愛媛大学法文学部 創立50周年記念誌
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92第2部 法文学部の思い出 元教員の声 平成30年11月現在、愛媛大学の社会共創学部に籍を置いている私は、新法文学部誕生の前年度(平成27年度)に法文学部長をさせていただいた。そして、私がこの改組の波に飲み込まれていく起点となったのは、第2期中期目標中期計画期間の中間点(平成24年度あたり)で、国立大学法人に対してミッション(使命)の再定義が順次求められていった頃である。大学の様々な学部が誕生して何十年とたっていたので、学部を設置した当時のミッションと現在のミッションが同じわけではないことは当然である。大学を取り巻く環境は大きく変化してきている今日、設置当時のミッションのままでは大学としての存在意義が失われるとして、現在のミッションとは何か、再定義することが各国立大学法人に求められた。 ここに、文科省の長期的ビジョンが隠されていたように思われる。このビジョンについては、後で述べることにする。ミッションは、各学部の役割とは何か、各学部の系統に分けてその特色や強みとは何か、各学部が社会から求められるニーズとは何か、特色・強みを活かして今後どう応えていくのか、10年先を見据えて学部をどう運営していくのか、どの分野を伸ばし又は削減して資源の再配分をどう行うのか、など様々なことを考えるよう求められた。とりわけ、難しい局面は、地方国立大学法人の文系学部では他の国立大学法人との違いがあまりなかった中で、特色・強みを見出すことであった。法律や経済・経営に関する学問に違いがあるはずもなく、従来の専門科目を中心に実践科目であるフィールドワークを展開する形をとっていた。このミッションの再定義という任務を、当時の学部長(宮崎幹朗先生)から学部対応は私が、大学院対応は松井隆幸先生の二人が指名された。 総合政策学科のミッションについては、「教育面では、地方にいる学生、あるいはアジアを中心とした広範な国際社会にいる留学生に対する教育の機会均等化に貢献するものであり、義務教育から高等教育までの一貫した地域教育の活性化、国際化に合致した教育貢献、社会人教育を重視した夜間主コース設置での教育貢献も、さらにはそうした教育貢献を通して地域社会ないし国際社会への還元を担ってきている。とりわけ、地域社会や国際社会の発展に寄与する愛媛大学法文学部総合政策学科における教育面での役割は、主として地域社会の発展と地域産業の振興に貢献できる素地を持った人材の育成及び国際社会の発展とグローバル産業の振興に貢献できる素地を持った人材の育成である。その中で特に重要なことは、社会科学の特定専門領域に限定せず、社会諸科学の様々な知識を活かしながら、複眼的視点から現代社会で生起している(あるいは生起するであろう)諸課題の本質を見抜き、自ら進んで解決へのアプローチを導き出し、それを現代社会に還元することで社会平成28年4月新法文学部誕生の回想録 社会共創学部長・元法文学部長 西村 勝志

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