加藤 祐子准教授

かとう ゆうこ / kato yuko

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専門分野:地方自治法・行政法
教員からのメッセージ
法学という分野は、一般的に、難しそうな印象を受けるものであるかもしれません。その中でも、私の担当する行政法や地方自治法はどのようなものなのか(特に行政法)、イメージがわきにくいものだと思います。しかし例えば地方自治法は、自治体がその地域の特性に応じた自主性・自立性を発揮する仕組みをつくるうえで大切なルールを定めており、実は、私たちの暮らしと密接なかかわりを持っているものです。
私が専門に研究している地下水行政について言えば、地下水保全において大きな役割を担ってきたのが地方自治法や憲法等で学ぶ条例です。日本では、地下水は土地所有権に付随するものとして、土地を持っている人がその土地の下にある地下水を自由に採取できるという考え方が古くから根付いてきました。しかし、高度経済成長期に地下水汚染や地盤沈下が問題となり、地下水を個人が自由に採取できるものとするのではなく国や自治体のものとし、取水等の規制を厳しく行うべきではないかという声が高まりました。その中で、国の法律レベルでは地下水を保全するための仕組みがなかなか作られず様々な利害関係者の反対等もあった中で、地下水に生活用水等を大きく依存している自治体が先陣を切って条例を制定することによって独自に地下水の保全システムを構築し(地下水保全条例などの制定)、その地域の地下水保全に取り組み続けてきました。そのため、自治体によっては、条例上、個人が自由に地下水を採取すること等に対して厳しい制限を加えているところ等があります。
このように、具体的な題材を通して見てみると、地方自治法等で学ぶことの意義や機能について、イメージがだんだんとわいてくると思います。このような学習を通じて、皆さんには、自分たちの地域生活や社会をどのように形づくっていくべきか、主体的に考えられるようになってほしいと思います。