歴史文化分野

寺内 浩教授

てらうち ひろし / TERAUCHI Hiroshi

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専門分野:日本史

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教員からのメッセージ
 皆さんは平安時代といえばどんなイメ一ジをもっておられるでしょうか。10世紀になると律令制度は崩壊し,都の貴族は政治をかえりみずに形式的な儀式や宴会にあけくれ,地方では貪欲な受領が収奪を欲しいままにしていた。そのため国政は乱れ,人々は自衛のため武装し,多くの武士団が生まれた。だいたいこんなところが平安時代についての一般的なイメ一ジではないでしょうか。しかし,ここ20年ほどの間に従来の平安時代史像は一新されつつあります。律令制度は変容しつつも国内に定着したこと,平安貴族も政務に励んでいたこと,武士団は国家の側から軍隊として組織されたものであること,などが近年の研究で明らかにされました。つまり,平安時代は決して政治の乱れた時代ではなく,中央・地方ともに一定の秩序が保たれた時代というのが最近の通説です。
 このように,日本史の研究は,日本の過去の歴史的事実を明らかにし,新しい日本歴史像を構築することを主要な目的としています。高校までの日本史はこれまでの通説を暗記するだけの受動的・消極的なものだったと思いますが,本当の日本史はもっと能動的・積極的なものなのです。もっとも,通説を打破し,新しい歴史像を打ち立てることは決して容易ではありません。通説の誤りを批判し,多くの難解な史料を読みこなし,自己の新説が正しいことを論理的に証明せねばなりません。そのためには,現在及び過去に対する鋭い問題意識,物事を論理的に判断・思考する力が不可欠です。日本の過去の歴史的事実を覚えるのではなく,批判的・論理的思考を積み重ねてそれを発見すること,それが大学で学ぶ日本史です。

胡 光教授

えべす ひかる / EBESU Hikaru

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専門分野:日本史

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教員からのメッセージ
 井伊直弼はどんな人物だったのでしょうか?朝廷を無視して条約を結び反対派を弾圧した国賊?それとも国難に立ち向かい日本を開国に導いた英雄?立場の違う史料を読み解くと全く異なった結論にたどりつきます。新しい史料を発見すれば,未知の歴史に出会うこともできます。皆さんは,未来の歴史を創るだけではなく,日本史を研究することで過去の歴史を創ることもできるのです。正しい歴史的事実を明らかにし,現代の日本が進むべき道標を示すことは,日本史研究の本質だと思います。そのためには,過去の人々が記した古文書を解読し,古文書の真偽を判断し,史料内容の真実を見極め,学説と比較して自分なりの結論=歴史像を創り出していく訓練を大学では行います。このような思考は,日本史の知識を活かす職業に就かない場合でも広く必要とされる方法だと言えます。もちろん,近世・近代史の専門知識を活かす,教員や博物館の学芸員,文書館のアーキビスト,図書館の司書,自治体の文化財職員なども養成していきたいと考えています。
 井伊直弼を支えた南紀派と呼ばれる大名グループの中には,伊予松山藩主松平勝成がおり,反対の一橋派には宇和島藩主伊達宗城が組していました。近世の伊予には八つも藩があり,多様な歴史と史料を持ち,歴史研究の素材には事欠きません。藩域と藩権力の相違は,現在の言語や文化,産業などにも影響を与え,近世に本格化する四国遍路や祭礼は今もなお盛んです。現代社会の原点とも言える近世史を,史料から直接学び,史料の大切さを知り,後世に伝えていく。「古きを訪ね,新しきを知り,また古きを伝える」精神で,厳しくも楽しく,ともに歴史の扉を開いてみましょう。

中川 未来講師

なかがわ みらい / NAKAGAWA Mirai

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専門分野:日本史

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教員からのメッセージ
 この頁に目を通しているあなたは,多かれ少なかれ歴史に関心を抱いていると思います。それでは,あなたはどのようなきっかけで歴史に興味を持ちましたか? 魅力的な歴史的個性への関心,あるいは現在とは異質な過去の社会に対する好奇心,はたまた現代社会への疑問を過去にさかのぼり探求したいという意欲……。その他どのような経緯であれ,またどのような価値観に基づくにせよ,あなたはその興味を歴史学という方法を用いて掘り下げることができます。歴史学(ここでは日本史学)は,あなたの問題関心を広く受けとめうる「ゆるやかでソフトな学問」なのです。
 もちろん日本史学が経験科学である以上,何を主張してもいいわけではありません。まずあなたの主張は,誰もが参照しうる史料に基づいている必要があります(事実立脚性)。さらにそれは,誰にでも理解できる筋道だった主張であることが必要です(論理整合性)。この2つのルールさえ守るならば,あなたの前には汲み尽くせない知の海がひらけるはずです。
 確かに歴史学は,ひたすら史料を読むというある意味「辛気くさい」学問です。しかしあなたに内在する問題を見いだし,課題を設定し,史料を読みこみそれを根拠づけていく作業のなかで,1つの事実にも様々な見方が存在し,それを意味づける価値観もまた多様であることが理解されていくと思います。歴史学の学びは,異なる多様な価値を認め,開かれた議論を行う能力を身につける絶好の機会となるでしょう。
 ただし,教員があなたに課題を与えることはできません。自分のなかにある問題を掴み出し,自身で史料の海を泳いで下さい。もちろん泳ぎ方は教えますし,海図や救命浮き輪も与えます。声援も惜しみません。過去との対話を通してあなた自身を見いだして下さい。

水野 卓講師

みずの たく / MIZUNO Taku

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専門分野:アジア史

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教員からのメッセージ
 古代中国と聞いて,みなさんの頭には何が思い浮かびますか。高校時代に世界史や漢文が好きだった人は,秦の始皇帝・項羽・劉邦といった歴史上の人物とか,殷・周・秦・漢といった王朝の名前を思い出す人もいることでしょう。あるいは,マンガ好きな人であれば『キングダム』のストーリーを,ゲーム好きな人であれば「三國無双」の世界を思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。
 その『キングダム』が描く春秋戦国時代や,「三國無双」の舞台である三国志の世界は,漫画家やゲームクリエーターが想像で創り上げているわけではなく,当時のことを記した書物を手掛かりに創り出しているはずなのです。例えば,中国古代の有名な歴史書である司馬遷の『史記』や春秋時代の説話が数多く記されている『春秋左氏伝』,諸子百家の思想が記された『論語』『孟子』などを読むことによって,私たちは当時がいかなる世界であったのかを知ることができるのです。
 歴史を学ぶ上で歴史資料を読むことは必要不可欠であり,中国古代史であれば,それは『史記』などの古典文献に書かれた内容を漢文で読むということになります。つまり,漢文によって歴史資料を読み込み,その資料に基づいて古代中国がいかなる世界であったのかを探ること,そこに中国古代史を学ぶうえでの「面白さ」があると言えるでしょう。
 中国古代史の勉強が社会に出た時に直接役立つわけではありませんが,歴史家E・H・カーの「歴史は現在と過去との対話である」という言葉にも示されているように,古代中国の歴史を学ぶことで,現代中国を理解する際の手助けになるかもしれません。また,古典文献に記された「故事成語」などを知っておくことも,社会人の「一般教養」として,どこかで役に立つはずです。魅力あふれる中国古代史を一緒に学んでみましょう。

高橋 弘臣教授

たかはし ひろおみ / TAKAHASHI Hiroomi

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専門分野:アジア史

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教員からのメッセージ
 中国は長い歴史を持つ国であり,現在の中国人のものの考え方や行動のパターンも,そうした歴史の中でつちかわれた思想や国家・社会体制との関係を抜きにしては語れません。現在の中国を理解し,中国と上手くおつきあいするためにも,今一度中国の歴史を振り返ってみる必要があると言えましょう。
 中国の歴史は難しい漢字が頻出する上に,王朝が交代を繰り返しているだけで発展の速度が鈍く,面白くないと考えている人がいるかもしれません。確かに産業革命以降,中国は欧米諸国の急速な発展に遅れをとりました。しかしそれ以前,特に宋~元代の中国は,いろいろな面において,世界で最も進んだ国であったと云っても決して過言ではないでしょう。中国の歴史は決してつまらないものではなく,奥深く,スリルに富んだものであると私は思います。
 中国史,特に前近代史を研究するには,漢文史料の正確な読解力が要求されます。現在の高校の漢文教育の実態からすると,漢文史料を一通り読みこなせるようになるには,それなりの苦労が伴うかもしれません。しかし,何と言っても我々が普段使っているのと同じ漢字で書かれているわけですし,「習うより慣れろ」という言葉もあります。最初はさっぱりわからなくとも,眺めているうちに何となく読めるようになってくるもので,心配はいりません。中国史の研究は日本史・西洋史と比べると立ち遅れが目立ち,基本的な事実関係すら未確定な部分が多く,新しい方法論や分析の視角を導入してみる余地も多々残されていると思います。皆さんの積極果敢なチャレンジを期待します。

菅谷 成子教授

すがや なりこ / SUGAYA Nariko

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専門分野:東南アジア史

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教員からのメッセージ
 私と異文化との自覚的な出会いは,小学校1年の秋,当時の西ドイツから日本に帰国した時でした。タラップを降りるなり熱風が吹き寄せるなか,出迎えや見送り,さらには「飛行場」見学の多数の「日本人」を見た時でした。ああ,なんというところに着いたのだ。なんだか黄色い,貧相な体格をし,なんとなく垢抜けない服を着た異様な人びと・・・。西ドイツにいるころ,私は自分が「日本人」で,周りの人びとと違っていることを子供心にもはっきりと自覚していました。それでも日本および日本人の第一印象は,上に述べたようなものであったのです。
 ずっと後になって,ある人が次のように言っているのを聞きました。「飛行機を降りると熱風が吹き寄せてきた。褐色の肌をした人を見たとき,ああ,第三世界に来たのだと強く実感した」と。その後,東南アジアの歴史を勉強するようになって,フィリピンをフィールドとするようになりました。日本に出稼ぎに来たことのあるフィリピン人は,次のように言いました。「日本の空港は素晴らしい。とてもきれいだ。さすが先進国日本だと思った」と。
 しかし,私には「日本の第一印象」が忘れられません。私たちは,ともすれば「欧米」に親近感を抱き,彼らにもそれを期待しがちのように思われます。しかし,一般の欧米の人びとは,日本あるいは日本人のことをどう思っているのでしょうか。一方,アジアの人びとは,どうなのでしょうか。そんな風にいろいろと思いをめぐらせてみると,普段の風景がなにか違って見えてくるかもしれません。

齊藤 貴弘准教授

さいとう たかひろ / SAITO Takahiro

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専門分野:西洋史

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教員からのメッセージ
 こんにちは。古代ギリシアというとどんなイメージを描かれるでしょうか。地中海を舞台に都市国家〔ポリス〕という幾つもの小さな共同体を基盤としてギリシア文明は展開しました。その代表的ポリス,アテナイ(現アテネ)のアクロポリスには今も壮麗なパルテノン神殿が建っています。この神殿は,「民主政」アテナイ黄金期の作品です。しかし,この時代のアテナイは海軍力を背景に同朋ギリシア人を強圧的に支配していました。「自由・平等」の代名詞「民主政」と「支配」は矛盾なく有機的にアテナイの絶頂期を形成していたのです。
 アテナイ直接民主政は,いわば素人政治であり,「奴隷」の存在を筆頭に社会構造も大きく異なります。ですから,現代の「民主政」〔デモクラシー〕とアテナイの「民主政」〔デモクラティア〕は,ある意味,全然違う。しかし,起源として―西洋文明の源流として―深いところで繋がっています。
 もう一つ,古代ギリシアは多神教の世界であり,ここに「宗教」と「政治」の興味深い出発点があります。両者の折り合いのつけ方は,グローバル社会における私たちの課題です。また,「支配」と「奴隷」も今日でも生活圏に差し迫る問題ではないでしょうか。私たちは,今も「古代ギリシア」を乗り越えてはいないのです。
 ところで,瀬戸内海とエーゲ海は多島海〔アーキペラゴ〕であり,アクロポリスのような松山城,身近な港,都市部の規模,なんだか松山はポリスと似ています。宗教面でも日本人と古代ギリシア人には類縁性を感じます。言うまでもなく,四国はそういう面でも恵まれています。「身近で遠い他者」である古代ギリシアをこの地域の独自性に根ざして学び,発信していくことは,とても魅力あることではないでしょうか。皆さんと「古代ギリシア」から学びの喜びと発見を分かち合っていけたらと思います。

吉田 正広教授

よしだ まさひろ / YOSHIDA Masahiro

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専門分野:西洋史

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教員からのメッセージ
 ロンドンの西部地区で,毎年8月の最終月曜日(バンク・ホリデーの休日)にノッティングヒル・カーニヴァルが開催されます。これはカリブ海出身の黒人たちを中心とするカーニヴァルで,狭い通りを,トラクターに牽かれたスティール・バンド(ドラム缶を再利用した楽器)の山車や,巨大スピーカーを積んだ大型トラックが次々にやって来ます。その後ろには仮装行列の一団が続きます。一見華やかなカーニヴァルですが,ゴミや排泄物の処理,騒音,暴力など,様々な問題が見え隠れします。
 カーニヴァルの歴史を調べていくと,第二次大戦後にカリブ海諸島からイギリスに渡った黒人移民,1958年のノッティングヒル暴動,イギリスのファシズム,人種関係法(人種差別を違法とする法),連邦移民法(移民制限のための法)など,イギリス現代史の研究テーマが浮上してきます。ロンドンの黒人コミュニティー形成の問題や,カリプソとレゲエという音楽の持つ政治的・宗教的意味にも興味が惹かれます。
 このように,ロンドンのカーニヴァルというミクロの事例からイギリス現代史の多様なテーマに接近できます。西洋史を学ぶ,あるいは研究するとは,単に欧米の歴史の流れを理解して覚えるのではなく,みなさん一人一人が研究に値するテーマを見つけて,文献や史料,画像,あるいはインターネットで得た多様な情報を使って,深く研究することです。みなさん一人一人が,幅広い研究課題につながるようなミクロのテーマを見つけて,西洋史研究の面白さを実感して欲しいと願っています。