人文学履修コース

石黒 聡士准教授

いしぐろ さとし / ISHIGURO Satoshi

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専門分野:地理学

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教員からのメッセージ
 今日はどんな坂を登りましたか?
 私たちが普段の生活で目にしたり,体感したりする地面の起伏などの自然環境は,理由もなく,なんとなくそこにあるように見えても, そうなっている理由が必ずあります。そしてそれは,気が遠くなるような壮大な空間的・時間的スケールの中で形作られてきたものです。私たちはその一端を見ているに過ぎません。
 地形や気候は私たちの生活に密接に関係しています。平らで広く,多くの水を湛えることができる平野は,水田に適しており,秋には一 面が黄金色に染まります。一方で,日当たりがよい斜面で,水はけが良い土地は果樹園に適しており,さまざまな果物がたわわに実りま す。昔から,人はこのような土地の性質を上手に利用し,工夫することで生活してきました。
 しかし,自然は恩恵ばかりを与えてくれるものではありません。台風や大雨により,河川は氾濫して洪水を起こし,活断層が活動すれば 地震が発生し,時には甚大な人的・物的被害をもたらします。自然災害の発生の仕組みを解明し,いかに被害を軽減するかを追求するこ とも地理学の大切な役割の一つです。
 私たちを取り巻く自然環境を観察するためには,どのような方法があるでしょうか。地球規模の広域を対象にする際には,衛星画像を 用いることが有効です。都市や集落などを対象にする際は,航空写真が有効です。そして何と言っても,地理学において最も重要かつ 直接的な手段は,現地に出かけていって実物を観察する踏査です。
 さらに近年はUAV(Unmanned Aerial Vehicle, 無人航空機,いわゆるドローン)が爆発的に普及し,自然地理学的調査に革命的な変化 をもたらしています。私はUAVを地形学的調査に応用し,従来は不可能であった高精細な地形解析に取り組んでいます。
 自然地理学は,人間生活を取り巻く自然環境を注意深く観察することから始まります。なぜそこは坂道になっているのか,なぜそこに 崖があるのかなど,まずは「なぜ?」に気づくことが大切です。その問いに対して現地を観察し,考察し,答えを見いだすことは,ひいては 災害に対して強靭な社会をつくることにもつながります。
 今日あなたが登った道は,なぜ坂になっているのでしょうか?

笹田 朋孝准教授

ささだ ともたか / SASADA Tomotaka

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専門分野:考古学

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教員からのメッセージ
 考古学は、遺跡の発掘調査を行ない、検出された遺構や出土した遺物(土器や石器など)から過去の人々の文化や歴史を研究する学問です。ざっくり言えば、「モノから過去のことを考える」学問です。わたしはこれまで“鉄”が文化や社会にどのような影響を与えてきたのかについて、考古学の手法を主に用いて研究してきました。現在の主なフィールドはモンゴルです。若い頃にはシベリアの森林地帯、江戸遺跡、沖縄のグスク、北海道のチャシなどの様々な遺跡の調査に参加してきました。最近では幕末の産業革命遺跡の調査にも関わっています。
 考古学では発掘調査をはじめとして、他の文系の学問とは異なる技術や知識が必要とされます。そのため私の研究室では春に古墳の測量調査、夏季休暇中に愛媛県内の遺跡の発掘調査を行なっています。地域の人々とともに、教科書に掲載されていない地域独自の歴史や文化を”文字通り”掘り起こしています。その調査成果は発掘報告書や研究室シンポジウムなどで広く学会へ発信するとともに、現地説明会や報告会、あるいは特別展などで地域の方々へと還元しています。またモンゴルの発掘調査に学生も一緒に参加することもあります。卒業生たちは、愛媛県教育委員会をはじめとして、市町村の文化財担当の専門職員や博物館の学芸員として活躍しています。
 考古学はフィールドの学問ですので、体と頭を両方使って研究することになります。屋外の調査はそれなりに大変ですが、普段の生活では味わうことのできない貴重な体験を積むことができます。自分の脚で遺跡を巡り、自分の手で過去の歴史を掘り起こすことに興味のある学生は授業を履修するなど、ぜひ考古学の世界に足を踏み入れてみてください。


幸泉 満夫准教授

こいずみ みつお / KOIZUMI Mitsuo

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専門分野:考古学

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教員からのメッセージ
 本学の文系では,法文学部でのみ取得可能な国家資格「学芸員資格」の養成コースを担当しています。
「学芸員」とは,国の法律で定められた博物館等で働く専門職員のことです。
 ゼミでは,各種博物館の収蔵庫に未評価のまま眠る,貴重な考古系資料(=出土文化財)を「博物館学」的視座から再評価することが,専攻生の皆さんの最初の課題となります。同じ考古学分野でも,私のゼミでは「博物館学」がベースですので,遺跡の「発掘実習」は原則行っておりません(=新制「考古学Ⅱ」)。
 具体的には博物館概論,博物館資料論,博物館教育論,考古学概論Ⅱ,考古学特講Ⅱ, そして博物館実習Ⅰ・Ⅱ等の関連諸授業を通じて,学生の皆さん達とともに学び,語り合うなかで,文化財資料の取り扱い方や各種計測法,フィールド調査の方法,展示,普及教育,研究成果といった公開方法など,様々な専門技術と知識,理論の修得を目指します。そして,学部生段階での国家資格「学芸員資格」免許の取得を目標とします。
 在学中,幾多の実践経験を積み重ねることにより,きっと専門性の高い職種へと就職の門戸も開かれていくことでしよう。将来的には各種学芸員や文化財専門職員,教職員等として,各地の博物館園や教育委員会,埋蔵文化財センターなど,様々な専門研究機関や教育機関等への道が期待できます。また,例え将来は文化財関連の道に進まないとしても,きちんとした目標を定め,大学で学ぼうとする意欲さえあれば,大いに歓迎します。
 私のもう一つの専門は先史考古学です。従って,実践研究では縄文時代の「出土文化財」を基盤としています。人と社会,自然との調和を重んじた縄文時代人の精神文化構造を調べることで,現代社会の様々な矛盾についても,じっくりと考えてみませんか。博物館学をベースにした考古学Ⅱに興味関心がある学生さんは,ぜひ一度,法文学部本館4階にある研究室を訪ねてみてくださいね。

胡 光教授

えべす ひかる / EBESU Hikaru

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専門分野:日本史

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教員からのメッセージ
 井伊直弼はどんな人物だったのでしょうか?朝廷を無視して条約を結び反対派を弾圧した国賊?それとも国難に立ち向かい日本を開国に導いた英雄?立場の違う史料を読み解くと全く異なった結論にたどりつきます。新しい史料を発見すれば,未知の歴史に出会うこともできます。皆さんは,未来の歴史を創るだけではなく,日本史を研究することで過去の歴史を創ることもできるのです。正しい歴史的事実を明らかにし,現代の日本が進むべき道標を示すことは,日本史研究の本質だと思います。そのためには,過去の人々が記した古文書を解読し,古文書の真偽を判断し,史料内容の真実を見極め,学説と比較して自分なりの結論=歴史像を創り出していく訓練を大学では行います。このような思考は,日本史の知識を活かす職業に就かない場合でも広く必要とされる方法だと言えます。もちろん,近世・近代史の専門知識を活かす,教員や博物館の学芸員,文書館のアーキビスト,図書館の司書,自治体の文化財職員なども養成していきたいと考えています。
 井伊直弼を支えた南紀派と呼ばれる大名グループの中には,伊予松山藩主松平勝成がおり,反対の一橋派には宇和島藩主伊達宗城が組していました。近世の伊予には八つも藩があり,多様な歴史と史料を持ち,歴史研究の素材には事欠きません。藩域と藩権力の相違は,現在の言語や文化,産業などにも影響を与え,近世に本格化する四国遍路や祭礼は今もなお盛んです。現代社会の原点とも言える近世史を,史料から直接学び,史料の大切さを知り,後世に伝えていく。「古きを訪ね,新しきを知り,また古きを伝える」精神で,厳しくも楽しく,ともに歴史の扉を開いてみましょう。

中川 未来准教授

なかがわ みらい / NAKAGAWA Mirai

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専門分野:日本史

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教員からのメッセージ
 この頁に目を通しているあなたは,多かれ少なかれ歴史に関心を抱いていると思います。それでは,あなたはどのようなきっかけで歴史に興味を持ちましたか? 魅力的な歴史的個性への関心,あるいは現在とは異質な過去の社会に対する好奇心,はたまた現代社会への疑問を過去にさかのぼり探求したいという意欲……。その他どのような経緯であれ,またどのような価値観に基づくにせよ,あなたはその興味を歴史学という方法を用いて掘り下げることができます。歴史学(ここでは日本史学)は,あなたの問題関心を広く受けとめうる「ゆるやかでソフトな学問」なのです。
 もちろん日本史学が経験科学である以上,何を主張してもいいわけではありません。まずあなたの主張は,誰もが参照しうる史料に基づいている必要があります(事実立脚性)。さらにそれは,誰にでも理解できる筋道だった主張であることが必要です(論理整合性)。この2つのルールさえ守るならば,あなたの前には汲み尽くせない知の海がひらけるはずです。
 確かに歴史学は,ひたすら史料を読むというある意味「辛気くさい」学問です。しかしあなたに内在する問題を見いだし,課題を設定し,史料を読みこみそれを根拠づけていく作業のなかで,1つの事実にも様々な見方が存在し,それを意味づける価値観もまた多様であることが理解されていくと思います。歴史学の学びは,異なる多様な価値を認め,開かれた議論を行う能力を身につける絶好の機会となるでしょう。
 ただし,教員があなたに課題を与えることはできません。自分のなかにある問題を掴み出し,自身で史料の海を泳いで下さい。もちろん泳ぎ方は教えますし,海図や救命浮き輪も与えます。声援も惜しみません。過去との対話を通してあなた自身を見いだして下さい。

川島 佳弘講師

かわしまよしひろ / KAWASHIMA Yoshihiro

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専門分野:日本史

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教員からのメッセージ
 皆さんは「戦国時代」と聞くと、どのような印象をもちますか。天下統一に向けた群雄割拠の時代、合戦が繰り広げられた争乱の時代など、個人の興味や関心、視点によって多様なイメージがあると思います。いずれにしても、社会全体の構造の変革が大きく進んだ時代であることに間違いありません。私は全国各地に活力のある時代だったと考えています。戦乱や飢饉など地域社会の存亡にかかる厳しい現実がありましたが、その一方で地域の領主や民衆たちは、あらゆる手段を使って生き残るための方策を思案しました。ある者は地域資源をもとに経済活動で富を蓄え、ある者は軍事力や調略を用いて領地を拡大させ、またある者は外交戦略を駆使して一族の存続を図ったのです。
 愛媛県の中世の城館跡の分布状況をみると、瀬戸内の島々から四国山地の山間部まで県内のほぼ全域に広がっているのがわかります。その数は、遺構が確認できるものだけで700以上、伝承地などを含めると優に1,000を超えると考えられます。大きな屋敷をもつ大規模な城から、合戦時の拠点となる砦まで、どれも地域の人びとが活動した痕跡です。ではなぜ、離島や今では人里離れた山奥にまで城館が築かれたのでしょうか。それを読み解くには、時代の特徴をとらえるのと同時に、その土地ならではの地域性を理解する必要があります。例えば、海に面した城の多くは、港や海峡を監視するために築かれました。そこから当時の海運の様子、人や物の動きがみえてきます。戦国時代の研究を通して、地域社会をみる目が養われます。この視点は、現在の地域だけでなく、未来を見据えるための手がかりとなるものです。
 私は愛媛大学に入学して、はじめて本格的な「学問」としての日本史に出会いました。大学の日本史は、高等学校までの「教科」の日本史とは異なり、受動的に知識を蓄えることよりも、埋もれた事実を掘り起こし、新たな歴史像を創り出すことに重点が置かれています。それを知った学生時代の私は、自分も通説を覆して歴史的事実の「第一発見者」になれるかもしれないと思い、胸を躍らせたことを今も覚えています。学生の皆さんにも、新たな発見をする感動を味わって欲しいと願っています。

高橋 弘臣教授

たかはし ひろおみ / TAKAHASHI Hiroomi

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専門分野:アジア史

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教員からのメッセージ
 中国は長い歴史を持つ国であり,現在の中国人のものの考え方や行動のパターンも,そうした歴史の中でつちかわれた思想や国家・社会体制との関係を抜きにしては語れません。現在の中国を理解し,中国と上手くおつきあいするためにも,今一度中国の歴史を振り返ってみる必要があると言えましょう。
 中国の歴史は難しい漢字が頻出する上に,王朝が交代を繰り返しているだけで発展の速度が鈍く,面白くないと考えている人がいるかもしれません。確かに産業革命以降,中国は欧米諸国の急速な発展に遅れをとりました。しかしそれ以前,特に宋~元代の中国は,いろいろな面において,世界で最も進んだ国であったと云っても決して過言ではないでしょう。中国の歴史は決してつまらないものではなく,奥深く,スリルに富んだものであると私は思います。
 中国史,特に前近代史を研究するには,漢文史料の正確な読解力が要求されます。現在の高校の漢文教育の実態からすると,漢文史料を一通り読みこなせるようになるには,それなりの苦労が伴うかもしれません。しかし,何と言っても我々が普段使っているのと同じ漢字で書かれているわけですし,「習うより慣れろ」という言葉もあります。最初はさっぱりわからなくとも,眺めているうちに何となく読めるようになってくるもので,心配はいりません。中国史の研究は日本史・西洋史と比べると立ち遅れが目立ち,基本的な事実関係すら未確定な部分が多く,新しい方法論や分析の視角を導入してみる余地も多々残されていると思います。皆さんの積極果敢なチャレンジを期待します。

水野 卓教授

みずの たく / MIZUNO Taku

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専門分野:アジア史

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教員からのメッセージ
 古代中国と聞いて,みなさんの頭には何が思い浮かびますか。高校時代に世界史や漢文が好きだった人は,秦の始皇帝・項羽・劉邦といった歴史上の人物とか,殷・周・秦・漢といった王朝の名前を思い出す人もいることでしょう。あるいは,マンガ好きな人であれば『キングダム』のストーリーを,ゲーム好きな人であれば「三國無双」の世界を思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。
 その『キングダム』が描く春秋戦国時代や,「三國無双」の舞台である三国志の世界は,漫画家やゲームクリエーターが想像で創り上げているわけではなく,当時のことを記した書物を手掛かりに創り出しているはずなのです。例えば,中国古代の有名な歴史書である司馬遷の『史記』や春秋時代の説話が数多く記されている『春秋左氏伝』,諸子百家の思想が記された『論語』『孟子』などを読むことによって,私たちは当時がいかなる世界であったのかを知ることができるのです。
 歴史を学ぶ上で歴史資料を読むことは必要不可欠であり,中国古代史であれば,それは『史記』などの古典文献に書かれた内容を漢文で読むということになります。つまり,漢文によって歴史資料を読み込み,その資料に基づいて古代中国がいかなる世界であったのかを探ること,そこに中国古代史を学ぶうえでの「面白さ」があると言えるでしょう。
 中国古代史の勉強が社会に出た時に直接役立つわけではありませんが,歴史家E・H・カーの「歴史は現在と過去との対話である」という言葉にも示されているように,古代中国の歴史を学ぶことで,現代中国を理解する際の手助けになるかもしれません。また,古典文献に記された「故事成語」などを知っておくことも,社会人の「一般教養」として,どこかで役に立つはずです。魅力あふれる中国古代史を一緒に学んでみましょう。

齊藤 貴弘教授

さいとう たかひろ / SAITO Takahiro

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専門分野:西洋史

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教員からのメッセージ
 こんにちは。古代ギリシアというとどんなイメージを描かれるでしょうか。地中海を舞台に都市国家〔ポリス〕という幾つもの小さな共同体を基盤としてギリシア文明は展開しました。その代表的ポリス,アテナイ(現アテネ)のアクロポリスには今も壮麗なパルテノン神殿が建っています。この神殿は,「民主政」アテナイ黄金期の作品です。しかし,この時代のアテナイは海軍力を背景に同朋ギリシア人を強圧的に支配していました。「自由・平等」の代名詞「民主政」と「支配」は矛盾なく有機的にアテナイの絶頂期を形成していたのです。
 アテナイ直接民主政は,いわば素人政治であり,「奴隷」の存在を筆頭に社会構造も大きく異なります。ですから,現代の「民主政」〔デモクラシー〕とアテナイの「民主政」〔デモクラティア〕は,ある意味,全然違う。しかし,起源として―西洋文明の源流として―深いところで繋がっています。
 もう一つ,古代ギリシアは多神教の世界であり,ここに「宗教」と「政治」の興味深い出発点があります。両者の折り合いのつけ方は,グローバル社会における私たちの課題です。また,「支配」と「奴隷」も今日でも生活圏に差し迫る問題ではないでしょうか。私たちは,今も「古代ギリシア」を乗り越えてはいないのです。
 ところで,瀬戸内海とエーゲ海は多島海〔アーキペラゴ〕であり,アクロポリスのような松山城,身近な港,都市部の規模,なんだか松山はポリスと似ています。宗教面でも日本人と古代ギリシア人には類縁性を感じます。言うまでもなく,四国はそういう面でも恵まれています。「身近で遠い他者」である古代ギリシアをこの地域の独自性に根ざして学び,発信していくことは,とても魅力あることではないでしょうか。皆さんと「古代ギリシア」から学びの喜びと発見を分かち合っていけたらと思います。

林 孝洋講師

はやし たかひろ / HAYASHI Takahiro

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専門分野:西洋史

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教員からのメッセージ
 初めまして、近現代イタリアの歴史を専門にしています林孝洋です。突然ですが、私は学問には二つのアプローチがあると思っています。一つは講義を受けたり、本を読んだりすることで学識を深めるアプローチです。これは体系的な知識を獲得するために必要だと思います。しかし、学問は机の上だけで完結するものでもありません。もう一つのアプローチは、経験すること、つまり実際に自分のテーマに関する地域に足を運び、その地の人と話し、文化を感じながら学ぶことです。経験を得るには、行動力と時間が必要です。行動力の方は気持ち次第のところがありますが、時間は有限ですし、比較的自由に使えるまとまった時間を確保できるという点では、大学時代はとても恵まれた時期でしょう。本や講義、ゼミで得た学識を引っさげて、自分の知りたい世界に一歩踏み出すことをお勧めします。
 私は初めてイタリアの地に足を踏み入れた時に、日本とは全く違う気候・文化・言語の体験が、本で得た学識を明確にし、時には覆した感動を今でも覚えています。「百聞は一見に如かず」という諺はあながち間違いではないなぁと感動しました。皆さんもそれぞれ「面白い!」と思えるテーマを見つけ、それについて学び、経験してみてください。人文学は人間を学ぶ学問ですから、そこで得た知識(=学識+経験)はあなたという人間を間違いなく豊かにしていきます。そして豊かに成長した個性的な人間が作る社会は、素晴らしいものになるでしょう。
 最後に少しだけ私の研究についてお話しします。私はイタリアのリソルジメントと呼ばれる時期/運動について研究しています。フランス革命の影響を強く受けた19世紀のイタリア半島では、政治・文化・経済をめぐる様々な思想や運動が花開きます。この時代について、人の移動という視点から勉強しているのですが、限られた紙幅では、皆さんにすべて伝えることができません。続きは講義でお話ししたいと思います。気になる人はぜひ受講してみてください。一緒にイタリア史だけではなく西洋史について学びましょう。