な行

中川 未来准教授

なかがわ みらい / NAKAGAWA Mirai

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専門分野:日本史

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教員からのメッセージ
 この頁に目を通しているあなたは,多かれ少なかれ歴史に関心を抱いていると思います。それでは,あなたはどのようなきっかけで歴史に興味を持ちましたか? 魅力的な歴史的個性への関心,あるいは現在とは異質な過去の社会に対する好奇心,はたまた現代社会への疑問を過去にさかのぼり探求したいという意欲……。その他どのような経緯であれ,またどのような価値観に基づくにせよ,あなたはその興味を歴史学という方法を用いて掘り下げることができます。歴史学(ここでは日本史学)は,あなたの問題関心を広く受けとめうる「ゆるやかでソフトな学問」なのです。
 もちろん日本史学が経験科学である以上,何を主張してもいいわけではありません。まずあなたの主張は,誰もが参照しうる史料に基づいている必要があります(事実立脚性)。さらにそれは,誰にでも理解できる筋道だった主張であることが必要です(論理整合性)。この2つのルールさえ守るならば,あなたの前には汲み尽くせない知の海がひらけるはずです。
 確かに歴史学は,ひたすら史料を読むというある意味「辛気くさい」学問です。しかしあなたに内在する問題を見いだし,課題を設定し,史料を読みこみそれを根拠づけていく作業のなかで,1つの事実にも様々な見方が存在し,それを意味づける価値観もまた多様であることが理解されていくと思います。歴史学の学びは,異なる多様な価値を認め,開かれた議論を行う能力を身につける絶好の機会となるでしょう。
 ただし,教員があなたに課題を与えることはできません。自分のなかにある問題を掴み出し,自身で史料の海を泳いで下さい。もちろん泳ぎ方は教えますし,海図や救命浮き輪も与えます。声援も惜しみません。過去との対話を通してあなた自身を見いだして下さい。

中西 泰造准教授

なかにし たいぞう / NAKANISHI Taizo

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専門分野:経済政策

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教員からのメッセージ
 ゼミをやるときに,こんなメッセージを聞いてもらっています。
 震災と原発事故で傷ついた社会にあって,私たちはどのようにして自分たちの未来を…未来があればですが…なんとか切り開いていくことができるのでしょうか。集団的自衛権の行使容認を始め,海外で戦争をするための準備がどんどん進んでいます。憲法はただの紙切れになりかかっており,戦後これまでも,政府にとっては紙切れ扱いでしかなかったことが明らかにされています。
 自分はどうにかしたいと思っていることがあれば言ってみましょう。人の話を真剣に聞いてみましょう。あるテーマをしぼって学ぶ仲間をつくり,真摯に現実に向き合って,自分の考えを練りあげましょう。学ぶ仲間を作って相互に支えあうのがゼミナールです。楽しいことばかりじゃないですが,がんばってやりましょう。

【OBからのメッセージ】社会にでて働きだして丸3年が過ぎました。仕事にはやりがいを感じており日々頑張って過ごしております。でも,やっぱりほっとする時は家に帰ったときです。家族の笑顔を見るたびに幸せを感じます。でも現在の日本の国会をみてみると,そんな家族の笑顔がいずれ失われるんじゃないかと不安になるような法案が次々と飛び出しています。世の中には本音と建前があります。今目の前にある現実が過去の教訓が生かされ,未来に何を残すのか,それをしっかり見定めることが必要な時代となりました。
 私たちのゼミでは,そんな社会問題に目を向け,人生の軸となる考え方を仲間と見つけることができました。皆さんも,これなんか違和感あるな,納得いかねーというちょっとした疑問を大事にして学びの芽を育てていってください。共に頑張って生きていきましょう。

【お願い】ゼミの中で困っている人がいればいろいろ相談して助け合ってください。いじめをしたりされたり,いやがらせをしたりされたりしたらいかんよ。何かいいことをしてもらったら感謝してみてください。勉強がうまくいかないようなら,皆で知恵を出し合ってなんとかなるようにしてください。不器用でもこつこつやる姿勢を評価してください。勉強に時間をかけてください。自分のいたらなさにも忍耐しながら,こつこつやっていきましょう。

中根 隆行教授

なかね たかゆき / NAKANE Takayuki

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専門分野:日本文学

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教員からのメッセージ
 「文学」というと,みなさんは何か堅苦しい印象をもつかもしれません。ライトノベルやケータイ小説ではない,単なる「小説」も同じようなイメージではないかと思います。しかし,「文学」や「小説」に否定的なイメージをもっている人は,たいてい文学や小説をあまり読んだことがない人です。では「文学研究」といえばどうでしょうか。それを専門にしている私とは逆に,読書感想文を書いているかのような印象を受ける人が多いのではないでしょうか。たった漢字2字であっても,別の言葉が付け加わることによって,言葉にはさまざまなイメージの偏差が生じるものです。
 近代日本における文学概念も,それをどう捉えるかによってさまざまな考え方が生まれてきました。文学は政治運動の手段だという人もいれば,いや高尚な言語芸術であるという人もいました。あるいは今日のマンガやテレビドラマのようなものと言われたり,ときには知的なライフ・スタイルの教科書となるような存在でもありました。それを主張する人はもとより,時代や場所が少し異なるだけでも,言葉のイメージは変化します。1篇の小説に限っても,それがおもしろければおもしろいほど,そこには幾通りもの解釈が成り立ちます。文学テクストを丹念に読み,そこに刻まれた文化表象の断片に出会うことで,みなさんの文学に関するイメージも多様に変化するはずです。

楢林 建司教授

ならばやし たけし / NARABAYASHI Takeshi

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専門分野:国際法

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教員からのメッセージ
 新たに生まれ変わった法文学部は,グローカル・マインドを備えた「グローバル人材」の育成を教育の理念として掲げています。そうした理念に対して,私はインターナショナル(国際的ないしは「国家間的」)な視点から貢献してゆきたいと思っています。
 例えば,日本は,世界に展開しているPKOに対し,さまざまな人的貢献,財政的貢献,知的貢献を行っています。なぜなのでしょうか。道義的な思いからでしょうか。権益や発言権を確保するためでしょうか。もちろんそうした動機や思惑はあるでしょう。しかし,内戦などで政府機能が崩壊した国に,日本がPKOなどを通して関わるのは,今なお世界平和の基盤をなしている主権国家秩序の崩壊を防ぐためだと,私は考えています。そして,このことは,日本の平和と繁栄のためにも不可欠だと考えます。
 たしかに,主権国家秩序の実相は,歴史の歩みとともに変わります。遠い将来には,世界連邦が出現するかも知れません。主権国家体制をいちはやく打ち立てたヨーロッパは,現在,さまざまな紆余曲折を経ながらも,1つになろうとしています。ただしこれは,あくまで主権国家秩序が段階を踏んで変化したものであって,その崩壊ではありません。世界には,シリア,イラク,アフガニスタン,ソマリア,南スーダンなどをはじめ,まだまだ安定した国をつくりえていない「国」が少なくありません。こうした「国」を安定させるため,我々は何をなすべきなのか,何をなしうるのか,何をしたらいけないのか,考えましょう。
 また,私は法文学部の一教員として,学生のみなさんに,時間や空間を越えて他者を理解する「共感力」と,具体的な課題を発見ないしは設定し,それに他者と協力して取り組む「実行力」を身につけてもらうため,微力を尽くしたいと思っています。大学という場をベースに,前向きの人間関係を広くつくってゆきましょう。

西尾 善太講師

にしお ぜんた / NISHIO Zenta

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専門分野:文化人類学

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教員からのメッセージ
 学生にとって「文化人類学」は、多くの場合、聞きなれない、なんだかよくわからない言葉として響くと思います。それもそのはずです。高校までの義務教育で触れることがないものですから。いわば、大人の学問です。どう大人なのか。それは「人間」という一つの答えにまとまることはない、けれど、とても大事なテーマについて考えるからです。祭り、儀礼、習慣/風習、民芸品、それらは「文化」と呼ばれます。人類学という学問は、そうした「文化」を窓として自分たちとは違う人間の在り方を知ろうとするものです。こうして「窓」から見えてくる異なる生とその可能性へとアプローチし、そこで知ったことからみずからの文化や生を見つめなおす。私たちの社会は、どんどん生きづらくなり、不安や希望のなさが広がっているように感じられます。こんな状況だからこそ、社会をつくる方法は一つではなく、実はさまざまな形があるのだと知ることが重要です。そして、その多様な方法を手がかりにして、私たち自身の手で「この社会」を変えていく道を探っていく必要があるのではないでしょうか。そんな道を探るには、頭をギリギリとひねりながら思考を鍛え、全身でフィールドに浸りながら感受する力を磨いていくことが欠かせません。そして、そうした試行錯誤こそが文化人類学の実践そのものなのです。
 私も大学三回生のときにフィリピン・マニラに交換留学し、そのままスラムに住みながらはじめてのフィールドワークに飛び込みました。知らない言葉、慣れないコミュニケーション、感情の起伏、そうした自身の内と外が動揺しつつ、鍛えられていく経験でした。貧困という社会問題の歴史的な根深さに打ち倒され、けれど、その「上」からのまなざしではこぼれ落ちてしまう「共に肩を組みながら酒を飲んで歌う」生の輝きもフィールドの現実でした。文化人類学とは、生きる人間の絶望と希望をフィールドのなかで考えていく学問といってもいいと思います。もちろん、文化人類学を学ぶからすべての人がフィールドワークをする必要があるわけではないです。ですが、つねに異なる生へと己を開き、驚き、喜ぶ、そうした態度から考えてみると「いま、ここ」もまたフィールドなんですよ。フィールドから「文化」(=「人間の在り方」)を知りたいと思っている方は、文化人類学の窓を覗いてみてください。

西脇 秀一郎准教授

にしわき しゅういちろう / NISHIWAKI Shuichiro

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専門分野:民法

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教員からのメッセージ
 こんにちは、あるいは、こんばんは。法文学部では法学系科目を主に担当しています。
 私の専門は、法学の中でも、個人と個人(私人同士)の基礎的な関係にかかわる民法学という分野です。
 学生のみなさんが生協やインターネットで行う契約・取引、本やPC機器などの財産の所有、交通事故や他者を傷つけてしまった場面における被害者と加害者の関係、多様な家族の関係、若年者・高齢者をとりまく法的な課題、それらすべてが民法学の対象です。
 その中でも、とくに、個人(または法人)が集合して組成される団体(社団・組合・共同所有)の法律関係を研究しています。各種団体(地縁団体、NPO、協同組合、入会集団、PTA、一般社団法人、株式会社、持分会社など)の実態・運営面の分析も研究対象です。
 生まれが京都なので、たまに関西弁(京都弁)が出ます。愛媛県出身のみなさんには愛媛の魅力(とくに食文化)を教えていただき、県外出身のみなさんとは「よそ者」の気持ちを共有できればと思います。
 ちなみに、大学という場所は「最高学府」ともよばれます。みなさんには、個性ある大きな花を咲かせるためにも、これまでの「右へならえ」から一歩を踏み出し、愛媛大学での学びを、自らがルーツを持つ地域社会、そして、多彩な国際社会に向けて、十二分に発揮していただければと思います。その一助になるよう、専門的知識や技術的能力の教授に加え、「学問の面白さ」にも触れ、民法をもとに、講義や演習(ゼミ)を通して、法文学部に入学された(される)学生のみなさんと楽しく議論ができればうれしいです。

指導学生の進路
卒業生の進路は、地方公務員(愛媛県庁、広島県庁)、国家公務員(林野庁)、民間企業(ナガセヴィータ株式会社、フコク情報システム株式会社、豊田通商株式会社)などです。

野上 さなみ准教授

のがみ さなみ / NOGAMI Sanami

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専門分野:ドイツ言語文化

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教員からのメッセージ
 私の専門研究分野は一般言語学とドイツ語学です。大学に入学した頃にギリシャ語の先生から「英語と違ってドイツ語には目立った形の進行形がありません」と聴いてドイツ語に興味が湧きました。さらに,ドイツ語の日常会話で過去の出来事を表現するには「過去形」ではなく「現在完了形」を使うことが普通になっています。同じシチュエーションを認識し,それを言語で表現しようとする場合でも,各言語によって重点の置き所が異なったり,逆に特定のポイントをなるべく目立たないように表現しようとしたり,といった「傾向の違い」があります。その結果,ある言語には特定の表現形式があるのに,別の言語はその形式を持たないということが起こるのです。このように言語の間にある傾向の違いを研究する分野として「対照言語学」や「言語類型学」が挙げられます。私はドイツ語とその他のヨーロッパの言語を中心としたこの二分野に特に力を入れて研究を行っています。
 ドイツで生活するうちに,自己の存在をきちんと認めてもらうためには,自分の考えていることを「はっきりとわかりやすく,自信をもって」発話しなければならない,ということを学びました。どちらかというとおとなしいタイプだった私にとって,この「技」を身につけるのは大変難しいことでした。しかし慣れてしまえば,なんだか別の人間がもう1人いるような気分になることもしばしばありました。ことばの存在が大前提となる分野を専攻する皆さんには,学生時代にぜひともできるだけ数多くの言語に接することをお勧めしたいと思います。別の言語に触れることは,自分の中に眠っている別の側面を発見し,活性化させるチャンスでもあります。

野崎 賢也准教授

のざき けんや / NOZAKI Kenya

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専門分野:社会学

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教員からのメッセージ
 食と社会や環境の関係を研究しています。食べものが作り出される自然環境・生態系や地域社会と,食べものの消費は相互に影響しています。ここ数年,日本でもやっと話題になり始めましたが,クロマグロやウナギなど,絶滅が危惧されている水産物の大半を消費しているのは日本です。このままではダメなのは明らかなのに,自分でブレーキをかけて止められないまま,行きつくところ(=絶滅)まで行ってしまいそうな,食べ尽くしそうな勢いです。
 食の安全についても同様で,日本社会は一面では食の安全にとても厳しいですが(食べものの外見や異物混入など),他方では世界的に安全性が危惧されている食品添加物や化学物質(人工甘味料やトランス脂肪酸など)は規制も進まず,身近に氾濫しています。日本社会は,食べものによって深刻な健康被害を引き起こした水俣病等の公害や森永ヒ素ミルク事件などを経験したはずですが,その反省がいかされていると思えません。授業で水俣病のことを取り上げると,多くの学生はその名称を知っているだけで,水俣病が認められるまでに長い時間がかかって被害が拡大したことも知らないし,それが遠い過去の出来事だとイメージしていて,いまでも救済されていない被害者が多いことも知りません。「臭いものにフタ」という言葉があるように,都合の悪いことを直視せず,途中で止められず行きつくところまでいってしまうのは,食べもの以外にも日本社会にはたくさんの事例があると思います(「戦争」もそうでした)。テレビや新聞などのマスメディアやジャーナリズム,そしてアカデミズムのあり方も関係があるでしょう。
 食と健康の問題では,しばらく前から肥満と貧困の関係も知られるようになりました。世界の「飢餓人口」は8億人,その一方で「肥満人口」は数年前に20億人を超えたと推計されています。しかし,これは世界が豊かになったからだと単純には言えず,飢餓も肥満もどちらも「貧困」が関係しています。先進国でも途上国でも,貧困層で肥満が増加していて,これは社会の「格差」と関係があります。日本も貧困が社会問題とみなされるようになり,特に「子どもの貧困」が懸念されています。
 食に関わる様々な社会問題を,フィールドワークや実践活動も交えて学んでもらいたいと思っています。

野村 優子准教授

のむら ゆうこ / NOMURA Yuko

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専門分野:芸術学

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教員からのメッセージ
 みなさんの好きな絵を一枚、頭の中に思い浮かべてください。浮かんできましたか。それには人物が描かれていますか。あるいは風景 が描かれているかもしれません。次にその絵が好きな理由を考えてみましょう。うまく伝えることができますか。描かれている対象が好き だとか、色彩が好きだとかいろいろと理由はあります。でも、それを相手に納得のいくように説明するのはなかなか難しい。例えば、私は 抽象絵画を描くドイツ表現主義の画家カンディンスキーが好きです。しかし、何が描かれているのかも分からない彼の抽象作品に、なぜ 惹かれるのかを問われると言葉に詰まります。何かが心に引っかかり、好ましく思うのだけど、それが何かは判然としない。

 このように、絵など芸術作品に触れる時、第一印象でなんとなく好きだと思う気持ちがあります。言葉では表現できないけれどなん となく好きなのだと。この「なんとなく」の理由を考え、分析し、表現する。それが芸術学の第一歩です。自分の「好き」を他者と共有 し、意見を交換することによって、「なんとなく」好きだったものがなぜ自分の心に響いたのか、その理由が見えてきます。そうして、絵の 雰囲気が好きならば画家自身を、描かれたスタイルが好きならば印象主義などの美術傾向を研究し、芸術理解を深めていく学問が芸術学です。何かを好きだと思う気持ちの積み重なりが、「私」という自己を形成するのだと私は考えます。自分とは何かを模索する期間 でもある大学時代に、自分の興味関心の所在は何処にあるのかを確認し、人生の友となる芸術作品に出会いましょう。