして複合学部であり、むしろその流れは、2005(平成17)年4月に当時の小松学長の指示によって導入された「学内二学部制」によって強まったといえる。法文学部の両学科にそれぞれ教授会が置かれ、その上にそれぞれ「総合政策系担当学部長」と「人文系担当学部長」が置かれて、学内的には二つの独立した学部として扱われた29)。このことによって、両学科の裁量権は高まり、各々が内容を充実させて、近い将来に二つの学部として独立するという将来像が描かれていた。その意味でも、この時代はむしろ「二学部」時代というべきであろう。 しかし、この「複合学部」から2学部独立へという流れは、人文社会科学系の「総合学部」である強みという「法文学部」の原点を見つめ直す必要性によって阻まれる。この時点での法文学部自身が望んだわけではないにせよ、「複合学部」から「総合学部」への原点回帰、それが2016(平成28)年以降の体制を目指す学部改組において、再び大きな課題として前景に登場することになる。1)文部科学省の構想 日本社会における急速な少子高齢化やグローバル化の進展等、社会情勢及び社会的ニーズの変化に対応すべく、文部科学省は2012(平成24)年6月に「大学改革実行プラン~社会の変革のエンジンとなる大学づくり~」30)を策定・公表した。そこでは、「大学改革の方向性」として「社会との関わりの中で、新しい大学づくりに向けた改革を次の方向で迅速かつ強力に推進する」こと、そのための「Ⅰ.激しく変化する社会における大学の機能の再構築」と「Ⅱ.大学の機能の再構築のための大学ガバナンスの充実・強化」が謳われていた。そして「大学改革により期待される成果」として、「大学改革の成果として、生涯学び続け主体的に考える力をもつ人材の育成、グローバルに活躍する人材の育成、我が国や地球規模の課題を解決する大学・研究拠点の形第5章 国立大学改革と法文学部の改組

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