松枝 啓至講師

まつえけいし / MATSUE Keishi

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専門分野:哲学
教員からのメッセージ
 みなさんは「哲学」という言葉でどういった学問をイメージするでしょうか? 高校で「倫理」を履修した方は、ソクラテスやデカルト、ニーチェといった哲学者たちを思い浮かべるかもしれません。哲学者たちの名前は頭に浮かんでも、その人たちの思想がどのようなものであったか、曖昧かもしれません。難しくて理屈っぽくて堅苦しいというイメージを抱く人もいるでしょう。
 ただ、「哲学」という言葉の語源は、愛(philos)と知(sophia)の二つの語からなる古代ギリシャ語のphilosophia(フィロソフィア)であり、「知を愛すること」という意味です。そしてこの場合、「知(ソフィア)」とはある特定のジャンルの知識・知恵を指すのではなく、むしろあらゆる分野の知識・知恵を指します。つまり何らかの知恵・知識に対して「愛(フィロス)」を持って一生懸命に探求するという営みが、「哲学(フィロソフィア)」と言えます。したがってみなさんも、自分が何らかの分野の知識探求に熱心に取り組んでいるということであれば、知らず知らずのうちに上記の意味での「哲学」を実践しているということになるでしょう。
そしてある分野の知識を突き詰めて探求していると、自然と他の分野の知識も必要となり、つながっていくものです。何が他に必要となるか、そしてどのようにつながっていくのか、そこにはその人の個性が現れてくるでしょう。さらに「哲学」に足を踏み入れるきっかけも、おそらく人それぞれ、些細な疑問からはじまります。当たり前だと思っていたことが、ふとした瞬間、疑問へと転ずるとき、それが「哲学」のはじまりです。その些細な疑問を気のせいだとスルーせずに、疑問として受け止め、それを自分なりに考え、他の人と議論し、答えを見つけ出そうと努力すること(=「哲学」)。答えはなかなか見つけることができないかもしれませんが、そのように答えを見つけ出そうと試行錯誤するプロセスは、生きていく上での重要な糧となるでしょう。授業でも様々な「疑問」を取り上げながら、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。