民事法

羽月 章准教授

はつき あきら / HATSUKI Akira

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専門分野:民法

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教員からのメッセージ
 民法の中の「家族法」は,親族法と相続法から構成されますが,その範囲は多岐にわたります。その概要については,これまで私のゼミの学生が選択した卒業研究のテーマをいくつかとり上げて紹介することにしましょう。
 例えば,「夫婦別姓問題」「女性の再婚禁止期間」「代理母問題」「悪魔ちゃん命名事件」「離婚と面会交流権」「養育費について」「児童虐待と親権喪失」など・・・,ゼミでは家族法全般にわたる問題をとり上げてきました。またゼミ生の希望を聞いて「懇親会」も行っていて,学年を問わず相互の交流をはかっています。私の研究テーマは「子どもの権利」についてですが,このテーマは実に様々な分野にわたります。最近は,訴訟における「子どもの代理人」制度について米国のNY州の例を参考に,「外国書講読」でもこのテーマをとり上げて,文献を輪読,解説しています。同じく,我が国における問題の1つとしては,学生の奨学金(返済)問題を「家族政策」並びに「法学特講Ⅱ(消費生活講座/愛媛県と愛媛大学の連携講座)」でもとり上げ,解説しました。
 ほかに愛媛大学サークル「スポーツ愛好会」の顧問や,チャリティーあるいはボランティア活動として,音楽ライブ活動も行っています。2015年は「宇和島伊達藩400年祭」のイベントでのライブや,愛媛大学アカペラサークルの学生と教員(法文)らによるライブ共演を行い,また初めて私のオリジナル曲のCDを制作し,好評をいただきました。機会があれば,皆さんもご視聴,ご参加ください。

松本 浩平教授

まつもと こうへい / MATSUMOTO Kohei

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専門分野:民法

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教員からのメッセージ
 大学1年の時,はじめて受講した民法の講義は,大講義室にもかかわらず,マイクを通すことなく,最高裁判所の判決(判例)について朗々と語られる先生の姿と相俟って,たいへん興味深く心に残りました。その後,この講義を担当された先生のゼミに加えていただき,以来,民法の研究・教育に携わってきました。
 民法は,私たちにとって身近なものだと言われます。実際,「民法」という法律を眺めてみると,それは,私たちがこの世に生まれてから,人生を終えるまで(ときには,出生の前やこの世を去った後も)関わりを持つものであることがうかがえます。普段はあまり意識することはありませんが,日常生活と深く関わっているのです。
 学生の皆さんに,民法についての具体的なイメージを尋ねると,物の売買や,金銭の貸し借り,アパートの賃貸借などの「契約」や,「結婚」,「離婚」,そして「相続」などといった例が多く挙がります。
 民法は,こうした事柄について問題や紛争が生じたとき,それを解決する基本的な基準としての役割を担っています。そしてまた,私たちが自らの意思で自己の財産関係や身分関係を形成して行くについて,その法的な基礎となっている重要な法分野なのです。
 ところで,民法は私たちにとって身近な存在だと先に書きましたが,身近であることは必ずしも学ぶに容易であることを意味しません。民法は市民生活に関わる広範な事柄を対象とする体系的な規範です。そのため,学修には少なからず時間と根気を要します。また,技術的,専門的なところも避けられません。一例ですが,「危険負担における債権者主義と債務者主義」と言われても,一般には理解不能といったところでしょう。こうした専門的な用語や概念,制度などを,その具体的な内容とともに理解し,用いることが時には必要となります。
 このような民法について,興味,関心をもたれた方は,是非,ゼミに参加し,メンバーと一緒に理解を深めてもらいたいと思います。恩師とは違い,授業ではマイクを使ってたどたどしく民法の解説をしておりますが,微力ながらみなさんの学修の役に立てればいいなと考えています。

西脇 秀一郎准教授

にしわき しゅういちろう / NISHIWAKI Shuichiro

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専門分野:民法

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教員からのメッセージ
 2020年4月より法文学部の法学系教員として教育・研究に努めています。
 生まれは京都です。愛媛に来る前の前任校は大阪の私立大学でした。ということで、いわゆる「関西人」です。どうやら関西出身者は本人が通常のスピードで話していると思っていても、他の地域の方にはとても早く感じることが多いようです。講義では、ゆっくりと正確に話すように心がけたいと思っています。
 新天地での教育・研究生活では、愛媛県出身のみなさんには愛媛の魅力(特に食文化!)を教えてもらい、県外出身のみなさんとは「よそ者」の気持ちを共有したいと、楽しみにしています。

 私が専門とする民法は、物の所有や売買といった財産に関わる事柄や、親子や相続など家族に関わる事柄を対象とする「市民社会の基本法」とよばれる法分野です。そして、その民法を研究対象とする民法学とは、「歴史的社会的存在」としての民法の「現実的な社会現象としての構造」を考察する学問ともいわれます。「難しい表現だなぁ」と思われるかもしれません。しかし、私たちの現実の社会を規律している規範(ルール)を正確に捉える思考作業は、法律関係職志望の人だけでなく、政策公務を担う公務員や民間志望の人にとっても、市民社会の一員としての基礎的な思考力を鍛えるとともに、大学での学修・研究、その後の進路決定に必ず役立ちます。
 ちなみに、私は、学生時代、文献・判例を読解するだけではなく、実際にどのような紛争が生じているか、具体的に何が問題なのか、現地に行って、当事者双方の話を聞くこともありました。例えば、東京都国立(くにたち)市の高層マンション建設と都市景観の調和の問題や、広島県の鞆の浦における歴史的・文化的な街並みと公共事業との関係をめぐる問題、地域住民が旧来から所有・管理してきた入会(いりあい)地と呼ばれる土地の利用方法をめぐる問題等です。
 先に述べたように、民法学はまさにこのような社会の根本的な課題を解決するために欠かせない学問分野の一つであり、そこが魅力の一つでもあります。決して裁判上の紛争解決のための法技術だけにとどまるものでもありません。

 大学という場所は「最高学府」とよばれます。みなさんには、それぞれの個性ある大きな花を咲かせるためにも、これまでの「右へならえ」から一歩を踏み出し、愛媛の地で学んだことを、自らがルーツを持つ地域社会に還元するだけでなく、多様で多彩な国際社会に向けて十二分に発揮していただければと思います。その一助になるよう、専門的知識や技術的能力の教授に加え、なによりも「学問の面白さ」を伝えることができればと思っています。
 「まだまだ世界は終わらない。いまから始めてみればいいじゃない。」をスローガンに、一緒に日々新たなことにチャレンジしましょう。

池野 敦貴講師

いけの あつき / IKENO Atsuki

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専門分野:民法

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教員からのメッセージ
現象に立ちどまって「あるのはただ事実のみ」と主張する実証主義に反対して、私は言うであろう、否、まさしく事実なるものはなく、あるのはただ解釈のみと。
出典:フリードリッヒ・ニーチェ(原佑訳)『権力への意志 下』(筑摩書房、1993)27頁

 法律と聞くと、上から降ってきたような、どこか個人では変えがたいもののように思う人もいるかもしれません。しかし、それは決して絶対的なものではない。「解釈」という主観的な作業によって相対的な意味が明らかにされるものです。法律の文言、社会、時代、他者、そして時にはかつての自己。それらと自己との間の尽きることを知らぬ対話のなかで、正解とはかぎらない一応の解としての読みを導き出す。そうした「解釈」が、法律に付き物の作業なのです。
 そう考えてみると、人によっては法律学のおもしろさを垣間見ることができるかもしれません。決まった事柄を覚えるよりは考えることが大事なのであって、そこがおもしろさにつながると思うのです。「このはしわたるべからず」という看板を無視して他人が所有する橋を渡った一休さんは本当に正しかったのか。「ここではきものを脱いでください」という言葉はどういう意味のルールを示しているのか。遠足のしおりの「おやつ(300円まで)」にバナナは入るのか。さしあたり、そういった禅問答のような問いから考えてみても良いかもしれません。
 なかでも、民法という法律は、日常生活のいたるところに顔を出してきます。いま着ている服を入手したとき、なぜお金を払わなければならなかったのか。この文章が掲載されている書物または映し出されている機器は、誰のものなのか。なぜ池野はこの文章を書かなければならなかったのか。挙げればキリがありません。われわれは民法のもとで生きていて、民法はそこかしこに息づいている。そう言っても過言ではないのです。民法について考える種はそこかしこに蒔かれていて、思考の水やりを待っているわけですね。
 その種をみなさんにも見つけてもらって水やりをしてもらい、あわよくば民法学のおもしろさという花を咲かせてもらう。コロナ禍ですっかりコーヒー(現在のお気に入りはパプアニューギニア)と料理(得意料理はポタージュ)にハマってしまったおじさんが、もしよろしければ、そのサポートをさせてもらおうと思っています。
 ただし、おもしろいという結果を約束することはできません。僕はあくまでそのための手段を尽くすにすぎません。おもしろくなくても債務不履行だなどとは言わないでください…。

岡田 陽介准教授

おかだ ようすけ / OKADA Yosuke

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専門分野:商法

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教員からのメッセージ
 1997年,高2の秋に修学旅行で初めて松山を訪ねました。道後温泉の旅館に泊まり,松山城に登り,瀬戸内の海の幸を満喫。とても暮らしやすそうなところだなあという印象を抱きました。それから13年がたった2010年秋,思いもかけず松山で仕事をすることになりました。
 大学で進学したのは法学部。好きだった科目は憲法と刑法。大学対抗の法律討論会に出て賞をとったこともありました。3年生で入ったゼミは,弁護士のOBが多い,民法ゼミと民事訴訟法ゼミ。でも,大学院で専攻したのはなぜか,一番嫌いでかつ苦手だった商法(会社法)。いろいろ迷った果てに行きついた会社法ですが,今となっては結果として一番よい選択だったなと満足しています。
 新入生のみなさんのなかには,すでに専攻分野を決めている人も,そうでない人もいることでしょう。どちらのタイプの人にもおすすめするのは,1回生では幅広く様々な分野を学ぶこと。いろんな分野を真剣に学んでみると,専攻分野を決めるときにきっと迷いが生じます。大学生活を充実させるための第一歩は,そのときの真剣な「迷い」と「悩み」です。
 私の担当科目「企業法政策(ファイナンス)」「企業法政策(ガバナンス)」では,通常「会社法」とよばれている分野を中心に学びます。私は法律学の教員ですが,研究対象が企業であるため,各地の企業博物館や工場の見学によく行きます。企業を特集するテレビ番組もよく見ます。企業に関することを学ぶために大事なのは,理論だけでなく,実際の企業の現場にもふれること。ぜひ一度私の教室・研究室を覗いてみてください。

私の授業の様子は、こちらから見ることができます。
【授業紹介 I Report】 企業法政策(ガバナンス)
https://www.ehime-u.ac.jp/data_tuition/data_tuition-63674/

山口 和子准教授

やまぐち かずこ / YAMAGUCHI Kazuko

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専門分野:商法・海商法

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教員からのメッセージ
 愛媛大学に「商法」担当教員として赴任してから,早いもので20年以上がたってしまった。同僚の先生方もいつの間にか年下が多くなった。キャリアだけは長いのであるが,正直なところ学生の授業評価アンケートの結果には落ち込むことが多い。「授業が難しすぎて理解不能!」(←ちょっとは自宅学習してますか?),とか「小テストの内容が難しすぎる。」(←だから持ち込みを認めているでしょう)とか,授業に対する学生の不満が満載で,読むのがつらくなるほどである。「子どもは褒めて育てよ」というが,学生諸君も時々は,教員に授業のモチベーションが上がるような優しい言葉をかけても罰は当たらないと思う。
 さて,授業評価の結果が芳しくないのは私の能力不足もあるけれども,法律学という学問自体あまり面白いものではない。法律を勉強する理由は,公務員試験や各種の国家試験に必要だからとか,法曹になりたいとか,あくまで必要性が前提としてあることが多く,内容が面白くて勉強しているという人はただの変人である(!)。法律の用語は特殊で,難解なものも多く,最近の法律も現代化されてきているといえ,初学者がすぐに理解できるような内容ではない。法律学の勉強には,法律に独特の論理や解釈の方法,用語を習得するということが不可欠であるが,これは語学学習と同じで,地道にコツコツ勉強するしか方法がないのである。私がおすすめするのは,なるべく早い段階で,なにか資格試験や法学検定試験等に合格することを目標として設定することである。学習目標があることで砂をかむような法律の勉強のモチベーションを高めることができるだろう(私のゼミ(商法・海商法)では,希望者がいれば宅地建物取引士の資格試験の自主勉強会を開催します。)。
 以上で述べたことと異なるけれど,勉強を進めていくと,法律学とは本当は面白い学問であるということがわかる。法律には,現実のドロドロとした人間同士の争いを解決したり,その利害を調整する機能がある。社会の様々な場面で,法律がどのように機能しているのか(あるいは機能していないのか)を知ることは大変面白いことである。ぜひ一緒に法律を勉強しましょう。

小田 敬美教授

おだ たかよし / ODA Takayoshi

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専門分野:民事訴訟法

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教員からのメッセージ
 誰でも病気やケガをするように、社会生活では誰もが何らかのトラブルに遭います。大学在学中でも交通事故やバイトでトラブルを経験する人が少なくありません。大学卒業後は活動範囲が広がるにつれ、職場や家庭で法律上の問題を含むさまざまなトラブルに遭遇することとなります。私の研究分野は、さまざまな法的トラブルの解決方法です。
 ところで、「法学は難しい」というイメージを持つ人が多いようです。また、条文を暗記する科目だと誤解している人も少なくありません。法学の特徴は、同じく問題解決型の学問領域である医学と比較すると理解しやすいでしょう。医学は、人の身体に起こるトラブル(病気やケガ)の予防や治療を目的としています。これに対し、法学は、人と人との間(つまり社会)で起こるトラブルの予防や解決が目的です。法学の中で、その解決方法として刑罰を用いる分野は刑事法と呼ばれ、問題解決のため当事者間の権利や義務の問題として対処するのが民事法の分野です。私が担当する「民事訴訟法」という分野は、強制的手段(訴訟や強制執行)を用いて抜本的な問題解決を図るという点で、医療でいう外科分野に似ています。一般的な手術よりも身体的負担の少ない内視鏡手術や化学療法があるように、法的トラブルの解決方法としても、(裁判所での訴訟に比べ)当事者にとって負担の少ない<早い安い旨い!>方法もあります。また、急患の人のために救急救命医療があるように、法律の世界でも緊急処置として民事保全という救済手段があります。予防医学があるように予防法学だってあります。
 法学の学修は自分自身のトラブル予防や解決に役立つだけでなく、みなさんの家族や友人を助け、職場での業務をスムースに推し進めるためにも有用です。法学を通じて社会を学び、危機管理と問題解決の力を培って自分の力を社会で活かしたい、そんなあなたの学びを力強くサポートします。