ま行

村上 恭通教授

むらかみ やすゆき / MURAKAMI Yasuyuki

専門分野:考古学

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教員からのメッセージ
 考古学は歴史を解明する学問ですが,遺跡やそこで発見されるさまざまな物質資料を研究の対象とするところに特徴があります。そのためには発掘を行い,出てきたものを記録します。また発見した物質資料を研究室で図に描いたり,拓本を採ったり,写真を撮ったりといろいろな技術を駆使して記録します。したがって,専門課程では野外において,また研究室において,多くの技術を身につけなければなりません。
 しかし,これらの技術を身につけたからといってそれで終わりではありません。むしろ,そこからがスタートです。みずから発見し,整理した資料をもとに仮説を立て,既存の学説や関連する分野の研究成果も取り込みながら,遺跡のある地域の歴史を構成していきます。そして教科書にも概説書にもない歴史を組み立てるのです。そこにおもしろさがあります。
 ただし,私たちが発掘する遺跡は研究対象として与えられるものではなく,私たち自身で探し求めるものです。遺跡が存在する地域に足を踏み入れ,山野を歩き,時には土地の人々に聞き取りも行います。発掘調査は必然的に地域とのつながりが前提となります。地域の歴史を研究することはその地域の現在を共有することでもあるのです。
 今,考古学研究室は県内では芸予諸島(上島町弓削)で発掘調査を実施しています。また「三国志」の蜀で著名な中国四川省や遊牧民族の故郷である南シベリアでの調査も実施しています。
 いずれの地域においても学生諸君とともに調査する遺跡を探し,発掘し,その地域の新しい歴史像を解明しつつあります。ローカル(ミクロ)な視点での研究もよし,グローバル(マクロ)な観点での研究もよし,双方あればなおのことよし。とにかく野外へ出て,いっしょに活動しましょう!

諸田 龍美教授

もろた たつみ / MOROTA Tatsumi

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専門分野:中国文学

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教員からのメッセージ
 高校で漢文が好きだった人は多いはず。中国古典文学は,その漢文の中でも,詩や小説・散文など,文学的な分野を深く探究する学問です。中国の古典や伝統文化は,みなさんが想像する以上に,日本文化に対して計り知れない影響を与えてきました。まずは言葉。日本語を支える二大柱は和語と漢語ですね。その漢語の多くは中国からの輸入語です。例えば「椅子」って漢字,なぜ「イス」と発音するのでしょう?変じゃありませんか?実はそれ,中国語音(イ~ズ)の日本語なまり,なんです。つまり我々は,無意識のうちに中国語を話しているというわけ。すなわち,中国の伝統文化が,日本人に与えている影響は「無意識に及ぶほど深い」のです。まあ,大ざっぱに漢字・漢語=(古典)中国語と言えるのですから,日本語の半分は(古典)中国語が支えているといって過言ではありません。人間は「言葉」によって「世界」や「自分」を「解釈」しています。だとすれば,「あなた」という人間を深い次元で成り立たせている〈日本語や日本文化〉,それをさらに育んだ「母胎」─この際「お父さん」のことは忘れましょう─が,中国古典文化だったとしたら,どうでしょう?─あなたが「あなた」という人間を理解するためには,中国古典文化への理解が欠かせない,ということになるのではありませんか?─恥ずかしながら私(学生時代〈自分〉捜しをしていた私)は,こうして,心理学→日本語学→日本古典文学へと遡(さかのぼ)り,とうとう中国古典文学の研究にたどり着いた,という次第です。世の中〈瑣末なトリビア〉が流行ですが,せめて学生時代には,エッセンシャルな〈本質の探求〉に挑んでみませんか?〈「世界」の解釈法〉や〈人としての個性的な生き方〉,〈言語感覚や美的感性〉を磨く「文学」という分野は,そのために最も有効な─しかも実に魅力的な─生きた総合的学問の一つだと,私は信じています。