ドイツ語

野上 さなみ准教授

のがみ さなみ / NOGAMI Sanami

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専門分野:ドイツ言語文化

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教員からのメッセージ
 私の専門研究分野は一般言語学とドイツ語学です。大学に入学した頃にギリシャ語の先生から「英語と違ってドイツ語には目立った形の進行形がありません」と聴いてドイツ語に興味が湧きました。さらに,ドイツ語の日常会話で過去の出来事を表現するには「過去形」ではなく「現在完了形」を使うことが普通になっています。同じシチュエーションを認識し,それを言語で表現しようとする場合でも,各言語によって重点の置き所が異なったり,逆に特定のポイントをなるべく目立たないように表現しようとしたり,といった「傾向の違い」があります。その結果,ある言語には特定の表現形式があるのに,別の言語はその形式を持たないということが起こるのです。このように言語の間にある傾向の違いを研究する分野として「対照言語学」や「言語類型学」が挙げられます。私はドイツ語とその他のヨーロッパの言語を中心としたこの二分野に特に力を入れて研究を行っています。
 ドイツで生活するうちに,自己の存在をきちんと認めてもらうためには,自分の考えていることを「はっきりとわかりやすく,自信をもって」発話しなければならない,ということを学びました。どちらかというとおとなしいタイプだった私にとって,この「技」を身につけるのは大変難しいことでした。しかし慣れてしまえば,なんだか別の人間がもう1人いるような気分になることもしばしばありました。ことばの存在が大前提となる分野を専攻する皆さんには,学生時代にぜひともできるだけ数多くの言語に接することをお勧めしたいと思います。別の言語に触れることは,自分の中に眠っている別の側面を発見し,活性化させるチャンスでもあります。

田島 篤史准教授

たじま あつし / Tajima Atsushi

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専門分野:ドイツ言語文化

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教員からのメッセージ
 私は「魔女」について研究しています。魔女と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?箒にまたがり空を飛ぶ、意地悪なお婆さん。とんがり帽子に鉤鼻で、魔法を使って悪さする、といったイメージが一般的でしょうか。あるいはアニメや漫画では、若くてかわいい少女の姿をしているものも多くみられますね。こうした魔女たちは、現代の日本ではサブカルチャーの中でしかなかなかお目にかかれません。しかし今から数百年前のヨーロッパ、とりわけドイツ語圏では、多くの罪なき人々が「魔女」だとされて裁判にかけられ、処刑されました。
グローバル化が進んだ現代において、異文化と触れ合う機会は数多くあります。これら異文化を排他的に捉えることは、お互いにとって生産的な交流をもたらしはしないでしょう。私の研究テーマで言えば、「魔女や悪魔の存在を信じていた昔の人たちはバカだな」という視点から問題に取り組んでしまうと、いつまでたっても事象の本質的な部分が見えてきません。中・近世のヨーロッパといえば、我々が生活する現代の日本とは、時間的にも空間的にも大きな隔たりがあるからです。つまり言語・宗教・政治・法律・学問・慣習・気候・常識etc.ありとあらゆる点で異なる社会だからです。自己とは異なる他者について、可能な限りありのままを受け入れようとすることで、はじめて異文化理解のスタート地点に立てると思います。そもそも異なる文化間には、優劣など存在しないのですから。また異文化理解に努めることは、自文化についての理解を深めることにもつながります。異文化と触れ合ううちに、これまで当たり前だと思っていたことが、狭い世界の中だけの常識だった、ということに気づくことがあるでしょう。こうしたことも異文化を研究対象とすることの魅力の一つです。
ドイツ言語文化専攻では、主にドイツ語圏における事象を扱います。皆さんも関心のある対象に触れ、まずはそれをありのまま受け入れてみてください。きっと新たな発見があると思います。