愛媛大学法文学部 創立50周年記念誌
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94第2部 法文学部の思い出 元教員の声 愛媛大学法文学部は文理学部を改組して理学部・教養部と共に1968年(昭和43年)に誕生し今年度で創立50周年を迎えましたが、一方、私は1971年(昭和46年)に愛媛大学に入学し、法文第4期生としての学部4年間と大学院が設置される前の法文学専攻科に進学して学んだ1年間と合わせて計5年間お世話になりました。その後、愛媛を離れて大学院での勉学を終え、大学教員としては1980年(昭和55年)に赴任した大分大学経済学部で6年とその後の愛媛大学教養部の10年を経て、1996年(平成8年)法文学部に移籍して22年に及ぶ教員生活を送り、おかげさまで今年2018年(平成30年)3月に無事定年退職を迎えることができました。このような経緯からも、私は節目の年を迎えた法文学部の歩みとほぼ軌を一にしており、その間には様々な出来事がありましたが、ここでは3つの視点から、個人的に印象深い思い出を中心にまとめてみたいと思います。法文学部学生として 私が大学に入学した1971年当時は全国に吹き荒れた大学紛争の末期でしたが、愛媛大学もその渦中にあり、当時の法文学部講義棟(現在の共通講義棟B)も封鎖され、大講義室(現在のグリーンホール)では連日のように学生集会が開かれ、さらに機動隊まで学内に入るなど大荒れで、授業は夏頃まで休講が続いたように記憶しています。のどかな田舎から出てきたばかりの私にとっては大変なカルチャーショックでした。 さて、当時の法文学部は法学科と文学科の2学科で、学生定員は法学科の100人に対して文学科は60人、私が専攻した英語・英米文学の同期12名のうち男子学生は2人しかいなかったのでいつも行動を共にし、また上級生や他分野の専攻生との交流などを通じて広く深く学び、さらに先生方にも教えを請いに研究室に頻繁に出向いたりしていました。現在の図書館の3階と4階に法文学部の教員研究室や学生用の部屋がコンパクトにまとまっていたことで多種多彩な方々と日々顔を合わせて話をし、またキャンパス内の建物が今と比べて極めて少ない分、空き地やグランドは随分広くてゆったりしていたので、学生・教員を問わず共に自然の中を散策したりスポーツで汗を流したりしていました。現在の工学部2号館側の西門辺りには樹木に囲まれた職員宿舎、近くには木造2階建ての第2食堂、また対極に位置する現在の大学会館辺りに旧兵舎を再利用した購買部などがある風景は私の懐かしい記憶の中にあります。法文学部教員として 法文学部教員時代の最高の思い出は、授業等を通じて多くの素晴らしい学生諸君と出会えたこと、特に私が学部で担当することになった新設科目の「アメリカ文化論」を専攻してくれた学生との様々な交流にあります。2000年(平成12年)3月に初めての指導学生5法文学部の思い出 愛媛大学名誉教授・元法文学部長 加藤 好文

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