47Ehime University Faculty of Law and Letters 50thもちろん、他の履修コースにあっても、新学科の学生たちはグローバル化に対応する意識を涵養できるようになったのである。おわりに―これからの法文学部がむかうところ 愛媛大学は、現在7学部(法文学部、教育学部、社会共創学部、理学部、医学部、工学部、農学部)からなるが、純粋に文系の組織は法文学部のみである。新設された文理融合の社会共創学部を含めて、理系にかなりのウェイトを持った学部構成となっている。しかしながら、グローバル化し複雑化した現代社会にあって、人間及び社会のあり方それ自体について専門的な視座でトータルに取り組む文系学部の充実・発展は不可欠である。本学でも文系・理系のバランスに配慮することは、地域と世界の両方を見据えた教育・研究・社会貢献を目指す総合大学として必要な方向性であろう。 このような意味において、法文学部にあっても人文社会諸科学の専門性を深化させていくことの意義は大きい。もちろん本学部では、他の大学のように別個の独立した学部や学科として専門分化を果たすことは難しい。しかし文系学部の存在意義を社会に訴えていくうえで、新法文学部は、むしろ「総合学部」としての在り方を逆手に取り、三つの履修コースがスクラムを組んでグローカル・マインドを備えた有為なグローバル人材を地道に育て社会に送り出すことができる。 法文学部には、人文社会科学系を包括する《文系総合学部》である強みを活かし、先行き不透明な時代に対応できる人材の輩出が求められている。この課題に対して、学問的な知に裏付けられた教養を身につけ、現実に起きる諸問題を多角的な視点から考察し、客観的な根拠をもって主体的に決断し、実行に移す能力「実践知」を有する人材の育成を掲げている。 併せて研究上の課題にも触れておきたい。各教員による個人研究推進はもちろんだが、法文学部には学部全体しての取り組みが求められている。「法文学部附属四国遍路・世界の巡礼研究センター」を発展させるとともに、新たに法文学部発出の「文系研究センター」を本学に設置するなど、地域と世界に貢献する研究が今後ますます必要とされるだろう。1)愛媛大学50年史編集専門委員会編『愛媛大学五十年史』愛媛大学開学50周年記念事業委員会、1999年。2)関正夫「戦後日本の大学における教育研究組織の変遷-国立大学の場合-」『大学論集』第16集、
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