愛媛大学法文学部 創立50周年記念誌
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71Ehime University Faculty of Law and Letters 50th間はとても楽しく充実した日々でした。3.学びの成果 私の大学に進学した目的の一つ「よく生きる」は、自分なりの答えを見出し、もう一つの「論理的思考」は、ものの見方、考え方の基礎を学び、日々の実践の中で能力が向上するよう自己研鑽しました。私は大学卒業時には看護副部長に就任し看護部に所属していたので、大学で修得した知識・スキルをフルに活用し看護部門の運営・管理を行いました。 また学びの成果は自己の目的以外にも三つありました。一つは、修士課程を修了したことで大学の看護教員の資格を得たことです。看護専門学校の教員の資格は持っていましたが、大学の看護教員の資格を得たことでさらに看護職として活動の場が広がりました。当時看護界は4年制大学の看護学科が次々新設されていましたが、看護職で大学の修士課程修了者が少なかったこともあり私にも誘いがありました。しかし私は教育より医療の現場を選んだため、教育の現場で働くことはありませんでした。 二つ目は、日赤に就業する看護職の大学への進学者を増やしたことです。私は大学の授業内容、出来事などを職場で語り、自己の能カキャリア開発のためには大学で学ぶことも必要だと機会あるごとにスタッフに話をしてきました。私の話を聞き大学、大学院への進学を希望するスタッフが増えたことは大変喜ばしく、職場の学習環境を整え全面的に支援しました。現在彼女たちは看護の様々な分野で活躍しています。 三つ目は、愛媛大学法文学部の学生に対して、職業を持つ先輩として話ができたことです。愛媛大学法文学部同窓会提供講座「社会と人間」で、2009(平成21)年は「医療の現場で働く」、2010(平成22)年は「働く女性の現在」というテーマで話をさせていただきました。学生に少しでも役にたてたなら幸いです。4.私にとっての愛媛大学 高校時代クラスの大半が大学に進学する中、私は看護師を希望し松山赤十字看護専門学校に入学しました。私の両親は「目的を持って大学へ行くのはよいが目的がないなら行く必要はない。これからは女性も手に職をつけることが必要」という考えを持っており、私も同じ考えでした。私は21歳で看護師として働き始め、看護師長に就任し36歳の時、目的を持って愛大を受験しました。仕事と学業の両立は大変でしたが、愛大で学び実りが多かったのは明確な目的があったからだと思っています。そのため今の学生にも目的をしつかり持って学んで欲しいと思います。 2013(平成25)年4月、私は松山赤十字病院から日本赤十字社本社に異動となり、92の赤十字病院を統括する部署で5年間勤務し本年3月定年退職しました。看護管理者として第一線で活動できたのは、愛大での学びが基盤になっていると思っており、愛大の卒業生であることに誇りを持っています。 最後になりましたが、愛媛大学法文学部の今後益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。

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