グローバル・スタディーズ履修コース

井上 彰准教授

いのうえ あきら / INOUE Akira

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専門分野:英米文学

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教員からのメッセージ
 私は私立大学の文学部英文学科出身です。でも英文学科に進学したのは、ただ英語に興味があったからにすぎません。「何を勉強しようかな」と迷っていたとき、「英米文学概論」という授業で、はじめてイギリス演劇の歴史を学びました。これがとてもおもしろかった、そうビビッときたのです。この授業がきっかけとなり、専攻はイギリス文学に、そして卒業論文のテーマはウィリアム・シェイクスピアの『マクベス』となり、さらには大学院進学、そして今日に至るまで、シェイクスピアを中心に、イギリス演劇全般が私の教育・研究テーマとなっています。
 法文学部人文社会学科では、法律からシェイクスピアまで、文系全般、実に多彩な授業が開講されています。これと比べると、上記の私の迷いなど、迷いの内に入りません。でも心配はいりません。法文学部人文社会学科では、学生が入学1年後に自分の進むべきコース選択ができるよう、様々な配慮がなされています。もちろん、入学時から「絶対に○○を学ぶんだ」という人も中にはいるでしょう。でも1年後にはまったく違う分野に進んでいた、ということだってあり得ます。それでいいのです。法文学部人文社会学科とは、新入生が1年かけて、自分の進むべき道を自分で決めることができる、そういうところなのです。
 また、私はグローバル・スタディーズ履修コース担当教員として、学生の海外での学びも積極的に支援しています。その際私の担当は、英語圏、特にイギリス、オセアニア、カナダでの語学研修・留学を希望する学生支援が中心となります。私のゼミでは、イギリス文学を専攻する学生が、それぞれの目的や希望する進路に応じて、毎年1ヶ月~1年間の語学研修・留学を経験しています。今このメッセージを読んでくれているあなたも、先輩たちのように、愛媛大学から海外へ飛び立ってみませんか。

寺尾 勝行准教授

てらお かつゆき / TERAO Katsuyuki

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専門分野:英米文学

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教員からのメッセージ
 インターネットが空気のように当たり前のものとなり,iPodなどの携帯プレーヤーによってそのネット上の音声・画像ファイルをハンカチかチリガミのように気軽に持ち運べるようになった現在,生の英語に接する機会や,接することのできる素材の種類は二昔とは(と言わず,一昔と比べてさえ)比較にならないくらい充実・拡大しています。外国語(英語)習得のためにこれを利用しない手はありません。
 ただし単なる会話の偏重では思わぬ落とし穴が待っています。おしゃべりは楽しそうにかわしていたのに,中身のある話となると全く通じていなかった,では困ります。大学生ならぜひとも,読み・書く力を,聞き・話す力と並行させて身につけ,より深い部分での価値観や感動の共有なり,意見の交換を行いたいものです。
 そのために文学作品を通して英語を学ぶ,あるいは英語という言葉を通して文学にアプローチするということを勧めたいと思います。文学作品の英語の特徴の一つは何と言ってもその種類の豊かさです。取り扱われる話題(テーマ)が哲学,政治,経済,歴史から日常生活の機微,さらには推理小説,SF,ファンタジーに到るまで多様であり,またスタイル(文体)もそれに応じて思索的なもの,(いわゆる)論理的なもの,事務的なもの,エッセイ的なもの,情感豊かなもの・・・等々バラエティに富んでいます。あなたはそれらの英語に触れることを通して,単にビジネス英語やニュース英語を通してのみ得られるものよりはるかに広く,多様な世界のあり方(そして世界の感じとり方)を実感することができるでしょう。そしてよりありがたいことに,そのような体験を重ねていく中で,言葉そのものに対する感覚が磨かれてゆくことでしょう。
 多くの人が言葉を鍛え,言葉を通して思索を深め,また,他者との実り豊かなつながりを築く能力を自らの中に育て上げることを願って止みません。

MARX Edward准教授

マークス エドワード / MARX Edward Daniel

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専門分野:英米文化

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教員からのメッセージ
 Studying literature and language, we can explore other cultures, not only those of the present day, but also of the past. I am especially interested in writers who have used the English language to explore other cultures, whether they are writers from Western countries writing about experiences in distant places, or writers from non‒Western countries contributing new ideas and forms of expression to the English language. English has become a global language that belongs to no single country. It is a language not only of great literature, but of every type of writing, film, popular music, and many other cultural forms. I hope there's something in it to interest everyone.

木下 英文教授

きのした ひでふみ / KINOSHITA Hidefumi

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専門分野:応用英語学

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教員からのメッセージ
 「英語コミュニケーション論」という名称からみなさんはどのような研究分野を想像するでしょうか。「コミュニケーション」という言葉自体,様々な分野で用いられていますので,甚だ漠然としたイメージしか持てないかも知れません。簡単に説明しておきましょう。
 私たちは言葉を交わす際,その伝達過程を意識することは日常生活上ほとんどありません。みなさんは,相手が自分の言葉をどのようにして理解するのかを疑問に思ったことはありませんか。英語コミュニケーション論の仕事の一つは,英語が伝達行為の中で見せる様々な「仕草」に規則立った説明を与えることです。たとえば,"Do you know where the steak is?"というYes/Noを求める疑問文に対して,一見すると意味的に全く関連性の無いように思われる"Your dog looked happy"という返事が自然に感じられるのはなぜでしょう。また,"Could you open the door?"よりも"I wonder if you could open the door"の方が丁寧なのはどうしてなのか。他にも,場面の性格や話題・目的などによって英語の表現形態は影響されます。このような伝達行為のストラテジーに光を当ててみると意外な発見があるものです。一方,英語の姿から伝達行為の背景にある社会的要因に目を向けることも可能です。英語にも男言葉や女言葉がありますし,社会階層や民族などの要素が言語の中に反映される例も数多くあります。このように生きた言語としての英語は実に様々な表情を見せてくれます。そこにはまさに現実社会が反映されているのです。私の授業では,以上のような点についてみなさんと一緒に考えてみようと思っています。

高橋 千佳准教授

たかはし ちか / TAKAHASHI Chika

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専門分野:応用英語学

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教員からのメッセージ
 皆さんは、「何年も英語を勉強しているのに、一向にできるようにならないなあ」と感じたことはありませんか。「英語は中学校・高校と6年間も勉強したのに、全然しゃべれない」という事を、英語学習においてよく耳にします。でも、6年間で実際に勉強に費やした時間は、合計するとどれくらいになるでしょうか。勉強していた間、一生懸命だったでしょうか。それとも、嫌々だったでしょうか。
 英語をはじめ、母語以外の第二言語がある程度の能力に達するには、その言語を聞いたり読んだりする、いわゆるインプットの質と量、両方が必要だと言われています。また、ただ聞いたり読んだりするだけではなくて、会話でやりとりをすることが必要だという人もいます。さらに、同じようなインプットにふれても、本人の学習意欲の違いで、習熟度の差が生まれるとも言われます。私が興味があるのは、このような英語習得・学習にまつわる様々な要因で、中でも特に、学習者の間で習熟度の違いを引き起こす要因を主な研究対象にしています。
 英語に限らず、第二言語の学習について研究する分野は「第二言語習得理論」と呼ばれ、言語学や心理学などの知見を取り入れながら、「人はどのようにして母語以外の言語を獲得するのか」という問いに答えようとしています。授業では、この第二言語習得理論の概要を理解するだけではなく、皆さんのこれまでの英語学習の過程を振り返ったり、今後の学習につなげたり、また人によっては、今後英語を教えるのに大切なことを一緒に考えたりしています。英語の習得過程を研究の対象にすることによって、各々がよりよい英語との付き合い方ができるようになればと考えています。

野上 さなみ准教授

のがみ さなみ / NOGAMI Sanami

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専門分野:ドイツ言語文化

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教員からのメッセージ
 私の専門研究分野は一般言語学とドイツ語学です。大学に入学した頃にギリシャ語の先生から「英語と違ってドイツ語には目立った形の進行形がありません」と聴いてドイツ語に興味が湧きました。さらに,ドイツ語の日常会話で過去の出来事を表現するには「過去形」ではなく「現在完了形」を使うことが普通になっています。同じシチュエーションを認識し,それを言語で表現しようとする場合でも,各言語によって重点の置き所が異なったり,逆に特定のポイントをなるべく目立たないように表現しようとしたり,といった「傾向の違い」があります。その結果,ある言語には特定の表現形式があるのに,別の言語はその形式を持たないということが起こるのです。このように言語の間にある傾向の違いを研究する分野として「対照言語学」や「言語類型学」が挙げられます。私はドイツ語とその他のヨーロッパの言語を中心としたこの二分野に特に力を入れて研究を行っています。
 ドイツで生活するうちに,自己の存在をきちんと認めてもらうためには,自分の考えていることを「はっきりとわかりやすく,自信をもって」発話しなければならない,ということを学びました。どちらかというとおとなしいタイプだった私にとって,この「技」を身につけるのは大変難しいことでした。しかし慣れてしまえば,なんだか別の人間がもう1人いるような気分になることもしばしばありました。ことばの存在が大前提となる分野を専攻する皆さんには,学生時代にぜひともできるだけ数多くの言語に接することをお勧めしたいと思います。別の言語に触れることは,自分の中に眠っている別の側面を発見し,活性化させるチャンスでもあります。

田島 篤史准教授

たじま あつし / Tajima Atsushi

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専門分野:ドイツ言語文化

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教員からのメッセージ
 私は「魔女」について研究しています。魔女と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?箒にまたがり空を飛ぶ、意地悪なお婆さん。とんがり帽子に鉤鼻で、魔法を使って悪さする、といったイメージが一般的でしょうか。あるいはアニメや漫画では、若くてかわいい少女の姿をしているものも多くみられますね。こうした魔女たちは、現代の日本ではサブカルチャーの中でしかなかなかお目にかかれません。しかし今から数百年前のヨーロッパ、とりわけドイツ語圏では、多くの罪なき人々が「魔女」だとされて裁判にかけられ、処刑されました。
グローバル化が進んだ現代において、異文化と触れ合う機会は数多くあります。これら異文化を排他的に捉えることは、お互いにとって生産的な交流をもたらしはしないでしょう。私の研究テーマで言えば、「魔女や悪魔の存在を信じていた昔の人たちはバカだな」という視点から問題に取り組んでしまうと、いつまでたっても事象の本質的な部分が見えてきません。中・近世のヨーロッパといえば、我々が生活する現代の日本とは、時間的にも空間的にも大きな隔たりがあるからです。つまり言語・宗教・政治・法律・学問・慣習・気候・常識etc.ありとあらゆる点で異なる社会だからです。自己とは異なる他者について、可能な限りありのままを受け入れようとすることで、はじめて異文化理解のスタート地点に立てると思います。そもそも異なる文化間には、優劣など存在しないのですから。また異文化理解に努めることは、自文化についての理解を深めることにもつながります。異文化と触れ合ううちに、これまで当たり前だと思っていたことが、狭い世界の中だけの常識だった、ということに気づくことがあるでしょう。こうしたことも異文化を研究対象とすることの魅力の一つです。
ドイツ言語文化専攻では、主にドイツ語圏における事象を扱います。皆さんも関心のある対象に触れ、まずはそれをありのまま受け入れてみてください。きっと新たな発見があると思います。

柳 光子教授

やなぎ みつこ / YANAGI Mitsuko

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専門分野:フランス言語文化

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教員からのメッセージ
 振り返ってみると私はずいぶん長い学生生活を送りました。複数の奨学金制度のおかげで20代に,そのおよそ半分に相当する期間をフランスで過ごすという幸運に恵まれたことは,今も私の大切な財産です。主な研究対象のラシーヌは,フランス古典主義時代の文学を代表する作家のひとりで,シェイクスピアより少し後の時代に劇作家として活躍した人物です。太陽王ルイ14世の宮廷で恋愛悲劇の名手とうたわれ,その作品は今日なおパリの国立劇場をはじめフランス内外で上演され,観客に感動を与え続けています。日本で上演されることは稀ですから,留学生時代にはよく劇場に足を運んだことが懐かしく思い出されます。
 では私のゼミで学生たちが何を勉強しているのか,大雑把に言えば,フランス語圏の文化に関することであれば何でも,ということになります。とにもかくにもフランス語を勉強しないことには始まらないのですが,これが「難しそう」と敬遠されがちなのは残念なことです。というのも,日常生活に必要な語彙数がわずか5千語,文法やスペルの読み方が非常に規則的で,400年ちかく──つまりヴェルサイユ宮廷時代から──ほとんど変化していないフランス語は,外国人にとって実は学びやすい言語だからです。ゼミの学生たちの多くが3回生で仏検3級を,頑張った学生は卒業までに2級を取得しています。
 実践科目群の授業「欧米語学実践」でのフランス研修も,参加可能ならぜひお勧めしたい3週間前後の研修旅行です。語学力を磨くこと,異文化を実体験することの大切さは言うまでもありませんが,参加者が思いがけない卒論のテーマと出会って帰ってくることもあり,そうした時の指導は私にとって苦労はあれど,楽しみもまた多いものとなります。フランス語やフランスの文化に漠然とした関心なりお持ちのかたは,お気軽にご相談ください。

坂口 周輔講師

さかぐちしゅうすけ / SAKAGUCHI Shusuke

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専門分野:フランス言語文化

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教員からのメッセージ
 一篇の詩を読んで心を揺さぶる言葉に出会うこと、一枚の絵の前に佇んでその色彩の強烈さに目を奪われること、一本の映画を鑑賞したあと心地よい疲労感を伴って映画館の外に出ること、あるいはまた一曲音楽を聴いて恍惚感に浸ること。この種の経験ほど贅沢で幸福で人間的なものはないと個人的には強く思うのですが、大学での私の役目は、こんな体験を学生のみなさんができるようお力添えをすることです。言わばみなさんのガイド役を務めるということなので、試しにここでちょっとした小旅行にお連れしましょう。
 私の好きな中原中也の詩「悲しき朝」の冒頭は次のように始まります。「河瀬の音が山に来る、/春の光は、石のやうだ。筧(かけひ)の水は、物語る/白髪の嫗(をうな)にさも肖(に)てる。」字余りあれど五七五のリズムを基調としつつ、驚くべきイメージを私たちに見せつけてきます。これは22歳以前に書かれたものらしく、中也の早熟ぶりには目を見張るばかりですが、その中也に強い影響を及ぼしたのはフランスの早熟詩人アルチュール・ランボーでした。中也はフランス語を勉強し自分でランボーの詩を訳しています。一つ彼の訳した詩句を引用しましょう。「また見付かつた。/何がだ? 永遠。/去つてしまつた海のことさあ/太陽もろとも去つてしまつた。」ロマンチックであるとともに、「何が」と問い「永遠。」とだけ答えるシンプルさがかっこよく響く詩句です。これを原文で読んでみるとさらに味わい深くなります。« Elle est retrouvée. /Quoi ? – L’Éternité./C'est la mer allée/Avec le soleil. » どう読めるのでしょうか。気になる人はぜひフランス語やフランス言語文化の授業を受けてみてください。さて、今引用したランボーの詩句を大変効果的に用いているのが、フランス映画「気狂いピエロ」です。これを監督したジャン=リュック・ゴダールは最近亡くなってしまいましたが、この作品はずっと生き続けるでしょう。ランボーの詩が引用されたラストシーンはあまりに衝撃的で忘れることはできません。そういえば、蛇足ですが、先日ある展覧会でフランスの画家アンリ・マティスの作品を見て、そこでの激しい色使いがゴダールの映画を髣髴とさせるところがあり、ゴダールはマティスが好きだったのかなと何となく思ったのでした。
 以上、さりげなくフランス文化へと誘導してしまったのは、私がフランス文学を専門としているからです。世界は広いです。人でも、作品でも、あるいは風景でも、自分を揺さぶるほどの何かに出会うため、一歩外に足を踏み出してみませんか。その際にフランス語、フランス文化から始めるのも悪くないと思います。