野上 さなみ准教授

のがみ さなみ / NOGAMI Sanami

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専門分野:ドイツ言語文化
教員からのメッセージ
 私の専門研究分野は一般言語学とドイツ語学です。大学に入学した頃にギリシャ語の先生から「英語と違ってドイツ語には目立った形の進行形がありません」と聴いてドイツ語に興味が湧きました。さらに,ドイツ語の日常会話で過去の出来事を表現するには「過去形」ではなく「現在完了形」を使うことが普通になっています。同じシチュエーションを認識し,それを言語で表現しようとする場合でも,各言語によって重点の置き所が異なったり,逆に特定のポイントをなるべく目立たないように表現しようとしたり,といった「傾向の違い」があります。その結果,ある言語には特定の表現形式があるのに,別の言語はその形式を持たないということが起こるのです。このように言語の間にある傾向の違いを研究する分野として「対照言語学」や「言語類型学」が挙げられます。私はドイツ語とその他のヨーロッパの言語を中心としたこの二分野に特に力を入れて研究を行っています。
 ドイツで生活するうちに,自己の存在をきちんと認めてもらうためには,自分の考えていることを「はっきりとわかりやすく,自信をもって」発話しなければならない,ということを学びました。どちらかというとおとなしいタイプだった私にとって,この「技」を身につけるのは大変難しいことでした。しかし慣れてしまえば,なんだか別の人間がもう1人いるような気分になることもしばしばありました。ことばの存在が大前提となる分野を専攻する皆さんには,学生時代にぜひともできるだけ数多くの言語に接することをお勧めしたいと思います。別の言語に触れることは,自分の中に眠っている別の側面を発見し,活性化させるチャンスでもあります。