愛媛大学法文学部 創立50周年記念誌
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93Ehime University Faculty of Law and Letters 50th貢献できる人材(=新卒者像)を育成することであり、そこに総合政策学科は力点を置いている。」とした。 これでは、どこの大学でもいえることであり、いまいち特色・強みとは言い切れないものであった。やむを得ず、文科省にフィールドワークを前面に出し、特色・強みとして押し切ってみたが、同省からの評価は決して高いものではなく、自己の能力のなさを痛感したところである。同省の若い職員に特色・強みとはとがったところを指し、他大学他学部との明確な違いとその役立ちが求められたのである。ただ異なる部分だけではなく、愛媛大学法文学部総合政策学科にしかない際立った部分を求められた。地方の国立大学法人は、多かれ少なかれ、似たり寄ったりの学部が多かった。むしろ、同様の教育がどの地域であっても公平に受けられるように配慮されたものと理解していたが、大きく変わった時期となった。 このミッションの再定義の後、学部改組の波がやってきたのである。文科省は、第3期中期目標中期計画期間(平成29年度から平成35年度)までに、社会のニーズに応える学部への改組を促進すべきとして、補助金の削減を武器に揺さぶりをかけてきたのである。 ところで、新法文学部の名称についていえば、文化コミュニケーション学部などが浮かんでは消えという紆余曲折があり、結局のところどうにか元の法文学部に落ち着いた経緯がある。この名称変更については、当時の柳澤学長が中身を変えるのであるから、パッケージも変える必要があるだろうという一言で、いろいろと模索したが、文科省が変えるなら変える必要性を、変えないのであれば変えない必要性を明示すればよいとの一言で、変えない選択肢があることを認識し、新法文学部設置準備室のメンバーであった松本長彦先生が法文学部の名称維持のために骨を折ったことを思い出す。 しかし、こうした私の経験は、逆に社会共創学部誕生に役立った。この学部の教育理念や教育目的あるいは教育手法、入り口や出口の一貫性、社会のニーズを前提とした特色・強みを活かすべく、地域系の学部としての新たな存在意義を打ち出すことで、社会共創学部の誕生に漕ぎ付けることとなった。 新法文学部は、総合政策学科と人文学科が一つとなり、平成28年4月に人文社会学科としてスタートした。せっかくの人材やこれまで積み重ねてきた経験やノウハウをフルに活かして、これからの社会ニーズに応えるべく、大学進学を希望する者(若者に限らない)に教育サービスを提供するとともに、地道な研究に対して研鑽を積んでいただきたい。そうすることで、それが社会で直接ではなくても、役立つことを知らしめ、文系学部の存在意義を発揮してもらいたい。また、法文学部の協力がなければ、教育資源である人材(15名の教員とポスト)や施設など不十分となり、社会共創学部という新学部は誕生しなかったであろう。法文学部の皆様方には、エールを送ると共に感謝の辞を表したい。

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