愛媛大学法文学部 創立50周年記念誌
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95Ehime University Faculty of Law and Letters 50th名を社会に送り出した卒業式当日のあの感動は忘れることができません。それ以降も、アメリカの歴史と文化に触れるためにしばしば現地を訪れてその研修成果を講義等に活かす工夫を重ねる中で、平均して毎年5名前後の学部生及び若干の大学院生が私の下で学んで巣立って行き、今年3月に最後の指導学生5名も無事卒業しました。総数で100名余りの卒業生たちが社会人として各地で活躍していることを嬉しく思っています。そのような卒業生たちが、私が「退職」ということを聞いて随分たくさん松山の地に集い、記念祝賀会を開いてくれたことは一生の思い出です。 学生たちとは毎年秋に学外で合宿研修を実施しました。4回生が取り組んでいる卒業論文の進捗状況報告をメインにし、それを下級生たちにも参考にしてもらうことだけに止まらず、学年を越えた交流の輪を広げることも大切にした実り多い1泊研修でした。この行事を何とか定年の年まで続けることができたのは私にとっては意義深いことであり、卒業生たちも色々な機会に集まると、それぞれの合宿研修時のことが必ず話題に上るので、彼らにとっても懐かしい思い出なのでしょう。法文学部学部長として 定年が視界に入った60歳代になって先生方に推された学部長の時のことも触れないわけにはいかない貴重な思い出です。非力な私が5年間も学部長職(2013年度から15年度は人文系担当学部長、2014年度は法文学部長、さらに2016年度及び17年度は法文学部長)を全うできたのも、教職員の皆様の温かいご支援のおかげだと感謝しています。その間、大学・学部が抱える諸課題に頭を痛めることも、また辛く悲しい出来事に遭遇することもありましたが、学部生が多方面で活躍し表彰を受けるなど嬉しいニュースに接することや、また私自身も国内外の協定校や同窓会各支部総会等に直接出向くことで絆を深める機会にも恵まれました。 学部長時代最大の出来事は何と言っても2016年度の学部改組に直面したことに尽きます。特に、改組に向けた準備期であった学部長前半の3年間は皆様に大変なご心配とご迷惑をおかけしたことと思います。実際、新学部(社会共創学部)設置と連動して、法文学部には大きな痛みを伴う改組ではありましたが、当時の学長のリーダーシップと学部教職員のご理解の下、最終的に改組が国に認可され、法文学部の難局をひとまずクリアでき安堵したというのが実感です。改組後の学部長後半は、大学の厳しい財政難に学部としても対応が求められる中で、円滑な学部運営に苦労した2年間でした。その中でも前向きに捉えたいのが、多くの方々のご尽力のおかげで、人文社会学科の1学科3履修コースに集約された新生法文学部の門出を祝い飛躍を誓う「テイクオフ・シンポジウム」を2016年7月に開催できたことです。愛媛県知事には記念講演をお引き受けいただき、さらに愛媛を代表する企業トップの方々にもご登壇いただいて、学生たちで南加記念ホールが満杯の中、法文学部に熱いエールを送っていただきました。それに応えて、学生諸君は学部で学んだことを力に、社会に大きく羽ばたいてくれることを期待しています。 最後になりますが、法文学部が新たな学部長の下で地盤を固めていく先に、75周年さらに100周年に向けて一層の発展を祈念しております。この度は誠におめでとうございます。

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